令和8年熊本地震の被災者が借入れや本人確認、携帯電話の契約をするときや、義援金を送金するときの手続の特例が設けられました。関係する府省令・命令は令和8年(2026年)8月6日に公布・施行されています。
| 何の手続 | どうなったか | 期間 |
|---|---|---|
| 貸金業者からの借入れ | 総量規制の例外・枠内貸付けの手続が弾力化 | 8月6日から |
| 義援金の振込 | 専用口座あて200万円以下は取引時確認の対象外 | 8月6日から |
| 被災者の本人確認(金融機関) | 当分の間、申告による確認も可 | 8月6日から |
| 携帯電話の契約 | 本人確認方法の特例 | 8月6日〜令和9年1月31日 |
令和8年熊本地震のまとめと税の特例、被災時の支援まとめも確認できます。
貸金業者から借りるときの手続
被災者が貸金業者から返済能力を超えない借入れをしようとする際、特定の書面を用意できないなどの手続上の問題によって、本来借りられる資金を借りられない不都合を取り除くため、次の手続が弾力化されました。
- 総量規制の例外である「社会通念上緊急に必要と認められる費用」の借入手続等
- 総量規制の例外である個人事業主の借入手続
- 極度額方式によるキャッシング(総量規制の枠内貸付け)の借入手続
- 総量規制の例外である、配偶者の年収と合算して年収を算出する場合の借入手続
総量規制は、貸金業者からの借入残高を原則として年収の3分の1までに制限するルールです。今回の改正は、総量規制そのものを緩和したものではありません。例外または規制の枠内で貸付けを受けるときの手続を弾力化したもので、返済能力を超える借入れが可能になったわけではありません。
改正府令は行政手続法第39条第4項第1号の、公益上、緊急に命令等を定める必要があり手続の実施が困難な場合に該当するため、パブリックコメントは実施されていません。金融庁は日本貸金業協会にも要請文を出しています。
義援金を現金で送金するとき
令和8年熊本地震への寄附のために行う現金送金は、送金先口座が専ら寄附を受けるために開設された口座であり、金額が200万円以下の場合、取引時確認義務の対象から除かれます。
義援金を窓口から振り込むときに、本人確認書類の提示を求められる場面が減る特例です。金融機関ごとに実際の取扱いが異なるため、取引先の金融機関に確認してください。義援金をかたる詐欺にも注意し、給付金・支援金・還付金をかたる詐欺に注意も確認してください。
金融機関で本人確認を受けるとき
令和8年熊本地震で被災し、正規の方法による本人特定事項の確認が難しいと認められる顧客については、暫定措置として、当分の間、本人から申告を受ける方法で確認できるようになりました。
通帳や身分証を失った被災者でも、口座開設などの手続を進めやすくする特例です。正規の確認方法を使えるようになった後は、特定事業者が遅滞なくその方法で確認します。実際の取扱いは各金融機関に確認してください。
海外に送金するとき(外国為替取引)
同じ8月6日の官報には、外国為替に関する省令の一部を改正する省令(令和8年財務省令第58号)も載っています。附則に第12条が加えられ、令和8年熊本地震で災害救助法が適用された市町村の区域に住所・居所または主たる事務所を有する顧客や代表者等で、通常の方法による本人確認が困難と認められる場合の本人確認方法について特例が置かれました。
外国為替及び外国貿易法第18条第1項は、銀行等が海外送金などの取引をするときに本人確認をすることを義務づけています。この確認方法を、当分の間、当該顧客または代表者等から申告を受ける方法とすることができます。銀行等は、通常の方法で本人確認を行うことができるようになった後、遅滞なくその方法による確認を行います。
金融機関での口座開設などの特例(犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則)とは根拠が別で、海外送金などの外国為替取引を対象にした特例です。この省令も公布の日から施行されています。
携帯電話を契約するとき
本人確認書類を失った被災者が携帯電話等を契約する際の本人確認方法等について、令和8年8月6日から令和9年1月31日まで特例が設けられました。
根拠は携帯電話不正利用防止法(平成17年法律第31号)の施行規則(平成17年総務省令第167号)で、改正省令は総務省令第99号です。実際の手続は携帯電話事業者に確認してください。
多重債務の相談窓口
財務局、都道府県、市区町村には多重債務相談窓口が設けられています。金融庁の問合せ先は次のとおりです。
- 電話:0570-016811(IP電話からは 03-5251-6811)
- 受付時間:平日10時00分〜17時00分
関係する法令
- 貸金業法施行規則の一部を改正する内閣府令(内閣府令第71号)
- 犯罪による収益の移転防止に関する法律施行規則の一部を改正する命令(内閣府・総務・法務・財務・厚生労働・農林水産・経済産業・国土交通省令第6号)
- 携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則の一部を改正する省令(総務省令第99号)
- 外国為替に関する省令の一部を改正する省令(財務省令第58号)
いずれも令和8年8月6日、官報特別号外第37号で公布・施行されました。