高額療養費制度が令和8年8月から見直し 月額上限を引き上げ・「年間上限」を新設

医療費の自己負担が一定額を超えたときに払い戻される「高額療養費制度」が、令和8年(2026年)8月から見直されます。1か月ごとの自己負担限度額が所得区分に応じて引き上げられる一方、直近12か月で4回以上該当したときの「多数回該当」の額は据え置かれ、新たに1年間(8月から翌年7月まで)の自己負担に上限を設ける仕組みが導入されます。

医療機関や薬局の窓口で支払う医療費の自己負担が一定額を超えたときに、超えた分が払い戻される**高額療養費制度**が、令和8年(2026年)8月から見直されます。根拠は、令和8年(2026年)5月29日に成立した医療保険制度の改正法です。

この見直しを具体的に定める**「健康保険法施行令等の一部を改正する政令」(政令第240号)と、関係する「健康保険法施行規則等の一部を改正する省令」**が、令和8年(2026年)7月29日に公布されました。あわせて意見募集(パブリックコメント)の結果も同日公示され、4,300件の意見が寄せられましたが、案の修正はありませんでした。所管は厚生労働省です。

何が変わるのか

見直しのポイントは、次の3つです。

1. 1か月ごとの上限額の引き上げ

1か月ごとの自己負担限度額が、1人当たり医療費の伸びなどを踏まえ、所得区分に応じて引き上げられます。たとえば70歳未満で年収約370万〜770万円の人の上限額は、現行の「80,100円+医療費の1%」から「85,800円+1%」に、住民税非課税の人は「35,400円」から「36,900円」に変わります。低所得の区分では引き上げ幅がおさえられています。

2. 「多数回該当」は据え置き

直近12か月の間に高額療養費に4回以上該当したときの4回目以降の上限額(多数回該当)は、長く治療を続ける人の負担を増やさないよう、現行の額のまま据え置かれます

3. 「年間上限」の新設

これまでの高額療養費は1か月ごとの上限だけでしたが、新たに**1年間(8月から翌年7月までの12か月)**の自己負担にも上限(年間上限)を設けます。月ごとの上限には届かなくても、治療が長く続いて自己負担が積み上がった場合に、年間上限に達した後はその年はそれ以上の支払いが不要になります。長期にわたって療養する人などのセーフティネットが強化されます。

具体的な上限額(70歳未満・令和8年8月〜令和9年7月)

70歳未満の場合、所得区分ごとの上限額は次のとおりです。

年収の目安1か月の上限額多数回該当※年間上限(新設)
約1,160万円〜270,300円+(医療費−901,000円)×1%140,100円168万円
約770万〜約1,160万円179,100円+(医療費−597,000円)×1%93,000円111万円
約370万〜約770万円85,800円+(医療費−286,000円)×1%44,400円53万円
〜約370万円61,500円44,400円53万円
住民税非課税36,900円24,600円29万円

※多数回該当=直近12か月に4回以上該当したときの4回目以降の上限額。

70歳以上の人も、月ごとの上限額の見直しや年間上限の新設が行われ、外来だけの上限(外来特例)についても見直しがあります。金額は所得区分によって異なるため、くわしくは公式の一覧表で確認してください。

いつから始まるのか

見直しは令和8年(2026年)8月から始まります(令和8年8月から令和9年7月までの内容)。さらに令和9年(2027年)8月以降には、負担能力に応じて所得区分をさらに細分化することとされており、見直しは段階的に実施されます。

共済組合も同じ内容で改正された

高額療養費は、会社員などの健康保険だけでなく、公務員や私立学校の教職員が加入する共済組合にも同じ仕組みがあります。健康保険法施行令等の改正にあわせて、共済組合側の省令も令和8年(2026年)7月31日に公布され、同年8月1日から施行されます。

制度改正された省令番号
国家公務員共済組合国家公務員共済組合法施行規則の一部を改正する省令令和8年財務省令第52号
私立学校教職員共済私立学校教職員共済法施行規則の一部を改正する省令令和8年文部科学省令第27号

いずれも、健康保険法施行規則等の一部を改正する省令と実質的に同一の内容であるため、行政手続法第39条第4項第5号により意見公募手続は行われていません。改正の中身は、住民税非課税区分を1区分から2区分に分けることに伴う規定の見直しと、新設される年間高額療養費の決定請求手続の整備です。

つまり、加入している医療保険が共済組合であっても、月ごとの上限額の引き上げと年間上限の新設は同じように適用されます

誰に関係するか

高額療養費制度を利用する可能性のある人、とくに入院や手術などで医療費が高額になりそうな人や、長期の治療を続けている人に関係します。

具体的な限度額(月ごと・年間)は、年齢と所得区分によって異なります。正確な金額は加入している公的医療保険や厚生労働省の公式ページで確認してください。入院などの際は、マイナ保険証や「限度額適用認定証」を使うと、窓口負担を上限額までに抑えられます。

制度の基本的な仕組みについては、あわせて高額療養費制度の解説もご覧ください。

出典

家族に説明するなら

病気やけがで医療費が高くなっても、1か月の自己負担が上限を超えた分は戻ってくる制度を『高額療養費制度』というよ。この制度が2026年8月から変わるんだ。大きな点は3つ。1つめは、1か月ごとの上限の金額が、所得に応じて少し上がること。2つめは、長く治療を続ける人向けの割引(多数回該当)はそのまま据え置かれること。3つめは、新しく『1年間(8月〜翌7月)』の上限ができて、その額に達したらその年はもう払わなくてよくなること。具体的な金額は年齢や所得で違うから、自分の上限は加入している健康保険(協会けんぽ・健保組合・国保など)で確認してね。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。