令和8年(2026年)8月14日、「医師法施行規則等の一部を改正する省令」(令和8年厚生労働省令第128号)が公布・施行されました(官報号外第182号、全42ページ)。
医療の6資格の施行規則の様式を、まとめて改めるものです。令和8年は2年ごとの届出を行う年にあたるため、年末の届出から新しい様式になります。
対象になる6本の施行規則
| 条 | 施行規則 | 改正される様式 |
|---|---|---|
| 第1条 | 医師法施行規則(昭和23年厚生省令第47号) | 第2号書式から第3号書式まで |
| 第2条 | 歯科医師法施行規則(昭和23年厚生省令第48号) | 第2号書式から第3号書式まで |
| 第3条 | 保健師助産師看護師法施行規則(昭和26年厚生省令第34号) | 第1号の4書式から第1号の12書式まで、第2号様式、第3号様式 |
| 第4条 | 歯科技工士法施行規則(昭和30年厚生省令第23号) | 様式第3号、様式第4号 |
| 第5条 | 薬剤師法施行規則(昭和36年厚生省令第5号) | 様式第2、様式第5から様式第9まで |
| 第6条 | 歯科衛生士法施行規則(平成元年厚生省令第46号) | 様式第3号、様式第5号、様式第6号 |
主なものは次のとおりです。
- 医師法施行規則 第2号書式=医師法第6条第3項の届出(2年ごとの届出票、いわゆる三師届)
- 保健師助産師看護師法施行規則 第3号様式=保健師助産師看護師法第33条の業務従事者届
- 薬剤師法施行規則 様式第6=薬剤師法第9条の届出票
- 薬剤師法施行規則 様式第2=薬剤師名簿の訂正の申請書、様式第5=免許証の再交付の申請書
何が変わるか
省令そのものは様式(フォーム)の差し替えなので、条文からは中身が読み取れません。厚生労働省が意見募集の結果で示した回答から、次の変更が行われることが分かります。
- 市町村コードを記載する欄の新設(保健師助産師看護師法施行規則の届出様式など)
- 旧姓欄の追加。厚生労働省は「各資格の新規申請書様式等には既に旧姓欄が設けられており、様式の記載事項を統一し制度の一貫性を求める趣旨の改正」と説明しています。記載は任意で、必ず書くことを求めるものではないとされています
- メールアドレス欄の削除
市町村コードの新設については、厚生労働省は「医療従事者届出システムの改修を行っているところであり、極力問い合わせが発生しないよう調整させていただいております」と回答しています。オンライン届出のシステム改修とセットの変更です。
いつまでに届け出るか
医師法第6条第3項は、2年ごとの年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年1月15日までに届け出ることを求めています。医師法施行規則第6条は、この「2年ごとの年」を昭和57年を初年とする2年ごとの各年と定めており、令和8年(2026年)はこれにあたります。
保健師助産師看護師法第33条の業務従事者届も同じ枠組みで、2年ごとの年の12月31日現在の状況を翌年1月15日までに届け出ます。
届出先は資格によって違います。 厚生労働省は意見募集の回答で次のように整理しています。
- 医師・歯科医師・薬剤師:都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出る
- その他の資格:就業地の都道府県知事に届け出る
施行日は2つに分かれる
附則第1条により、原則は公布の日(令和8年8月14日)から施行です。ただし次の様式の改正規定だけは、令和9年4月1日から施行されます。
- 医師法施行規則 第3号書式(国家試験・予備試験の受験願書)
- 歯科医師法施行規則 第3号書式
- 保健師助産師看護師法施行規則 第2号様式(准看護師試験の受験願書)
- 歯科技工士法施行規則 様式第4号
- 歯科衛生士法施行規則 様式第6号
試験の受験願書だけ、次の試験サイクルに合わせて後ろにずらした形です。
附則第2条には経過措置が置かれています。施行の際に現に旧様式で使われている書類は改正後の様式によるものとみなされ、旧様式による用紙は当分の間、取り繕って使うことができます。
指摘された課題
意見募集は令和8年7月3日から8月2日まで行われ、厚生労働省の公表によれば9件の意見が寄せられました(うち2件は本件と直接関係のない意見)。提出意見を踏まえた省令案の修正はありません。なお、e-Govの結果公示では提出意見数が0件と記載されており、厚生労働省の公表文書の件数と食い違っています。
「改正の趣旨」の記載の誤りが、意見で指摘されて直っています。
「改正の趣旨」に「令和9年度は、当該規定に基づき届出を実施する年であり」とあるが、令和8年度ではないか。
厚生労働省は「御指摘の通り修正させていただきました」と回答しています。届出の年を1年間違えた記載が案の段階で出ていたということです。同じ意見は、厚生労働大臣への届出が必要なのは医師・歯科医師・薬剤師で、他の資格は都道府県知事に届け出るのではないかとも指摘し、これは上記のとおり整理されました。
市町村コード欄には現場から反対意見が出ています。
他の業務で市町村コードを記載する様式を使用したケースでは、市町村コードが分からないとの問合せが非常に多く寄せられ、電話・窓口対応に苦慮しました。
この意見は、市町村別の集計をしたいのであれば「オンラインであれ紙であれ届出票に記載される市町村名を基に集計すれば足りる」とも述べています。別の意見は、様式そのものを変えずに、記入要領に市町村コード一覧へのQRコードや早見表を載せる案を出しました。厚生労働省は、システム改修で問い合わせが出ないよう調整しているとしたうえで、その他の指摘は「今後の施策の検討において参考とさせていただきます」と回答しています。
オンライン届出システムの不具合も指摘されました。
今回の改正省令案と直接関係する話ではないが、前回と前々回の届出においてはオンライン届出システムの不具合により円滑な届出や集計に支障が生じた。今後はそういったことのないようにしていただきたい。
このほか、周知の不足(令和6年度の書式改正時に都道府県知事への通知がなかった)という指摘に対しては、厚生労働省は「令和6年度の際も都道府県知事宛通知を行っており、今後も自治体の皆様への適切な周知に努めてまいります」と回答しています。
旧姓欄そのものへの反対(「旧姓を記載させる理由が明らかにされていない。そのため、制度に反対である」)もありましたが、様式の記載事項の統一という趣旨の説明にとどまり、案は修正されていません。
また、届出そのものを不要にしてほしい(住民基本台帳などのシステムを連携させる)、2回目以降の届出では出身大学の記入を不要にしてほしい、といった意見も出ています。いずれも「今後の施策の検討において参考とさせていただきます」という回答です。