障害基礎年金などの所得制限額を2.58%引き上げ 政令改正で据え置きによる支給停止を回避 令和8年(2026年)7月15日公布

20歳前の傷病による障害基礎年金や、障害児福祉手当、特別障害給付金、障害・遺族の年金生活者支援給付金について、所得による支給停止の基準額(所得制限額)を2.58%引き上げる政令改正が令和8年(2026年)7月15日に公布されました。受給者全体の所得の伸びを反映し、収入が平均的に増えた人が基準超過で支給停止や減額にならないようにするものです。施行は原則として令和8年10月1日(障害児福祉手当等の分は8月1日)です。

障害のある人に関わる年金や手当のうち、本人の所得によって支給が止まる仕組みのものについて、その基準額(所得制限額)を引き上げる政令が公布されました。**「国民年金法施行令等の一部を改正する政令」(令和8年政令第226号)**で、令和8年(2026年)7月15日に公布されています。所管は厚生労働省です。

何が変わるのか

対象となるのは、本人の前年の所得が一定額を超えると支給が止まる(または半分になる)タイプの給付です。今回、その判定に使う基準額をいずれも2.58%引き上げます

給付基準額(改正前 → 改正後)
20歳前傷病による障害基礎年金(2分の1支給停止となる額)376万1千円 → 385万8千円
同(全額支給停止となる額)479万4千円 → 491万8千円
障害児福祉手当等(本人所得の基準額)366万1千円 → 375万8千円
特別障害給付金376万1千円 → 385万8千円 / 479万4千円 → 491万8千円
障害・遺族の年金生活者支援給付金479万4千円 → 491万8千円

いずれも受給する人が手続きをする必要はなく、基準額が自動的に引き上げられます。

なお、この改正で受給額が変わる人には、日本年金機構から「年金決定通知書・支給額変更通知書」が送付されます(厚生労働省のパブリックコメント回答)。自分から届け出る必要はありません。

また、ここに示した金額は基準となる額で、実際に支給が止まるかどうかの判定は、扶養親族の数などに応じて変わります。自分の場合の基準額は、年金事務所や市区町村の窓口で確認してください。

なぜ引き上げるのか

これらの給付は、保険料を納めた実績ではなく税金を財源とする面があるため、本人の前年の所得が高いと支給を止めるという所得制限が設けられています。

問題は、世の中全体の賃金・所得が上がっていくと、基準額を据え置いたままでは、収入が平均的に増えただけの人まで「基準超過」で支給停止・減額になってしまうことです。これは「前年に受給していた人が翌年も引き続き受給できるようにする」という制度の考え方に反します。

そこで厚生労働省は、受給権者全体の**前年所得の平均的な伸び率(2.58%)**を勘案し、基準額を同じ率で引き上げることにしました。

厚生労働省の説明によると、20歳前の傷病による障害基礎年金の受給権者は約123万人(令和6年度厚生年金保険・国民年金事業年報)で、このうち約8割は課税所得がありません。仮に令和7年の所得が前年から平均並み(2.58%)に増えたとして基準額を据え置いた場合、数百名程度が全額支給から半額停止、または半額支給から全額停止になると見込まれていました。今回の引き上げは、こうした人が支給停止・減額にならないようにするものです。

いつから始まるのか

施行日は給付の種類によって分かれています。

  • 令和8年(2026年)8月1日 … 障害児福祉手当等(特別児童扶養手当等の支給に関する法律施行令に係る改正分)。令和8年8月以後の月分に適用されます。
  • 令和8年(2026年)10月1日 … 20歳前傷病による障害基礎年金、特別障害給付金、障害・遺族の年金生活者支援給付金。令和8年10月以後の月分に適用されます。

これらの給付の所得制限額は、賃金・所得の動向に合わせて毎年見直されており、障害児福祉手当等は8月分から、障害基礎年金などは10月分から新しい基準額に切り替わるのが通例です(前年の令和7年も同じ時期に改定されています)。

パブリックコメントでのやり取り

この政令案は、令和8年(2026年)5月15日から6月13日まで意見募集(パブリックコメント)が行われ、2件の意見が寄せられました。

主な意見は、「引き上げ率の基準を、パートを含む全労働者平均(+2.6%前後)ではなく、フルタイム労働者の賃金上昇率に合わせて、引き上げ幅をもっと大きくすべき」というものでした。これに対して厚生労働省は「貴重なご意見として承る」とし、今回は**所得の平均的な伸び率(2.58%)**を勘案して2.58%の引き上げを行うと回答しています。あわせて、来年度以降も所得の伸び率などを勘案して必要な見直しを行っていくとしています。

誰に関係するか

20歳前に初診日がある傷病で障害基礎年金を受けている人、障害児福祉手当・特別障害者手当を受けている人やその家族、特別障害給付金や障害・遺族の年金生活者支援給付金を受けている人に関係します。

とくに、前年の所得が旧基準額をわずかに超えていて支給停止や減額になっていた人は、新しい基準額では対象に戻る可能性があります。心当たりのある場合は、日本年金機構(年金事務所)や、お住まいの市区町村の担当窓口に確認してください。

出典

家族に説明するなら

障害のある人がもらえる年金や手当の中には、『前の年の収入が多いと減らされたり止められたりする』ものがあるんだ。でも世の中の給料が上がると、収入が少し増えただけで『基準オーバー』になって、今までもらえていた人がもらえなくなってしまう。それはおかしいよね。そこで、みんなの所得の伸び(平均で2.58%)に合わせて、その『基準の金額』を引き上げる政令が2026年7月15日に決まったよ。これで平均的に収入が増えた人は、今までどおり受け取れる。自分で何かの手続きをする必要はなくて、8月と10月から自動的に基準が上がるんだ。

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