一部のワクチンなどの医薬品は、販売や授与をする前に、厚生労働大臣が指定する機関の検査(いわゆる「国家検定」)を受けて合格しなければならないと薬機法(医薬品医療機器等法)第43条第1項で定められています。その「検査を受けるべき医薬品」の品目・手数料・試験品の数量・検査機関・検査基準は、厚生労働大臣の告示(検査告示)で決められています。
この検査告示の改正が、令和8年(2026年)9月16日の官報(号外第206号)に厚生労働省告示第352号として公布されました。7月に意見募集が行われた案が、そのまま告示になったものです。
何が変わったのか
主な内容は次の3点です。
- 帯状疱疹ワクチンの追加:「組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)」を、検査を受けるべき医薬品として指定し、手数料・試験品の数量・検査機関・検査基準を定めました。
- 混合ワクチンの試験方法の追加:「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオヘモフィルスb型混合ワクチン」と「沈降精製百日せきジフテリア破傷風不活化ポリオ混合ワクチン」について、不活化ポリオウイルスの力価試験に「D抗原含量試験」の場合を加え、手数料・試験品の数量を改めました。
- 一部ワクチンの検査項目の見直し:「乾燥組換え帯状疱疹ワクチン(チャイニーズハムスター卵巣細胞由来)」と「乾燥細胞培養痘そうワクチン(最終段階)」について、一部の試験項目の廃止にあわせ、手数料・試験品の数量・検査基準を改めました。
新しく加わった「組換え帯状疱疹ワクチン」と、もともと対象だった「乾燥組換え帯状疱疹ワクチン」は、名前が似ていますが別の品目として告示に並んでいます。
手数料の金額や試験品の本数は、告示の表で定められています。この記事では、官報の表から金額と品目の対応を確実に読み取れなかったため、数値は載せていません。
「承認見込み」の段階で手続きを進めた理由
案の段階では、組換え帯状疱疹ワクチンは「新たに製造販売承認される見込み」とされていました。承認前に検査告示の改正手続を進めることについて、意見募集では「フライング感や形骸化の印象を与えかねない」という意見が出ています。
厚生労働省は、検査を受けるべき医薬品は承認後に品質確保の観点から速やかに検査基準を設けることが適当なため、承認が見込まれる医薬品について、承認後の迅速な基準設定に支障が生じないよう、あらかじめ改正手続を進めたと回答しています。あわせて、承認されなかった場合は当然その改正は行わないとしています。
9月16日には、同じ号外に生物学的製剤基準の改正(厚生労働省告示第351号)も載っています。
試験項目を廃止できる理由
同じ意見は、一部ワクチンの試験項目の廃止について、概要資料に「検定検査協議会において承認された」という事実しか書かれておらず、なぜ廃止できるのかが分からない、とも指摘していました。
厚生労働省は、国家検査を担う国立健康危機管理研究機構の検定検査協議会が、ワクチンの品質に関わる専門家の科学的な検討を踏まえて判断しており、今回の改正もワクチンの品質確保に支障がないことを確認したうえで行うものだと回答しています。
意見募集の経過
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 意見募集の期間 | 令和8年7月3日〜8月1日(受付締切は8月2日0時) |
| 提出意見数 | 1件 |
| 案の修正 | 無 |
| 結果の公示日・告示日 | 令和8年9月16日(厚生労働省告示第352号) |
| 所管 | 厚生労働省 医薬局 監視指導・麻薬対策課 |
案の概要では、適用期日は告示日とされていました。
誰に関係するか
直接関係するのは、対象となるワクチンなどの生物学的製剤を製造・輸入販売する事業者です。国家検定の対象品目や検査手数料・試験品の数量に影響します。
一般に接種を受ける人が、この改正によって手続きや費用の変更を求められるものではありません。