米の需給と価格の安定を図る法律、いわゆる食糧法(主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律)の改正法が、令和8年(2026年)7月15日に公布されました。**「主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第55号)**です。
なぜ改正されたのか
農林水産省は、今般の米価高騰の要因と、政府備蓄米の売渡しの対応を検証する中で、次の課題が明らかになったとしています。
- 農林水産省が、多様化する米の流通実態を的確に把握できていなかったこと
- 政府備蓄は売渡しの手続に時間を要し、機動性を欠くこと
そのうえで、米の安定供給を確保するには、外食・中食を含めて流通業者の取引実態を幅広く把握すること、官民を挙げた備蓄体制を構築して備蓄米の機動的な放出を可能にすることが必要だとしています。
あわせて、米の需要を拡大してそれに応じた生産を進めるためには、米の需要の減少を前提とした生産調整に関する規定を見直す必要があるとしています。
何が変わるのか
改正の柱は3つです。
1. 流通実態の把握を強化する
- 届出をする事業者の範囲が広がります。 これまでの米穀の出荷・販売業者に加えて、加工・中食・外食の事業者が対象に加わります(第9条関係)。
- 届出をした事業者には、国への在庫量、出荷・販売量などの定期的な報告が義務づけられます(第11条関係)。
- 届出や定期報告の適正性を担保するため、罰則が設けられます。
2. 備蓄制度を見直す
- 備蓄の目的が見直されます。 これまでは生産量の減少による供給不足に備えるものでしたが、需要量の増加などによる供給不足にも備えて保有できるようになります(第3条第2項関係)。
- 民間備蓄制度が創設されます。 政府備蓄に加えて、一定規模以上の民間事業者に、基準量以上の米の保有を義務づけます(第33条の2から第33条の8まで、第48条の2等関係)。
3. 需要に応じた生産を促す
- 米の需要減少を前提とした**「生産調整方針」に関連する規定が廃止されます**(改正前の第2条、第5条から第7条まで、第9条第1号関係)。
- 代わりに、生産者は需要に応じた生産に主体的に努力すること、政府は需要に応じた生産を促進することなどを明記した責務規定が新設されます(第5条関係)。
いつから始まるのか
施行日は内容によって3つに分かれます。
| 内容 | 施行日 |
|---|---|
| 原則(届出対象の拡大、定期報告の義務化、生産調整方針の廃止など) | 公布の日から1年を超えない範囲内で政令で定める日 |
| 備蓄の目的の見直し | 公布の日(令和8年7月15日) |
| 民間備蓄制度の創設 | 公布の日から2年を超えない範囲内で政令で定める日 |
備蓄の目的の見直しだけは公布と同時に動き出しており、それ以外は今後の政令で施行日が決まります。具体的な届出・報告の開始時期は、政令の公布を待つことになります。
誰に関係するか
消費者にとっては、この改正のために行う手続きはありません。米の流通量や在庫を国が把握しやすくなり、供給が不足しそうなときに備蓄米を機動的に出せる体制を整えるための改正です。
一方、米を扱う加工・中食・外食の事業者は、新たに届出と定期報告の対象になる可能性があります。対象となる規模や報告の様式は今後の政省令で具体化されるため、農林水産省の案内を確認してください。
出典
- 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第55号・令和8年7月15日公布)
- 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案の概要(農林水産省・PDF)
- 主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律の一部を改正する法律案(内閣法制局)
- 令和8年に公布された法律(内閣法制局)