令和8年(2026年)7月28日に発生した「令和8年熊本地震」の被災者について、税の特例が令和8年8月4日付でまとめて示されました。国税の申告・納付期限の延長、地方税の減免、森林環境税の免除の3つです。
なお、手続きや対象は今後変わる可能性があります。実際に申請するときは、必ず税務署やお住まいの市区町村の最新の案内で確認してください。
国税は4市町で申告・納付期限が自動延長
国税庁は、次の地域に納税地のある方について、国税に関する申告・申請・請求・届出その他の書類の提出および納付等の**期限を延長する(地域指定)**こととしました。
対象となる納税者
- 熊本県八代市
- 熊本県宇土市
- 熊本県宇城市
- 熊本県八代郡氷川町
これらの市町に納税地のある方(法人を含む)が対象です。
延長される期限
令和8年(2026年)7月28日以降に到来する国税の申告・納付等の期限が、全ての税目について自動的に延長されます。たとえば、毎月10日が納付期限の源泉所得税等についても期限が延長されます。
申告・納付等の期限をいつまで延長するかについては、被災者の状況に十分配慮しつつ今後検討されるとされています。現時点では終期は決まっていません。
この地域指定による期限の延長措置は、近日中に官報で告示される予定です。
4市町以外に納税地がある場合
上記4市町以外に納税地がある方でも、この地震により被災して申告・納付等をすることができない場合には、所轄の税務署に申請することで期限の延長を受けられます。
この申請は、当初の期限を経過し、状況が落ち着いた後に、申告・納付等と同時に行うことも可能です。被災直後に急いで手続きをする必要はありません。
地方税は期限延長・徴収猶予・減免
総務省自治税務局長は令和8年8月4日、各都道府県知事あてに「令和8年熊本地震による被災者に対する減免措置等について」(総税企第80号)を通知しました。地方自治法第245条の4に基づく技術的な助言です。
3つの措置
地方税について、地方団体の長がとりうる措置は次の3つです。実際にどの措置をどこまで行うかは、各自治体の条例や判断によります。
- 期限の延長:災害により申告等ができないと認められる人が広範囲に生じた場合、自治体の長は職権で地域と期日を指定して一律に期限を延長できます。国税庁長官が地域と期日を指定して一律に延長する場合は、地方団体の長はその措置に準じて一律に延長することとされています。
- 徴収の猶予:災害で財産に被害を受け、地方税を一時に納付できないと認められるときは、申請に基づいて徴収が猶予されます。
- 減免:災害が広範囲に発生した場合、自治体はその都度条例を定めて減免します。
個人住民税の減免の取扱い例
総務省が示している取扱い例(平成12年4月1日自治税企第12号)では、個人の住民税について次の基準が示されています。災害を受けた日以後に納期の末日が到来する当該年度分の税額が対象です。
死亡した場合、生活保護法による生活扶助を受けることとなった場合は全部、障害者となった場合は10分の9が軽減・免除されます。
住宅または家財の損害については、損害金額(保険金・損害賠償金等で補てんされる金額を除く)がその価格の10分の3以上で、前年中の合計所得金額が1,000万円以下である場合に、次の割合で軽減・免除されます。
| 前年中の合計所得金額 | 損害割合 10分の3以上10分の5未満 | 損害割合 10分の5以上 |
|---|---|---|
| 500万円以下 | 2分の1 | 全部 |
| 750万円以下 | 4分の1 | 2分の1 |
| 750万円超 | 8分の1 | 4分の1 |
市町村長が個人の市町村民税を減免した場合、個人の道府県民税も同じ割合で減免されたものとされます。
なお、大規模災害時に迅速な減免認定を行う必要がある場合などには、り災証明書における住宅被害の程度を踏まえた減免基準を設けることも考えられる、とされています。
固定資産税・都市計画税の特例
固定資産税・都市計画税については、次の措置が講じられています。
- 被災住宅用地の特例:震災等により滅失・損壊した住宅の敷地について、被災後2年度分(避難指示が出された一定の場合は解除後3年度分、被災市街地復興推進地域に定められた場合は4年度分)、その敷地を住宅用地とみなして住宅用地特例を適用します。
- 代替家屋等の特例:震災等により滅失・損壊した家屋または償却資産の所有者等が、被災者生活再建支援法が適用された市町村の区域内で、その家屋・償却資産に代わるものを取得等した場合、最初の4年度分について2分の1を減額します。
このほか、固定資産そのものの損害を伴わない冷害・凍霜害等の農作物に係る災害の場合は、原則として徴収猶予の措置によることとされています。
なお、令和8年熊本地震について、被災者生活再建支援法の適用は、8月4日時点で内閣府の適用状況一覧に掲載されていません。代替家屋等の特例の適用可否は、支援法の適用状況を確認してください。
森林環境税は全額免除になる場合がある
総務省自治税務局市町村税課は令和8年8月4日、各都道府県市区町村担当課あてに「令和8年熊本地震による被災者に対する森林環境税の免除について」の事務連絡を出しました。
森林環境税とは
森林環境税は、森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律(平成31年法律第3号)に基づく国税で、税率は年額1,000円です。賦課徴収の事務は市町村が行い、個人住民税と併せて徴収されます。
免除の基準
災害により生命・身体・財産に甚大な被害を受けた人は、森林環境税が全額免除されます(一部の額のみを軽減することはできません)。
り災証明書における住宅の被害の程度による免除の可否は、次のとおりです。
| 住宅の被害の程度 | 前年中の合計所得金額 500万円以下 | 同 500万円超750万円以下 |
|---|---|---|
| 半壊に相当(損害割合20%以上30%未満) | - | - |
| 中規模半壊に相当(同30%以上40%未満) | 免除する | - |
| 大規模半壊に相当(同40%以上50%未満) | 免除する | - |
| 全壊に相当(同50%以上) | 免除する | 免除する |
このほか、災害により死亡した人、災害により障害者となった人も免除の対象です。
り災証明書の被害の程度で判定する場合は、保険金や損害賠償金等で埋められた部分の金額は除かず、住宅の被害の程度のみによって判定されます。
申請が必要(ただし特定非常災害に指定されれば職権免除)
森林環境税の免除は、原則として納税義務者からの申請書の提出が必要です。申請書は賦課期日現在の住所地の市町村長に提出します。
ただし、令和8年4月1日以降は、特定非常災害の指定を受けた場合において、災害に係る免除要件のいずれかに該当することが明らかであるときは、申請書の提出がなくても市町村長が職権で免除することが可能になっています。
令和8年熊本地震について特定非常災害の指定が行われた際には、改めて事務連絡で周知される予定です。
免除される額は、申請書の提出があった日(市町村長が必要と認める場合には免除に係る事由が発生した日)以後に納期限が到来する森林環境税の額です。
まず確認すること
- り災証明書を市区町村に申請する。住民税・森林環境税の減免や免除の判定に使われます。
- 国税は、八代市・宇土市・宇城市・氷川町に納税地があれば手続き不要で期限が延長されます。それ以外の地域は所轄の税務署に相談・申請します。
- 地方税の減免・徴収猶予は、お住まいの市区町村・都道府県の税務担当窓口に相談します。実際の取扱いは各自治体の条例によります。
被災したときの相談先全般は、令和8年熊本地震のまとめ記事と災害で被災したときの公的支援・相談先まとめもあわせてご覧ください。
支援制度を装った詐欺にも注意してください。役所が電話で口座番号を聞くことはありません。給付金・支援金・還付金をかたる詐欺に注意を参考にしてください。
出典
- 令和8年熊本地震による被災者に対する減免措置等について(通知)(総務省・令和8年8月4日)(総税企第80号。別添2に国税庁「令和8年熊本地震に係る国税の申告・納付等の期限の延長について」を収録)
- 令和8年熊本地震による被災者に対する森林環境税の免除について(事務連絡)(総務省・令和8年8月4日)
- 被災者生活再建支援法の適用状況(内閣府)