令和8年(2026年)7月28日に発生した「令和8年熊本地震」で被災した人について、国民健康保険料(税)の減免の基準が令和8年8月12日に示されました。
厚生労働省保険局国民健康保険課と総務省自治税務局市町村税課が、都道府県の国民健康保険担当課あてに出した事務連絡です。国が減免分を財政支援するための基準ですが、どういう人がどれだけ減免されるかが具体的に書かれているため、被災した加入者にも関係します。
なお、実際に減免を行うのは各市町村(国保組合は組合)で、市町村の条例(組合は規約)に基づきます。取扱いは自治体によって異なる場合があるため、必ずお住まいの市区町村の案内で確認してください。
対象になる人
災害救助法が適用された市町村の国民健康保険に加入している被保険者の属する世帯が対象です。
令和8年熊本地震では、7月28日に熊本県の10市10町1村(21市町村)に災害救助法が適用されています。対象市町村の一覧は令和8年熊本地震のまとめ記事をご覧ください。
国民健康保険組合(建設国保、医師国保など)の場合は、災害救助法が適用された市町村を地区とする組合の、その地区内に住所がある被保険者が対象です。
どれだけ減免されるか
次の①〜⑤のいずれかに当てはまる世帯が対象です。複数に当てはまる場合は、減免額が大きいほうが適用されます。
① 主たる生計維持者が死亡・重篤な傷病
地震による被害で、世帯の主たる生計維持者が死亡した、または重篤な傷病を負った世帯は、保険料(税)の全部が減免されます。
② 主たる生計維持者が行方不明
地震による被害で、主たる生計維持者の行方が不明となった世帯も全部です。
③ 収入が前年より3割以上減る見込み
主たる生計維持者の事業収入・不動産収入・山林収入・給与収入(事業収入等)のいずれかが減る見込みで、次のすべてに当てはまる世帯が対象です。
- いずれかの事業収入等の減少額(保険金・損害賠償等で補填されるべき金額を差し引いた額)が、前年のその事業収入等の10分の3以上であること
- 主たる生計維持者の前年の合計所得金額が1,000万円以下であること
- 減少が見込まれる事業収入等以外の前年の所得の合計額が400万円以下であること
減免の割合は、前年の合計所得金額に応じて次のとおりです。
| 主たる生計維持者の前年の合計所得金額 | 減額・免除の割合 |
|---|---|
| 300万円以下 | 全部 |
| 400万円以下 | 10分の8 |
| 550万円以下 | 10分の6 |
| 750万円以下 | 10分の4 |
| 1,000万円以下 | 10分の2 |
事業等の廃止や失業の場合は、前年の合計所得金額にかかわらず全部が免除されます。
なお、減免の対象となる保険料(税)額は、世帯全員の保険料(税)額のうち、収入が減る人の所得が世帯の所得に占める割合の部分です(対象保険料(税)額=A×B/C。A=世帯全員の保険料(税)額、B=減少が見込まれる事業収入等に係る前年の所得、C=世帯の前年の合計所得金額)。この額に上の表の割合を掛けた額が減免されます。
④ 住宅に損害を受けた
地震により主たる生計維持者が住んでいる住宅に損害を受けた世帯は、損害の程度に応じて減免されます。
| 住宅の損害程度 | 軽減・免除の割合 |
|---|---|
| 全壊 | 全部 |
| 半壊・大規模半壊 | 2分の1 |
| 床上浸水(上記に該当する場合を除く) | 2分の1を超えない範囲で市町村が決定した額 |
長期避難世帯(被災者生活再建支援法第2条第2号ハに該当する世帯)の主たる生計維持者については、住宅の損害程度を全壊とみなすとされています。
⑤ 主たる生計維持者以外の被保険者が行方不明
主たる生計維持者以外の被保険者が行方不明となった世帯は、世帯全員で計算した保険料(税)額と、行方不明者を除いて計算した額との差額が減免されます。
いつの保険料が対象か
減免の対象は、令和8年度分の保険料(税)であって、災害救助法が適用された日(令和8年7月28日)から令和9年3月31日までの間に納期限が設定されているものです。特別徴収(年金からの天引き)の場合は、年金の支払日が対象期間内にあるものです。
すでに納めてしまった保険料(税)があっても、徴収前に減免の申請ができなかったやむを得ない理由があると認められる場合は、さかのぼって減免を行うことも考えられると事務連絡に書かれています。あきらめずに窓口に相談してください。
また、保険者が減免の要件に明らかに当てはまると認める人については、減免の意思を確認することをもって申請があったものとみなす運用も考えられるとされています。
通常より対象が広い
今回の取扱いは、通常の(原則の)基準よりも対象が広くなっています。事務連絡の参考資料では、次の点が挙げられています。
| 項目 | 今回の取扱い | 原則 |
|---|---|---|
| 主たる生計維持者の死亡 | 補助対象 | 補助対象外 |
| 住宅・家財の損害 | 損害金額・所得の要件なし(損害程度に応じた割合) | 損害金額3/10以上かつ前年所得1,000万円以下 |
| 財政負担の要件 | なし(保険料必要総額の3%未満でも可) | 保険料(税)必要総額の3%以上 |
国は減免額の10分の10(全額)を特別調整交付金(国保組合は特別調整補助金)で支援する方向で検討しているとされています。令和6年能登半島地震の際も同様の対応が行われました。
また、市町村の条例に基づいて被災者の固定資産税を減免し、その影響で4方式(所得割・資産割・均等割・平等割)を採用している市町村の国保料(税)収入が減少した場合も、補助の対象とされます。
なお、この取扱いは令和8年度までとされています。
まず確認すること
- お住まいの市区町村の国民健康保険の窓口(国保組合の場合は加入している組合)に相談します。減免は市町村の条例に基づくため、現行の条例に災害減免の規定がない場合は条例の整備が必要になります。
- り災証明書を市区町村に申請します。住宅の被害の程度が減免割合の判定に使われます。
- 収入の減少で減免を受ける場合は、前年の収入と今年の見込み収入がわかる資料を用意します。
保険料(税)以外の税の特例については令和8年熊本地震の税の特例を、被災したときの相談先全般については令和8年熊本地震のまとめ記事と災害で被災したときの公的支援・相談先まとめもあわせてご覧ください。
国民健康保険のしくみそのものについては国民健康保険と健康保険(社会保険)の違いで解説しています。
支援制度を装った詐欺にも注意してください。役所が電話で口座番号や暗証番号を聞くことはありません。給付金・支援金・還付金をかたる詐欺に注意を参考にしてください。
出典
- 令和8年熊本地震に伴う災害により被災した被保険者に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について(事務連絡)(総務省・令和8年8月12日)(厚生労働省保険局国民健康保険課・総務省自治税務局市町村税課。別紙1・参考資料1=市町村国保、別紙2・参考資料2=国保組合)
- 令和8年熊本地震に係る災害救助法の適用について(内閣府・令和8年7月28日)