危険ドラッグ3物質が「指定薬物」から「麻薬」に 令和8年(2026年)9月6日から罰則が大幅に重くなる

厚生労働省は令和8年(2026年)8月7日、「麻薬、麻薬原料植物、向精神薬、麻薬向精神薬原料等を指定する政令」を改正し、新たに3物質を麻薬に指定しました(令和8年政令第258号)。政令の施行は令和8年9月6日です。

3物質はこれまで指定薬物として規制されてきたもので、いわゆる「危険ドラッグ」として出回る可能性のある物質です。麻薬に指定されることで、罰則が大幅に重くなります。

何が変わるのか

これまで(指定薬物)9月6日から(麻薬)
根拠法医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法)麻薬及び向精神薬取締法
規制の内容医療等の用途以外の目的での製造、輸入、販売、所持、使用等が禁止麻薬としての規制
罰則の上限5年以下の拘禁刑および500万円以下の罰金無期若しくは3年以上の拘禁刑および1000万円以下の罰金

罰則の上限は、厚生労働省が報道発表で示している数値です。

麻薬に指定される物質は、指定薬物の指定からは外され、指定薬物ではなくなります。二重に規制されるのではなく、規制の根拠が指定薬物から麻薬に移るという整理です。

この「外す」側の手続も済んでいます。令和8年8月27日公布の令和8年厚生労働省令第135号(医薬品医療機器等法第2条第15項に規定する指定薬物および同法第76条の4に規定する医療等の用途を定める省令の一部を改正する省令)が、指定薬物のリストから今回の3物質にあたる3件を削除しました。この省令の施行日は、政令第258号の施行の日、つまり令和8年9月6日です(同省令 附則第1項)。政令と省令が同じ日に効いて、規制の根拠が入れ替わります。

省令第135号は意見公募手続を実施していません。理由はe-Govの結果公示(令和8年8月27日公示)に掲載されています。

指定された3物質

厚生労働省が公表した化学名と通称名は次のとおりです。

通称名化学名
物質①Isotonitazepyne、N-Pyrrolidino isotonitazene2-(4-イソプロポキシベンジル)-5-ニトロ-1-[2-(ピロリジン-1-イル)エチル]ベンズイミダゾール
物質②N-Desethyl etonitazene2-(4-エトキシベンジル)-1-(エチルアミノ)エチル-5-ニトロベンズイミダゾール
物質③MDMB-FUBINACAメチル=2-[1-(4-フルオロベンジル)-1H-インダゾール-3-カルボキサミド]-3,3-ジメチルブタノアート

今回の指定により、麻薬の総数は248物質(大麻を含む)になります。

なぜ麻薬に「格上げ」されるのか

指定薬物は、厚生労働大臣が、中枢神経系への作用を有する蓋然性が高く、かつ、人の身体に使用された場合に保健衛生上の危害が発生するおそれのある物として指定するものです(医薬品医療機器等法第2条第15項)。指定された時点で、製造・輸入・販売・所持・使用等が禁止されます。

厚生労働省は、この3物質について、麻薬と同種の乱用のおそれがあること、麻薬と同種の有害作用をもつことが確認されたとして、麻薬に指定し、罰則を強化することで規制の強化を図るとしています。

指定薬物の制度は、新たに出回った物質を比較的早く規制できる一方で、罰則は麻薬より軽く設定されています。危険性が確認された物質を後から麻薬に移す、という二段構えの運用になっています。

厚生労働省は、指定された物質が乱用されることのないよう、関係機関への通知の発出と注意喚起を行っていくとしています。

意見募集で出された意見

政令案について、令和8年6月4日から7月3日まで意見募集が行われ、4件の意見が寄せられました。厚生労働省は、提出意見を踏まえた案の修正は行っていません。

主な意見と、厚生労働省の考え方は次のとおりです。

  • 規制強化の必要性は理解する一方、麻薬指定により研究、鑑識、毒性分析、医療等の正当な利用に萎縮効果が生じるおそれがあるため、制度運用の明確化、手続の簡素化、相談体制の整備等により正当利用への影響を最小化すべきである → 厚生労働省は「規制の実効性確保と正当な利用の両立の観点からの御意見として承り、今後の参考とさせていただきます」と回答
  • 利害関係者からの意見聴取は、鑑識機関、毒性分析機関、研究機関、医療機関等の正当な利用者を対象とすべきである → 厚生労働省は、意見聴取のあり方に関する意見は「本意見募集の対象の内容と直接関係のない御意見として承ります」と回答

このほか、厳罰化や入国制限を求める意見も出されましたが、いずれも本件の意見募集の対象と直接関係のない意見として整理されています。

いま確認したいこと

  • 9月6日を境に、同じ物を持っていることの重さが大きく変わります。危険ドラッグは商品名や見た目を変えて売られることが多く、外見では判断できません。「合法」「規制されていない」といった説明を信じないでください。
  • 身近に該当する物を持っている人がいる場合は、使用させず、警察または地方厚生局麻薬取締部に相談してください。
  • 研究・鑑識・毒性分析・医療などで取り扱う場合は、9月6日以降は麻薬としての免許・届出等の手続が必要になります。所管の窓口に確認してください(政令に関する問合せ先は厚生労働省医薬局監視指導・麻薬対策課、電話03-3595-2436)。

出典

家族に説明するなら

いわゆる危険ドラッグとして出回っていた3つの物質が、9月6日から『麻薬』になるよ。これまでも法律で禁止されていたんだけど、9月6日からは罰がずっと重くなるんだ。今までは最高で5年だったのが、麻薬だと無期になることもある。もし『合法だから大丈夫』と言われて渡されたものを持っている人がいたら、絶対に使わないで、警察や麻薬取締部に相談してね。名前を変えて売られることが多いから、見た目や商品名では判断できないよ。

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