難病・小児慢性特定疾病・自立支援医療などの受給者証をマイナ保険証で確認する仕組みが令和9年(2027年)4月1日に施行 医療法等改正法の一部施行期日政令(令和8年政令第271号)、美容医療の報告義務は対象外

訂正(2026年10月9日):この記事は当初、政令第271号が社会保険診療報酬支払基金の改組の施行日を令和9年4月1日に定めたと書いていました。改組の規定は附則第1条第5号にあり、令和8年10月1日に施行されています。第271号が施行日を定めた第6号は、公費負担医療の電子資格確認などの規定です。お詫びして訂正します。

何が起きたか

令和8年(2026年)9月4日の官報(号外第198号)に、医療法等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和8年政令第271号)が公布されました。

医療法等の一部を改正する法律附則第一条第六号に掲げる規定(同法第二条中医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六条の十二の次に一条を加える改正規定並びに同法第七条第一項、第十七条、第十八条及び第二十九条第一項第三号の改正規定を除く。)の施行期日は、令和九年四月一日とする。

対象は、令和7年(2025年)12月12日に公布された医療法等の一部を改正する法律(令和7年法律第87号)です。地域医療構想の見直し、医師偏在の是正、医療DXの推進を柱とする改正で、施行日が規定ごとに細かく分かれています。

附則第1条第6号は、「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日」に施行するとされていた規定です。

第6号の中心:公費負担医療の電子資格確認

厚生労働省の公布通知(令和7年12月12日 医政発1212第2号ほか)で「公布の日から起算して2年を超えない範囲内において政令で定める日施行」とされている事項の中心は、公費負担医療の電子資格確認です。

国や自治体が医療費を助成する制度では、患者は医療機関で紙の受給者証を見せて受給資格を確認してもらっています。改正後は、医療機関が受給者証の提示、電子資格確認(マイナ保険証によるオンライン資格確認)その他の方法で受給資格を確認する仕組みが法律に置かれます。

公布通知で電子資格確認の仕組みを導入するとされている制度は、次のとおりです。

法律対象の医療
児童福祉法小児慢性特定疾病医療支援など
母子保健法未熟児の養育医療
感染症法結核の医療など
障害者総合支援法自立支援医療、療養介護医療
難病法指定難病の特定医療
石綿健康被害救済法医療費の支給
水俣病被害者救済特措法水俣病被害者手帳による療養費
特定B型肝炎ウイルス感染者給付金等特措法無症候性持続感染者の定期検査・母子感染防止医療

あわせて、自治体などが、受給者の情報の収集・整理・提供の事務を医療情報基盤・診療報酬審査支払機構や国民健康保険団体連合会に委託できる規定も入ります。厚生労働省は、公費負担医療のオンライン資格確認の業務を自治体から機構や国保連に委託し、令和9年度から全国規模で実施する体制を整えるとしています。

患者にとっては、紙の受給者証を持参・提示する手間が減り、医療機関・薬局や自治体にとっては、資格の確認誤りによる請求の誤りが減ることが見込まれています(厚生労働省の改正法概要資料)。

除かれた規定:美容医療の報告義務など

政令第271号は、第6号のうち、医療法の次の改正規定を除いています。

  • 医療法第6条の12の次に一条を加える改正規定(第6条の12の2)
  • 医療法第7条第1項(開設の許可)、第17条、第18条、第29条第1項第3号(許可の取消し等)の改正規定

公布通知によると、第6条の12の2は、美容を目的とした治療を行う病院・診療所の管理者に、医療の安全を確保するための指針の策定などの状況を都道府県知事(保健所設置市・特別区では市長・区長)に報告させる規定です。この記事の確認時点では、これらの施行日を定める政令は確認できていません。

支払基金の改組は令和8年10月1日に実施済み

社会保険診療報酬支払基金の題名・名称を改める規定は、附則第1条第5号(公布の日から起算して1年6月を超えない範囲内において政令で定める日)に入っています。e-Gov法令検索では、令和8年10月1日から法律の題名が「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構法」になっています。

  • 法人の名称:社会保険診療報酬支払基金 → 医療情報基盤・診療報酬審査支払機構(略称:DX審査支払機構)
  • 目的に、患者に良質な医療を確保するための情報、医療の効率的な提供に資する情報、医療費適正化に資する情報の収集・分析と、その情報基盤の整備・運営を追加
  • 業務の方針を決める運営会議と、審査支払の予算・事業計画などを決める審査支払運営委員会を設置
  • 情報の安全管理措置と、重大な漏えいなどの際の厚生労働大臣への報告義務

医療情報化推進方針(10月1日から適用)

改組にあわせて、厚生労働大臣は「医療情報化推進方針」(令和8年厚生労働省告示第370号、9月30日告示・10月1日適用)を定めました。地域における医療及び介護の総合的な確保の促進に関する法律第11条の2第1項に基づくもので、対象期間は3年以上6年以内です。医療DXの意義と基本的な方向、国・機構・国保連などが取り組む事項、機構が作る中期計画の基本となる事項を定めています。機構は、この方針に基づく中期計画について厚生労働大臣の認可を受け、毎事業年度、大臣の評価を受けます。

方針の案は、令和8年8月27日から31日まで(5日間)、任意の意見募集にかけられ、200件の意見が寄せられました。

注意点

  • 医療費助成の受給者が今すぐ行う手続きはありません。 2027年4月以降、受給者証の扱いがどう変わるかは、各自治体の案内で確認してください
  • この法律は施行日が規定ごとに細かく分かれています。自分に関係する部分がいつ施行されるかは、厚生労働省の公布通知で号ごとに確認する必要があります
  • 第6号に含まれる規定の整理は、法律の附則第1条の条文と厚生労働省の公布通知の施行区分の記載に基づいています

指摘された課題

医療法等改正法は、施行日が公布日・令和8年4月1日・令和8年10月1日・令和9年4月1日のほか、公布後1年以内・1年6月以内・2年以内・3年以内に政令で定める日に分かれています。号の番号と施行区分の対応を条文と公布通知で突き合わせないと、どの規定がいつ施行されるかを判断できません(この記事も当初、号の対応を取り違えていました)。今回のように、ひとつの号の中でも一部の改正規定だけが除かれて別扱いになることもあります。

医療情報化推進方針の意見募集は5日間(うち2日は土日)で、寄せられた意見には、本人同意の原則化や閲覧履歴の確認、マイナ保険証中心の仕組みへの反対、サイバー攻撃対策の具体化、生成AIの利用への懸念などがありました。厚生労働省はおおむね「ご意見として承知いたしました」と答えています。

公式リンク

家族に説明するなら

難病や子どもの慢性の病気、障害のある人の医療などは、国や自治体が医療費を助けてくれる制度があって、病院では紙の「受給者証」を見せる必要があったんだ。2027年4月1日から、この確認をマイナ保険証でできる仕組みが法律で整う。受給者証を毎回持っていく手間が減るし、病院の請求の間違いも減ることが期待されているよ。それから、病院の請求をチェックしてお金を払う「社会保険診療報酬支払基金」は、2026年10月1日にもう「医療情報基盤・診療報酬審査支払機構」という名前に変わっているよ。

この記事の訂正

  • 政令第271号が施行日を定めた附則第1条第6号を、社会保険診療報酬支払基金の改組の規定と取り違えていました。改組は第5号(公布から1年6月以内)の規定で、令和8年10月1日に施行済みです。第6号は公布から2年以内の規定で、公費負担医療の電子資格確認と機構等への事務委託が中心です。題名・概要・本文をこの内容に訂正しました。

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