【10月10日 追記】 10月9日、内閣府・金融庁・中小企業庁は、熊本商工会議所内に「熊本産業復興相談センター」を開設し、中小機構とREVICが地域金融機関と共同で「令和8年熊本地震復興支援ファンド(仮称)」(総額最大50億円)を設立すると発表しました。地震の前からの借入れ(既往債務)が重くて新しい借入れができない、いわゆる二重債務に対応するもので、ファンドは既往債務の債権買取りなどで事業再建を支援します。ファンドの組成完了は年内をめどで、相談センターは10月9日から相談を受け付けています(下の「既往債務が重い事業者向けの相談センターと復興支援ファンド」の節)。
【9月29日 追記】 セーフティネット保証4号の対象地域が、9月18日の経済産業省告示第119号(同年告示第99号の全部改正)で、当初の熊本県21市町村から熊本県の全45市町村と鹿児島県の19市町村に広がりました。認定申請ができる指定期間は令和8年7月28日から12月17日までです(中小企業庁の指定一覧・9月18日更新で確認)。100%保証の災害関係保証の対象は、八代市・宇城市・御船町・嘉島町・氷川町の5市町のままです。一覧は下の「セーフティネット保証4号の対象地域(9月18日から)」にまとめています。
令和8年(2026年)7月28日に発生した令和8年熊本地震による災害について、「中小企業信用保険法による災害関係保証の特例」(激甚災害法第12条)を追加指定する政令が、令和8年8月28日に公布・施行されました(令和8年政令第264号・官報号外第192号)。令和8年8月25日の閣議決定を受けたものです。
政令は、8月7日公布の激甚災害指定政令(令和8年政令第259号)の本則の表に「熊本県八代市、宇城市、上益城郡御船町及び嘉島町並びに八代郡氷川町の区域に係る激甚災害にあっては、法第12条に規定する措置」を加えるものです。
同じ8月28日、経済産業省告示第112号が、激甚災害法施行令第24条に基づく「経済産業大臣が定める日」を令和9年(2027年)2月27日と定めました。災害関係保証の対象になるのは、この日までに行われた保証です(激甚災害法第12条第1項)。
これにあわせて、経済産業省(中小企業庁)は日本政策金融公庫の災害復旧貸付の金利を0.9%引き下げる特別措置を行うと発表しました。
| 措置 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 災害関係保証(激甚災害法第12条) | 一般保証・セーフティネット保証4号とはさらに別枠で、借入債務の100%を保証 | 熊本県八代市・宇城市・御船町・嘉島町・氷川町 |
| 災害復旧貸付の金利引下げ | 貸付後3年間・1千万円を上限に金利を0.9%引下げ | 被害を受けた旨の証明を受けた中小企業者等 |
被災した方向けの制度は令和8年熊本地震のまとめに、事業主向けの雇用調整助成金の特例は雇用調整助成金の特例の記事にまとめています。
「災害関係保証」とは何か
中小企業が金融機関からお金を借りるとき、信用保証協会が保証人の役割を果たす仕組みが信用保証制度です。信用保証協会が負う損失は、日本政策金融公庫との中小企業信用保険によって埋め合わされます。
災害関係保証は、この信用保険について保険限度額の別枠化、てん補率の引上げ、保険料率の引下げを行う特例です。根拠は激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(昭和37年法律第150号。以下「激甚災害法」)第12条で、激甚災害に指定されたうえで、この措置の適用地域として政令で指定された市町村が対象になります。
保証の枠は「三段重ね」になる
今回の追加指定でポイントになるのは、これまでの枠とは別にもう1つ枠が増えるという点です。
| 枠 | 限度額 | 保証割合 |
|---|---|---|
| 一般保証 | 普通保証2億円・無担保保証8,000万円(最大2.8億円) | 通常の保証割合 |
| セーフティネット保証4号 | 普通保証2億円・無担保保証8,000万円(最大2.8億円)※別枠 | 100% |
| 災害関係保証 | 普通保証2億円・無担保保証8,000万円(最大2.8億円)※さらに別枠 | 100% |
内閣府の資料では、災害関係保証のてん補率は80%、保険料率は0.41%とされています。
なお、無担保保証8,000万円のうち特別小口保険は2,000万円が別枠として上乗せされます。
使い道が違う
セーフティネット保証4号と災害関係保証は、対象になる資金の使い道が異なります。
- セーフティネット保証4号……地震の影響で売上高等が減少している事業者の経営安定資金が対象。当初は災害救助法が適用された熊本県の10市10町1村が対象で、令和8年7月29日から事前相談が始まりました。9月18日からは熊本県の全45市町村と鹿児島県の19市町村が対象です。
- 災害関係保証……事業の再建に必要な資金が対象。市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る罹災証明を受けていることが条件です。
対象は熊本県の5市町
災害関係保証の対象として指定されるのは、次の5市町です。
- 熊本県八代市(やつしろし)
- 熊本県宇城市(うきし)
- 上益城郡御船町(みふねまち)
- 上益城郡嘉島町(かしままち)
- 八代郡氷川町(ひかわちょう)
激甚災害法第12条の措置は、被害の程度が政令で定める基準を超えた市町村を単位に指定される局地激甚災害(局激)の扱いです。そのため、災害救助法や特定非常災害のように熊本県全域が一律に対象になるわけではありません。
内閣府は「今後、地方公共団体や関係省庁等による被害状況の把握の進展により、適用措置や地域が追加される場合がある」としています。現時点で対象外の市町村でも、後から追加される可能性があります。
日本政策金融公庫の災害復旧貸付が0.9%安くなる
日本政策金融公庫が実施している災害復旧貸付について、特段の措置として金利が引き下げられます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 資金使途 | 運転資金または設備資金 |
| 貸付限度額 | 中小企業事業:別枠で1.5億円/国民生活事業:各貸付制度の限度額に上乗せ3千万円 |
| 貸付金利(基準利率) | 中小企業事業2.75%・国民生活事業2.70%(貸付期間5年以内・令和8年8月3日現在) |
| 金利引下げ | 貸付額のうち1千万円を上限に、貸付金利から0.9%引下げ(貸付後3年間) |
対象は、市町村長等から事業所または主要な事業用資産に係る被害を受けた旨の証明を受けた中小企業者等です。
基準利率は金融情勢によって見直されます。実際に適用される金利は、申込みの時点で日本政策金融公庫に確認してください。
すでに使える支援
経済産業省は令和8年7月29日、災害救助法が適用されたことを踏まえて、次の支援措置を実施しています(令和8年8月5日・8月25日に一部更新)。
- 特別相談窓口の設置……熊本県の日本政策金融公庫、商工組合中央金庫、信用保証協会、商工会議所、商工会連合会、中小企業団体中央会、よろず支援拠点、中小企業活性化協議会、全国商店街振興組合連合会、中小企業基盤整備機構九州本部、九州経済産業局
- 災害復旧貸付等の実施……日本政策金融公庫・商工組合中央金庫による運転資金・設備資金の融資
- セーフティネット保証4号の適用……熊本県の全45市町村と鹿児島県の19市町村(9月18日から。当初は熊本県の10市10町1村)
- 既往債務の返済条件緩和等……返済猶予、貸出手続きの迅速化、担保徴求の弾力化。返済猶予の申請が遅れた場合も、返済期日にさかのぼった猶予に柔軟に対応
- 小規模企業共済災害時貸付……中小企業基盤整備機構が原則として即日で低利融資
当初のセーフティネット保証4号と小規模企業共済災害時貸付の対象地域(災害救助法適用地域)は、熊本市、八代市、水俣市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、天草市、合志市、下益城郡美里町、菊池郡大津町、菊池郡菊陽町、阿蘇郡西原村、上益城郡御船町、上益城郡嘉島町、上益城郡益城町、上益城郡甲佐町、八代郡氷川町、葦北郡芦北町、葦北郡津奈木町です。
セーフティネット保証4号の対象地域(9月18日から)
9月18日の官報に掲載された経済産業省告示第119号は、令和8年熊本地震のセーフティネット保証4号の地域を定めていた経済産業省告示第99号を全部改正し、対象地域を次のように広げました。指定期間は令和8年7月28日から令和8年12月17日までです。中小企業庁は「指定期間は3ヶ月ごとに調査の上、必要に応じて延長します」としています。
| 県 | 対象市町村 |
|---|---|
| 熊本県(45市町村=県内すべて) | 熊本市、八代市、人吉市、荒尾市、水俣市、玉名市、山鹿市、菊池市、宇土市、上天草市、宇城市、阿蘇市、天草市、合志市、美里町、玉東町、南関町、長洲町、和水町、大津町、菊陽町、南小国町、小国町、産山村、高森町、西原村、南阿蘇村、御船町、嘉島町、益城町、甲佐町、山都町、氷川町、芦北町、津奈木町、錦町、多良木町、湯前町、水上村、相良村、五木村、山江村、球磨村、あさぎり町、苓北町 |
| 鹿児島県(19市町村) | 鹿児島市、鹿屋市、出水市、指宿市、薩摩川内市、日置市、曽於市、霧島市、南さつま市、志布志市、南九州市、姶良市、十島村、さつま町、長島町、肝付町、中種子町、瀬戸内町、与論町 |
セーフティネット保証4号は、災害の影響で売上高等が前年同期比20%以上減少(見込みを含む)している中小企業者が、本店等がある市町村の商工担当課で認定を受けて使う制度です。被害を受けた事業者だけでなく、取引先の被災などで売上が落ちた事業者も対象になりうる点が、罹災証明を前提にする災害関係保証との違いです。
既往債務が重い事業者向けの相談センターと復興支援ファンド(10月9日)
ここまでの保証や貸付は、どれも新しく借りるための支援です。地震の前からの借入れが残っている事業者は、復旧のために借りるとさらに債務が積み上がり、返済の見通しが立たずに新しい借入れ自体ができなくなることがあります。いわゆる二重債務(多重債務)問題です。内閣府・金融庁・中小企業庁は10月9日、これに対応する相談窓口とファンドを発表しました。8月27日の非常災害対策本部決定「被災者の生活となりわい支援のためのパッケージ」を踏まえたものです。
熊本産業復興相談センター
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開設日 | 令和8年10月9日(同日から相談対応を開始) |
| 場所 | 熊本商工会議所ビル3階(熊本市中央区横紺屋町10) |
| 電話 | 096-311-1288 |
| 運営 | 熊本商工会議所 |
| 主な業務 | ワンストップの相談窓口(関係する支援機関・支援施策の紹介など)、事業計画・再生計画の策定支援 |
相談センターは、資金繰りなどの相談を受けたうえで、ファンドによる債権の買取りなどにつなげる入口の役割を持ちます。今後、八代市内にも相談窓口を開設する予定です。
令和8年熊本地震復興支援ファンド(仮称)
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称(仮称) | 令和8年熊本地震復興支援投資事業有限責任組合 |
| ファンド総額 | 最大50億円 |
| 出資比率(予定) | 中小企業基盤整備機構 約30%、REVIC復興キャピタル 約20%、地域金融機関等 約50% |
| 組合員(予定) | 肥後銀行、熊本銀行、熊本信用金庫、熊本第一信用金庫、熊本中央信用金庫、天草信用金庫、熊本県信用組合、熊本県信用保証協会、中小企業基盤整備機構、肥銀キャピタル、熊本リバイタル、REVIC復興キャピタル |
| 業務運営者 | 肥銀キャピタル、熊本リバイタル、REVIC復興キャピタル |
| 存続期間 | 10年間(最大3年間の延長が可能) |
| 支援の対象になりうる事業者 | 令和8年熊本地震で被災し、ファンドによる既往債務に係る債権の買取りを主な手段として、多重債務の解消と事業再建を目指す熊本県内の事業者(必要に応じて出資なども活用) |
ファンドは各種の契約手続や法令上の手続を経て、本年中をめどに組成を完了する予定です。10月9日の時点でファンドはまだ動いていないので、まずは相談センターに相談して、事業計画・再生計画の準備を始めることになります。
業務運営者の熊本リバイタルは、平成28年熊本地震のときに設立されたファンド運営会社です。今回のファンドも、平成28年の「熊本地震事業再生支援ファンド」の参加各社と連携した「オール熊本」体制での組成を想定しているとされています。
新しい借入れと既往債務の整理は別の窓口です。 災害関係保証やセーフティネット保証4号、災害復旧貸付は信用保証協会・金融機関・日本政策金融公庫で、既往債務の整理は相談センターです。個人事業主や個人の住宅ローンなどの既往債務については、別に「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」があり、取引のある金融機関に申し出ます。
激甚災害の指定はこう積み上がってきた
令和8年熊本地震の激甚災害指定は、段階的に措置が追加されています。
| 日付 | 内容 |
|---|---|
| 令和8年8月7日 | 激甚災害の指定政令を公布・施行(本激。公共土木施設(法第3条・第4条)、農地等(法第5条)、農林水産業共同利用施設(法第6条)、小災害債(法第24条)) |
| 令和8年8月22日 | 追加指定見込み(2回目)を公表(公立社会教育施設(法第16条)、私立学校施設(法第17条)) |
| 令和8年8月25日 | 災害関係保証(法第12条)を追加する政令を閣議決定 |
| 令和8年8月25日 | 追加指定見込み(3回目)を公表(市町村が施行する感染症予防事業(法第19条)、罹災者公営住宅建設等事業(法第22条)を追加) |
| 令和8年8月28日 | 災害関係保証(法第12条)を追加する政令を公布・施行(令和8年政令第264号)。あわせて経済産業省告示第112号が保証の期限を令和9年2月27日と定める |
8月7日の指定内容と、特定非常災害としての指定については特定非常災害・激甚災害の指定の記事で整理しています。
まず確認すること
- 対象の5市町で被災した事業者は、市町村役場で罹災証明(事業所・主要な事業用資産についての被害の証明)を受けてください。災害関係保証も災害復旧貸付の金利引下げも、この証明が出発点になります。
- 災害関係保証の対象外の市町村でも、セーフティネット保証4号(9月18日から熊本県の全45市町村と鹿児島県の19市町村)や災害復旧貸付は利用できます。まず特別相談窓口に相談してください。
- 政令は8月28日に公布・施行済みです。信用保証協会での実際の受付開始時期は、熊本県信用保証協会または各金融機関に確認してください。
- 災害関係保証の対象になるのは、令和9年(2027年)2月27日までに行われた保証です(経済産業省告示第112号)。復旧の見通しが立った段階で慌てて申し込むのではなく、期限から逆算して相談してください。
- すでに借入れがある場合は、返済猶予などの条件変更の相談もできます。既往債務が重くて新しい借入れが難しい場合は、熊本産業復興相談センター(096-311-1288)に相談してください。
被災した個人向けの支援は災害で被災したときの公的支援・相談先まとめ、税の特例は令和8年熊本地震の税の特例にまとめています。
出典
- 「熊本産業復興相談センター」の開設及び「令和8年熊本地震復興支援ファンド」の設立について(内閣府・金融庁・中小企業庁・令和8年10月9日)/別紙:令和8年熊本地震復興支援ファンド(仮称)の概要
- 令和8年熊本地震による災害が激甚災害として指定されたことに伴い、追加の被災中小企業・小規模事業者対策を講じます(経済産業省・令和8年8月25日)(中小企業庁金融課・経営安定対策室)
- 令和8年熊本地震に伴う災害に関して被災中小企業・小規模事業者支援措置を行います(経済産業省・令和8年7月29日/令和8年8月25日更新)
- 「令和八年熊本地震による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の一部を改正する政令」について(内閣府政策統括官(防災担当)・令和8年8月25日)
- 「令和八年熊本地震による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」への適用措置の追加指定見込み(3回目)について(内閣府政策統括官(防災担当)・令和8年8月25日)
- 「令和八年熊本地震による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令」への適用措置の追加指定見込み(2回目)について(内閣府政策統括官(防災担当)・令和8年8月22日)
- 令和8年8月25日(火)定例閣議案件(首相官邸)
- 令和八年熊本地震による災害についての激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定に関する政令の一部を改正する政令(令和8年政令第264号・令和8年8月28日公布・施行/官報号外第192号)
- 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律施行令第二十四条の規定に基づき、令和八年熊本地震による激甚災害に関し定める件(令和8年経済産業省告示第112号・令和8年8月28日/官報号外第192号)
- 令和8年8月28日付 官報 目次(インターネット版官報)
- セーフティネット保証4号(中小企業庁)/令和8年熊本地震の指定地域・指定期間(PDF・2026年9月18日更新)
- 官報 令和8年9月18日(本紙 第1793号)目次 経済産業省告示第119号