マンションの管理計画認定制度について、認定基準などを定める告示と省令の改正が令和8年(2026年)7月31日に公布されました。施行は令和9年(2027年)4月1日です。
管理計画認定制度とは
管理計画認定制度は、マンションの管理の適正化の推進に関する法律(平成12年法律第149号、管理適正化法)に基づく制度です。管理組合が作成した管理計画が一定の基準に適合する場合に、地方公共団体(都道府県知事等)が認定します。
認定の基準は、国土交通大臣が同法第3条第1項に基づいて定める「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針」(令和3年国土交通省告示第1286号、基本方針)で示されています。長期修繕計画が適切に作られているか、修繕積立金が計画的に積み立てられているか、管理組合の運営体制が整っているかなどが確認されます。
今回改正されたもの
令和8年7月31日に、次の2つが公布されました。どちらも施行は令和9年4月1日です。
| 改正されたもの | 番号 | 公布 | 施行 |
|---|---|---|---|
| マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示 | 令和8年国土交通省告示第1017号 | 令和8年7月31日 | 令和9年4月1日 |
| マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令 | 令和8年国土交通省令第70号 | 令和8年7月31日 | 令和9年4月1日 |
背景にあるのは、令和7年(2025年)の老朽化マンション等の管理及び再生の円滑化等を図るための建物の区分所有等に関する法律等の一部を改正する法律(令和7年法律第47号)です。この法律で管理適正化法が改正され、管理計画認定制度の申請主体に分譲事業者が追加されるなどの措置が設けられました。その規定(改正法附則第1条第3号に掲げる規定・公布から2年以内の施行)の施行にあわせて、基準と手続を整えるものです。
何が変わるのか
新築の分譲段階で分譲事業者が認定を申請できるようになる
これまで管理計画認定の申請ができるのは管理組合の管理者等だけでしたが、分譲事業者も申請できるようになります。
国土交通省は理由として、新築の分譲マンションでは、長期修繕計画等の案が分譲事業者において作成され、それが管理組合に引き継がれることが一般的であるため、分譲事業者による管理計画の作成を認めることがマンション全体の管理水準の向上の観点から有効である、と説明しています。
分譲事業者が申請する場合の認定基準が新たに設けられ(基本方針の別紙3関係)、申請の添付書類として「長期修繕計画の案」「規約の案」「マンションの防災に関する方針を記載した書類」等が規定されます。
引継ぎが行われない場合は認定を取り消せる
分譲事業者が認定を受けた場合、管理組合の管理者等が選任されたときは、速やかに引継ぎのための変更認定申請をしなければなりません。
住戸の最初の引渡し日から1年6月の間に管理者等が選任されない場合には、認定を取り消すことができる規定が新設されます。また、管理者等が選任されたにもかかわらず変更認定申請がされていない場合は、都道府県知事等が改善命令をすることができます。
認定を受けている旨を表示できるようになる
認定を受けたマンションについて、認定を受けている旨の表示制度が創設されます。表示を付けられる対象として「広告」「契約に係る書類」等が規定されます。マンション現地での表示も可能です。
認定基準に「防災に関する方針」が加わる
管理組合の管理者等が申請する場合の添付書類に、「マンションの防災に関する方針を記載した書類」が追加されます。防災訓練の実施方針などを記載するものです。
パブリックコメントでは「4項目のうちいずれかが記載されていればよいという柔軟な基準にしてほしい」という意見が出ましたが、国土交通省は「各マンションにおいて防災に関する方針を検討していただくことが重要であるという観点から追加したもの」として原案どおりとしました。すでに防災マニュアルを作っているマンションでも、記載されていない事項があれば追加的に検討する必要があるとしています。
書類の参考となる様式の例は、今後ガイドラインで示される予定です。
管理者等・監事の選任と解任、任期の規約規定が基準に
認定基準に、「管理者等及び監事の選任及び解任に関する事項並びに任期」「集会において決議すべき事項」が管理規約に定められていることが追加されます。
意見募集では、「決議要件を加重するなどして一度選任された管理者の解任や新しい管理者の選任を実質的に難しくし、ずっと同じ者が管理者となってしまうような管理規約の定めをおいている場合は望ましくない」という意見が出され、これを踏まえて基準が修正されました。修正後は、選任・解任について集会の決議による旨(管理規約に基づき理事会を置く場合は、管理者の選任・解任は理事会の決議、監事の選任・解任は集会の決議による旨)が定められており、かつ「管理者等及び監事の選任及び解任を困難にするおそれがある事項が定められていないこと」が求められます。
任期については、2年を超えない範囲内で定められていることが基準になります。
長期修繕計画の見直しは「5年以内」に
長期修繕計画の見直しに関する基準が、従来の「申請日前7年以内」から「申請日前5年以内」(認定の更新の申請の場合は、従前の認定を受けた日から当該申請の日までの間)に短縮されます。
パブリックコメントでは「見直し案を5年以内に作成しても総会の議決を得るまでに1〜2年かかることがあるため7年を維持すべき」という意見が出ましたが、国土交通省は「認定を受けたマンションにおいては認定の有効期間内に長期修繕計画の見直しを行っていることが望ましい」として原案どおりとしました。
分譲事業者の申請には修繕積立金の水準の基準がある
分譲事業者による申請(分譲事業者から管理組合の管理者等への引継ぎに係る変更の認定の申請を含む)のときは、計画期間全体における一月当たりの修繕積立金の徴収金額の平均額が、基準額の0.6倍から1.1倍の範囲に収まることが求められます。
国土交通省は、この基準額を「計画期間全体における修繕積立金の徴収金額の総額(円)÷マンションの総専有床面積(㎡)÷長期修繕計画の計画期間(月)」で算出することを想定していると説明しています。積立金の当初月額が過度に低くなる傾向を是正する趣旨です。
パブリックコメントの結果
| 案件 | 募集期間 | 提出意見 | 案の修正 |
|---|---|---|---|
| 基本方針の改正告示案 | 令和8年6月1日〜6月30日 | 41件(16名・団体) | 有 |
| 施行規則等の改正省令案 | 令和8年6月16日〜7月15日 | 23件(10名・団体) | 無 |
告示案については、上記の管理者等・監事の選任解任に関する基準のほか、「マンション管理業者が管理組合の管理者等を兼ねる外部管理者方式を採用する場合には」という表現への修正、「計画的な修繕積立金の積立て等」とより広く読めるようにする修正が行われました。
いま管理組合で確認しておきたいこと
施行は令和9年4月1日ですが、すでに認定を受けているマンションは更新申請の際に新しい基準で審査されることになります。次の点を早めに点検しておくとよいでしょう。
- 管理規約に、管理者等・監事の選任および解任に関する事項と任期が定められているか。選任・解任を困難にするおそれがある定めがないか
- 管理規約に、集会において決議すべき事項が定められているか
- マンションの防災に関する方針を記載した書類があるか。防災訓練の実施方針などが検討されているか
- 長期修繕計画の見直しが申請日前5年以内に行われる見込みか
- 管理規約が、令和7年の法改正やマンション標準管理規約の改正内容に対応しているか
具体的な運用の多くは、今後国土交通省が改定するガイドラインで示される予定です。認定の申請や更新を予定している場合は、ガイドラインの公表と、お住まいの自治体の案内を確認してください。
出典
- マンション管理適正化法(国土交通省・令和7年法改正の関係法令一覧)
- マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示について(概要)(国土交通省住宅局)
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(概要)(国土交通省住宅局)
- マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針の一部を改正する告示案に関する意見募集の結果について(e-Gov・案件番号155260713)
- マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則及び長期優良住宅の普及の促進に関する法律施行規則の一部を改正する省令案に関する意見募集の結果について(e-Gov・案件番号155260714)