何が起きたか
厚生労働省は令和8年(2026年)9月15日、「国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基本的な方針の一部を改正する件」(厚生労働省告示第346号)を出し、同じ日から適用しました。
この基本方針は、健康増進法第7条に基づく国の健康づくりの計画で、「健康日本21(第三次)」と呼ばれています。令和6年度から令和17年度までの計画で、生活習慣や病気の予防について、主に令和14年度(2032年度)までの数値目標を置いています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 告示 | 厚生労働省告示第346号(令和8年9月15日) |
| 根拠 | 健康増進法第7条第1項(公表は同条第4項) |
| 施行通知 | 健生発0915第4号(厚生労働省健康・生活衛生局長、令和8年9月15日) |
| 審議 | 健康日本21(第三次)推進専門委員会、第61回厚生科学審議会地域保健健康増進栄養部会(令和8年6月3日資料) |
計画では、中間評価(令和11年度)と最終評価(令和15年度)で比べる基準として、令和6年度までの最新値を「ベースライン値」にすることにしていました。令和6年国民健康・栄養調査の結果が出てベースライン値が決まったため、それに合わせて目標値を見直しました。
最初の測定で旧目標を超えていた3項目
次の3項目は、ベースライン値の時点で、2032年度の旧目標をすでに超えていました。そのため目標が引き上げられています。
| 目標 | ベースライン値(令和6年度) | 旧目標(令和14年度) | 新目標(令和14年度) |
|---|---|---|---|
| 1日の歩数の平均値(年齢調整値) | 7,231歩 | 7,100歩 | 8,000歩 |
| 主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の人の割合 | 52.8% | 50% | 70% |
| 50歳以上でよく噛んで食べられる人の割合(年齢調整値) | 81.3% | 80% | 90% |
部会の資料によると、新しい目標値は次の考え方で決められました。
- 歩数:ベースライン値の1.1倍を目指し、20〜64歳は男女とも9,000歩、65歳以上は男女とも7,000歩とした。これを年齢構成で合計すると8,000歩になる
- バランスの良い食事:主食・主菜・副菜をそろえた食事が1日2回以上の日が週5日以下の人が、それぞれ2日ずつ増やすことを目指して70%とした
- よく噛んで食べられる人:平成27年から令和6年までの5回の調査をもとにした推計で令和14年は89.6%になるため、90%とした
「ベースライン値から○○」だった目標が数値に
計画の策定時には、ベースライン値を確かめてから数値を決めることにしていた目標がありました。今回、これらが具体的な数値になりました。
| 目標 | ベースライン値(令和6年度) | 旧目標 | 新目標(令和14年度) |
|---|---|---|---|
| 収縮期血圧の平均値(40歳以上、服薬中の人を含む) | 127.3mmHg | ベースライン値から5mmHg低下 | 122mmHg |
| LDLコレステロール160mg/dl以上の人の割合(40歳以上、服薬中の人を含む) | 8.5% | ベースライン値から25%減少 | 6.5% |
| 社会活動(就労・就学を含む)をしている人の割合 | 83.1% | ベースライン値から5%増加 | 90% |
| 社会活動をしている高齢者(65歳以上)の割合 | 69.6% | ベースライン値から10%増加 | 80% |
他の計画に合わせて変わった目標
健康日本21には、ほかの国の計画の目標をそのまま引用している項目があります。引用元が決まったり変わったりしたため、合わせて改められました。
| 目標 | ベースライン値 | 旧目標 | 新目標 | 引用元 |
|---|---|---|---|---|
| メタボリックシンドロームの該当者・予備群 | 1,606万人(令和5年度) | 医療費適正化計画に合わせて設定 | 1,100万人(令和11年度) | 第4期医療費適正化計画 |
| 特定健康診査の実施率 | 59.9%(令和5年度) | 同上 | 70%(令和11年度) | 同上 |
| 特定保健指導の実施率 | 27.6%(令和5年度) | 同上 | 45%(令和11年度) | 同上 |
| 週60時間以上働く雇用者の割合 | 8.0%(令和6年) | 5%(令和7年) | 5%(令和10年) | 過労死等防止対策大綱(令和6年8月変更) |
| 「居心地が良く歩きたくなる」まちなかづくりに取り組む市町村数 | 119市町村(令和6年度) | 100市町村(令和7年度) | 200市町村(令和12年度) | 第6次社会資本整備重点計画 |
| 保険者とともに健康経営に取り組む企業数 | 120,743社(令和6年度) | 10万社(令和7年度) | 15万社(令和7年度) | 日本健康会議「5つの実行宣言2025」 |
メタボの該当者・予備群は、6年間で約3割(1,606万人→1,100万人)減らす目標になります。1,100万人は、第4期医療費適正化計画の「平成20年度比25%以上の減少」に合わせ、平成20年の人数に0.75を掛けて出した数です。
このほか、糖尿病腎症による年間新規透析導入患者数(12,000人)、メンタルヘルス対策に取り組む事業場(80%)、必要な産業保健サービスを提供している事業場(80%)は、数値は変わらず、目標年の書き方(「年度」→「年」)が改められました。
数字を読むときの注意
- バランスの良い食事の指標は、調査の方法が変わっている:部会の資料は、令和6年の国民健康・栄養調査では「毎日」「6日」「5日」…と日数で尋ねており、計画策定時の現状値(37.7%、令和3年度食育に関する意識調査)とは把握の方法が違うと注記しています
- 健康経営の目標年度はすでに過ぎている:健康経営の15万社は目標年度が令和7年度(2026年3月まで)のままで、告示の時点で年度が終わっています。なお部会の資料は、週60時間以上働く雇用者やまちなかづくりなど他の計画を引用している項目について、引用元の見直しを踏まえて「今後も更新予定」と注記しています
- 目標は国全体の平均・割合:個人に義務を課すものではありません。都道府県・市町村の健康増進計画は、国の基本方針を勘案して作ることになっています(健康増進法第8条)