【10月10日 追記】 内閣府は10月9日、この激甚災害の対象を「令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害(仮称)」とし、公共土木施設の災害復旧事業の補助率嵩上げ(71%→84%)など5つの措置を追加する見込みだと公表しました。適用見込みの措置は合わせて7つになります。農林水産省も同日、災害査定の効率化の対象に共同利用施設・海岸・漁港などの施設と、神奈川県・茨城県などの区域を追加しました(下の「10月9日の追加」の節)。
内閣府(政策統括官(防災担当))は令和8年(2026年)8月27日、令和8年梅雨前線豪雨・令和8年8月千葉豪雨等による災害について、激甚災害に指定し、適用すべき措置を適用する見込みになったと公表しました。
これは「事前公表」で、正式な指定は今後制定される政令によって決まります。内閣府は「今後は、激甚災害として指定する政令の制定に向けた手続を進めてまいります」としています。
何が指定される見込みなのか
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 災害の名称(仮称) | 令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害(8月27日時点は「令和8年梅雨前線豪雨、令和8年8月千葉豪雨等による災害」) |
| 指定の種類 | 本激(全国を対象とする指定) |
| 根拠法 | 激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律(激甚災害法) |
| 適用措置(見込み) | 8月27日:第5条(農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置)、第24条第2項〜第4項(小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等) 10月9日に追加:第3条・第4条、第6条、第16条、第17条、第19条 |
| 公表日 | 令和8年8月27日(10月9日に追加) |
「本激」は、災害そのものを指定して全国どこでも要件を満たせば措置が適用されるものです(市町村単位で指定する「局激」と区別されます)。
内閣府は「今後、地方公共団体や関係省庁等による被害状況の把握の進展により、適用措置や地域が追加される場合がある」としています。8月27日の2措置に、10月9日に5措置が追加されました。
10月9日の追加:対象が台風25号まで広がり、措置は7つに
内閣府は令和8年10月9日、「新たな適用措置の追加指定見込み」を公表しました。災害の名称(仮称)は「令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害」になり、9月に千葉県・神奈川県などに大きな被害を出した台風25号までが、ひと続きの災害として扱われます。
| 条文 | 措置 | 内容 | 8月27日 | 10月9日 |
|---|---|---|---|---|
| 第3条・第4条 | 公共土木施設災害復旧事業等に関する特別の財政援助 | 河川・道路・公立学校・公営住宅・福祉施設などの復旧事業の国庫補助率を嵩上げ(過去5か年平均で71%→84%) | — | 追加 |
| 第5条 | 農地等の災害復旧事業等に係る補助の特別措置 | 農地・農業用施設・林道の補助率を嵩上げ(農地86%→97%) | 見込み | 継続 |
| 第6条 | 農林水産業共同利用施設災害復旧事業費の補助の特例 | 農協・漁協などの倉庫・共同作業場などの復旧の補助率を嵩上げ(通常20%→50%、農林水産大臣が告示した市町村は90%) | — | 追加 |
| 第16条 | 公立社会教育施設災害復旧事業に対する補助 | 公民館・図書館・体育館などの復旧に2/3を補助(通常は補助なし) | — | 追加 |
| 第17条 | 私立学校施設災害復旧事業に対する補助 | 私立学校の復旧に1/2を補助(通常は補助なし) | — | 追加 |
| 第19条 | 市町村が施行する感染症予防事業に関する負担の特例 | 市町村の消毒などの費用を都道府県が全額負担し、国がその2/3を負担 | — | 追加 |
| 第24条 | 小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等 | 小規模な復旧事業の地方債の元利償還金を交付税で措置 | 見込み | 継続 |
第3条・第4条の公共土木施設の措置は、個別の事業ごとに補助率を上げるのではなく、各事業の地方負担額を合計し、自治体の標準税収入に応じて一部を国が負担する「プール計算方式」です。地方負担分への交付税措置を加えると、実質の国の負担は98.6%から99.2%になります(いずれも過去5か年の実績の平均)。
第16条と第17条は、通常の災害では国の補助がない施設が対象です。第16条は1施設ごとの工事費が60万円以上のもの、第17条は工事費が学校の種類ごとに決められた額(幼稚園60万円以上、小学校150万円以上、大学300万円以上など)以上のものが対象です。
内閣府は「今後、地方公共団体や関係省庁等による被害状況の把握の進展により、適用措置や地域が追加される場合がある」としています。正式な指定は引き続き政令の制定を待ちます。
農林水産省の災害査定の効率化も対象を追加
農林水産省は同じ10月9日、災害査定の効率化の対象を追加しました(10月8日時点の被害報告で算定)。
- 対象施設の追加:農地・農業用施設・林道に加えて、農林水産業共同利用施設(農業関係・水産関係)と、公共土木施設災害復旧事業費国庫負担法の海岸(農業関係)・林地荒廃防止施設・地すべり防止施設(農業関係)・漁港。負担法施設は、机上査定の上限が1,000万円未満、採択保留の金額が4億円以上と、農地などより高く設定されています
- 農地の対象区域の追加:茨城県、神奈川県、岐阜県、兵庫県、和歌山県、鳥取県(9月14日の一覧との比較)
- 漁港:千葉県、東京都、和歌山県、香川県、沖縄県
- 林地荒廃防止施設:千葉県、神奈川県、長野県、三重県、滋賀県、広島県、長崎県、熊本県、宮崎県、沖縄県
都道府県ごとの対象区域の一覧は、農林水産省の発表資料で確認してください。
なお、農林水産省の資料には、激甚災害の指定見込みは「8月27日、9月4日及び9月25日に」公表済みと注記されています。9月14日の農林水産省の発表では、対象期間が8月27日からの北陸地方を中心とする大雨(富山県・石川県・福井県など)まで広がったとされています。ただし、内閣府の激甚災害の指定状況のページに載っているこの災害の資料は、8月27日と10月9日の2件だけです(10月10日時点)。
措置1:農地等の災害復旧事業等の補助率引上げ(第5条)
農地、農道や水路などの農業用施設、林道の災害復旧事業等について、農林水産業施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律等に基づく通常の国庫補助率を嵩上げするものです。
| 通常の災害時 | 激甚災害指定時 | |
|---|---|---|
| 農地の国庫補助率(過去5カ年の実績の平均) | 86% | 97% |
| 地方負担分への交付税措置を加えた実質 | 98.0% | 99.6% |
通常の災害でも、自治体の被災農家1戸当たりの復旧事業費に応じて段階的に国庫補助率が嵩上げされる仕組みがありますが、激甚災害に指定されるとその上に補助率が上乗せされます。
なお内閣府の資料には「激甚災害の措置は、いずれも一定以上の被害が生じた場合に適用され、その程度、範囲等は政令で定める基準に基づく」と注記があります。指定されれば自動的にどの地域でも適用される、というものではありません。
措置2:小災害債に係る元利償還金の基準財政需要額への算入等(第24条第2項〜第4項)
国庫補助の対象にならない小規模な農地等の災害復旧事業について、地方債の元利償還金を基準財政需要額に算入する措置です。市町村の財政負担を軽くするための仕組みです。
- 通常の災害時:国庫補助の対象とならない小規模な農業用施設・林道の災害復旧事業に係る一般単独災害復旧事業債の元利償還金を基準財政需要額に算入(起債充当率65%、元利償還金に対する交付税措置率47.5%〜85.5%=財政力補正)
- 激甚災害指定時:小災害復旧事業債の発行が可能になり、その元利償還金を基準財政需要額に算入(対象地域は総務大臣が告示)。1カ所の工事の費用が13万円以上40万円未満のものが対象で、起債充当率は農地50%・農業用施設・林道65%(特に被害の著しい区域では農地74%・農業用施設・林道80%)、元利償還金に対する交付税措置率は100%
事前公表を受けて災害査定が効率化される
農林水産省は同じ8月27日、激甚災害(本激)の指定の事前公表が行われたことを理由に、農林水産業施設について「大規模災害時の災害査定の効率化」を適用すると公表しました。平成29年1月13日から設けられているルールで、被災自治体等の災害査定に要する期間を大幅に縮減するものです。
効率化の内容は次の3つです。
- 机上査定の上限額の引上げ:500万円未満 → 査定見込み件数のおおむね7割(農地・農業用施設は9割)までの額
- 採択保留金額の引上げ:2億円以上 → 2億円を超え採択保留された件数のおおむね6割までの額
- 査定設計書に添付する図面等の簡素化:設計図書の作成において航空写真や代表断面図等を活用
「机上査定」は、原則として現地調査で行う災害査定を会議室等で書類のみで行う査定、「採択保留」は事業費の決定見込額が一定額以上となる場合に事業の採択を現地ではなく本省で行うことをいいます。現地調査の件数が減ることで査定期間が短くなり、被災施設の復旧に早く着手できるようになります。
対象区域(令和8年8月25日時点の被害報告で算定)
対象区域は、農林水産省に対する被害報告における被災箇所数が、過去5カ年の平均被災箇所数(本激を除く)を超えた区域です。
| 対象施設 | 対象区域(都道府県) |
|---|---|
| 農地 | 北海道、秋田県、山形県、栃木県、群馬県、新潟県、富山県、三重県、滋賀県、京都府、大阪府、奈良県、広島県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県 |
| 農業用施設 | 秋田県、山形県、栃木県、群馬県、千葉県、新潟県、富山県、三重県、滋賀県、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、鹿児島県 |
| 林道 | 北海道、岩手県、秋田県、山形県、新潟県、富山県、三重県、京都府、奈良県、和歌山県、広島県、山口県、徳島県、香川県、愛媛県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県 |
農林水産省は「その後の調査結果により、対象施設以外の施設及び対象区域以外の区域においても必要に応じて対象とする」としています。
いま確認したいこと
- ここで公表されたのは指定の見込みであり、正式には今後公布される指定政令で決まります。政令が公布されたら、対象となる措置と基準を必ず確認してください。
- 激甚災害の指定は、市町村や事業者が行う復旧事業への財政援助の仕組みです。被災した個人が直接申請して受け取るお金ではありません。個人向けの支援は災害で被災したときに使える支援制度を確認してください。
- 8月27日の時点の名称「令和8年梅雨前線豪雨、令和8年8月千葉豪雨等による災害」は、令和8年の梅雨入りから令和8年8月千葉豪雨までの間の豪雨及び台風による災害をまとめた呼び方でした(農林水産省の注記)。10月9日からは「梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害」になり、8月27日からの北陸の大雨や台風25号も含まれます。千葉県だけの話ではありません。千葉県の状況は令和8年8月千葉豪雨、台風25号は台風25号の記事にまとめています。
- 対象措置・対象地域は今後追加されることがあります。現時点で自分の地域が挙がっていなくても、後日追加される可能性があります。
出典
- 令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害に係る激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の新たな適用措置の追加指定見込みについて(内閣府・令和8年10月9日)
- 令和8年梅雨前線豪雨から台風第25号までの一連の気象現象による災害(仮称)における「大規模災害時の災害査定の効率化」の対象について(農林水産省・令和8年10月9日)
- 令和8年梅雨前線豪雨、令和8年8月千葉豪雨等による災害(仮称)における「大規模災害時の災害査定の効率化」の対象について(第2回)(農林水産省・令和8年9月14日)
- 令和8年梅雨前線豪雨、令和8年8月千葉豪雨等による災害に係る激甚災害及びこれに対し適用すべき措置の指定見込みについて(内閣府・令和8年8月27日)
- 令和8年梅雨前線豪雨、令和8年8月千葉豪雨等による災害(仮称)における「大規模災害時の災害査定の効率化」の対象について(農林水産省・令和8年8月27日)