令和8年(2026年)8月28日、厚生労働省は一般用医薬品のリスク区分を定める告示を改正しました。セイヨウハッカ油を含む一般用医薬品(過敏性腸症候群治療薬に限る)が、第1類医薬品から第2類医薬品になります。適用は令和8年8月31日です。
一般用医薬品の区分は、買うときの手続に直結します。第1類は薬剤師しか販売できませんが、第2類は登録販売者も販売できます。買える場所と、店頭で受ける説明の形が変わる改正です。
何が変わるか
| 改正前(第1類医薬品) | 改正後(第2類医薬品) | |
|---|---|---|
| 販売できる人 | 薬剤師のみ | 薬剤師または登録販売者 |
| 購入者への情報提供 | 書面を用いた情報提供が義務 | 情報提供は努力義務 |
| 適用 | — | 令和8年8月31日から |
対象は「過敏性腸症候群治療薬に限る」と限定されています。セイヨウハッカ油を含む医薬品すべてが第2類になるわけではありません。
なぜ区分が変わるのか
厚生労働省は、改正の趣旨を次のように説明しています。
セイヨウハッカ油(過敏性腸症候群治療薬に限る)は、リスク評価期間(医薬品の製造販売後調査が終了してから1年間の期間)中であるため、告示第1号ロに該当する第1類医薬品とされていました。令和8年5月26日に開かれた令和8年度第3回薬事審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会でリスク評価を行った結果、第2類医薬品に指定することが妥当とされたため、告示を改正するものです。
つまり、新しく市販薬になったばかりの成分をいったん第1類として様子を見て、期間が終わったところで評価し直す仕組みに沿った変更です。この成分は令和7年に要指導医薬品から第1類医薬品になっており、2段階目の区分の引下げにあたります。
パッケージの表示は1年間そのままでよい
同じ8月28日に、厚生労働省告示第329号も公布されています(薬機法施行規則第216条の2第1項に基づく告示の改正)。
医薬品の箱には区分(「第1類医薬品」「第2類医薬品」など)を書かなければなりませんが、区分が変わったときは、変更前に製造販売されたものについて、厚生労働大臣が指定する期間内は変更後の表示を書かなくてよいとされています。今回の改正で、セイヨウハッカ油についてこの期間が令和8年8月31日から1年間と指定されました。
このため、店頭には当分のあいだ「第1類医薬品」と書かれた箱が残ります。箱の表示が古いままでも、8月31日以降は第2類医薬品として扱われます。
なお前回、要指導医薬品から第1類医薬品に変わったときも、令和7年8月29日に同じ告示が改正され、令和7年8月31日から1年間が指定されていました。今回の改正は、その期間を新しい区分に合わせて置き換えるものです。
この薬を使うときに注意したいこと
意見公募に寄せられた意見と厚生労働省の回答から、店頭と使用時の注意点が読み取れます。
- この製剤は「医師による過敏性腸症候群(IBS)の確定診断・治療を受けたことのある人」を対象としています。外箱には、服用は以前に医師の診断・治療を受けた人に限る旨が強調して記載されています。
- 添付文書と購入者向け資材には「2週間服用しても症状がよくならない場合は服用を中止し、この添付文書を持って医師又は薬剤師に相談してください」と記載されています。
- 副作用や過敏症が疑われる症状が出たときは、ただちに使用を中止し、添付文書を持って医療機関を受診してください。
厚生労働省は、区分の移行後も製造販売業者がセルフチェックシートを含む資材の提供を続け、納入先へ積極的な情報提供を行うよう働きかけるとしています。また、販売時に薬剤師・登録販売者が資材を活用し、相談に対して必要な情報提供が行われるよう、関係団体を通じて周知するとしています。
指摘された課題
意見公募(パブリックコメント)は令和8年6月1日から6月30日まで行われ、2件の意見が提出されました。提出意見を踏まえた案の修正はありません。
2件とも区分変更そのものには賛成でしたが、1件目は安全性を担保するための条件を挙げています。
セイヨウハッカ油製剤の第2類医薬品への変更は、購入者の選択肢を広げる観点から賛成するが、リスクを低減し安全性を担保するために「購入時の診断歴の確認」「受診勧奨のタイミング」「副作用発生時の添付文書持参による受診」の3点について、薬剤師等が適切に対応・指導できることが不可欠であると考える。
この意見は、理由として次の点も指摘しています。
- 消化器の症状が過敏性腸症候群によるものか、他の器質的疾患によるものかをスクリーニングする必要がある。第2類に移行した後も、診断を受けたことがある人に限って販売時に確認することが必須であり、未診断の購入者が自己判断で購入・使用しないよう、薬剤師等の認識と適切な対応が必要である。
- 症状が改善しないまま漫然と使用を続けることは、適切な医療機関への受診遅れにつながる可能性がある。
2件目は「変更で問題ないと考えます。区分は厳格化していくべきと考えております」というものでした。
厚生労働省は、これらに対して外箱・添付文書・購入者向け資材の記載内容を挙げ、資材の提供継続と関係団体を通じた周知で対応すると回答しています。販売時の診断歴の確認を新たに義務づける形にはなっていません。
意見公募の経過
| 告示 | 案の公示日 | 受付締切 | 結果の公示日 | 提出意見数 | 案の修正 |
|---|---|---|---|---|---|
| 厚生労働省告示第328号(区分変更) | 令和8年6月1日 | 令和8年6月30日 | 令和8年8月28日 | 2件 | 無 |
| 厚生労働省告示第329号(表示の経過措置) | 令和8年6月15日 | 令和8年7月16日 | 令和8年8月28日 | 0件 | 無 |
いずれも行政手続法に基づく手続として実施されています。