農林水産省は令和8年(2026年)8月13日、ナラシ対策(収入減少影響緩和交付金)の積立金の納付期限を、令和8年8月31日から10月31日まで延長する省令を公布・施行しました。
「農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律施行規則」(平成18年農林水産省令第59号)の一部改正です。
期限までに積立金を納めないと、翌年度に交付金を受けられなくなります。対象になる農業者は、延長後の期限(10月31日)までに忘れずに納付してください。
ナラシ対策とは
正式には収入減少影響緩和交付金といいます。米・麦・大豆などの重要な農産物をつくる担い手(一定の経営規模以上の農業者や集落営農など)を対象に、収入の減少が農業経営に及ぼす影響を緩和するための制度です。
その年の販売収入の合計(当年産収入額)が標準的収入額を下回った場合に、差額の9割が補塡されます。
補塡の財源は、農業者と国が1対3の割合で負担します。この農業者の負担分が積立金です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 補塡される割合 | 標準的収入額との差額の9割 |
| 財源の負担割合 | 農業者1:国3 |
| 加入申請の期間 | 毎年4月〜6月末 |
| 積立金の納付期限(従来) | 同じ年の8月31日 |
何が変わったか
令和8年度における積立金の納付期限は、規則第11条第1項第2号イで交付前年度(令和8年)の8月31日とされていました。
今回の改正では、規則の附則第19条を新設し、この規定を読み替えることによって、令和8年10月31日まで期限を延長する措置が追加されました。
| 期限 | |
|---|---|
| 改正前 | 令和8年8月31日 |
| 改正後 | 令和8年10月31日 |
施行期日は公布の日(令和8年8月13日)です。
延長の理由は熊本地震
農林水産省は改正の趣旨として、令和8年熊本地震の発生に伴う家屋等の倒壊等の被害により、日常生活に多大な支障を来している農業者が多く存在していることを挙げています。
積立金の納付期限(8月31日)が迫るなかで、地震の影響により次の状況があるとしています。
- 倒壊した家屋等の復旧作業等、住民の生活の再建に総力を注がざるを得なくなっている地域があること
- これらの地域では、積立金の納付の手続を行ういとまもなく、また、本対策に関係する市町村、農協等においても、復旧作業等に追われ、納付の手続に係る援助を行える状況にないこと
このままでは納付期限までに積立金を納付できず、来年度にこれらの地域の農業者が交付金の交付を受けられなくなることが懸念されるため、期限を延長したと説明されています。
パブリックコメントは行われていない
この省令は、意見公募手続(パブリックコメント)を実施せずに制定されました。
農林水産省は、納付期限の延長は多くの農業従事者に対して裨益するものであり、令和8年熊本地震の発生から当該期限までが差し迫っていて速やかに延長する必要があることから、行政手続法(平成5年法律第88号)第39条第4項第1号(公益上、緊急に命令等を定める必要がある場合)に該当するとして、意見公募手続を行わなかったと公示しています。
まず確認すること
- 令和8年産のナラシ対策に加入している場合は、令和8年10月31日までに積立金を納付します。
- 納付の方法・金額・窓口は、加入手続きをした地域農業再生協議会・市町村・農協に確認してください。
- 納付が済んでいるか分からない場合は、早めに窓口に問い合わせてください。期限までに納付しないと交付金の対象から外れます。
熊本地震で被災した場合の支援制度全般については令和8年熊本地震のまとめと災害で被災したときの公的支援・相談先まとめをご覧ください。
米に関する制度としては、米の「民間備蓄」を義務化・中食や外食も届出対象に(食糧法改正)もあわせてご確認ください。
出典
- 農業の担い手に対する経営安定のための交付金の交付に関する法律施行規則の一部を改正する省令について(e-Govパブリック・コメント・令和8年8月13日公示)(案件番号550004390。命令等の公布日:令和8年8月13日)
- 省令の概要(農林水産省農産局穀物課経営安定対策室・令和8年8月)(PDF)