行政・手続き 重要度: 中

暗号資産の規制が資金決済法から金商法へ移る 金商法・資金決済法の改正が公布 令和8年(2026年)7月23日

「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第64号)が令和8年(2026年)7月23日に公布されました。暗号資産取引に係る規制が資金決済法から金融商品取引法へ移管され、インサイダー取引規制の対象者の範囲も拡大されます。あわせて、プライム市場上場企業の一部にサステナビリティ情報の開示と第三者保証が義務づけられ、スタートアップの資金調達で有価証券届出書の提出免除基準が1億円未満から5億円未満に引き上げられます。原則の施行は公布の日から1年以内において政令で定める日です。

**「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律」(令和8年法律第64号)**が、令和8年(2026年)7月23日に公布されました。

我が国の金融・資本市場の変化に対応しつつ、成長資金供給を拡大するとともに、市場の公正性・透明性および投資者保護を確保するため、**「暗号資産」「サステナビリティ情報の開示・保証」「スタートアップへの資金供給」「不公正取引規制」**に関する制度を整備する改正です。

1. 暗号資産に係る規制の見直し

国内外の投資家において暗号資産が投資対象と位置づけられている状況を踏まえ、イノベーション促進の観点にも留意しつつ、利用者保護の充実を図るものです。

  • 暗号資産取引に係る規制が、資金決済法から金融商品取引法(金商法)へ移管されます。
  • 移管後も株式などの有価証券と同じ扱いになるわけではなく、有価証券とは別の金融商品として位置づけられ、その性質を踏まえた規制が適用されます。
  • ステーブルコインとプリペイドカードは、引き続き資金決済法の対象です。移るのは暗号資産です。

金商法に移ることで、後述するインサイダー取引規制などの不公正取引規制の枠組みが暗号資産にも及ぶことになります。

2. 企業のサステナビリティ情報の開示・保証

投資家にとって重要な情報である、気候変動等に係る企業のサステナビリティ情報について、比較可能性を向上させつつ、開示の充実と信頼性の確保を図るものです。

  • 一定のプライム市場上場企業に対し、サステナビリティ開示基準に基づく情報開示および第三者保証が義務づけられます。
  • 有価証券報告書で開示される内容は、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標及び目標(例:温室効果ガス排出量)です。
  • 保証の提供業者に対し、登録制・業規制が導入されます。保証は監査法人以外でも提供できます

3. スタートアップ企業への資金供給の促進

投資家保護に留意しつつ、開示規制の緩和やプロ投資家の裾野拡大を図るものです。

  • 有価証券届出書の提出免除基準が引き上げられます。現行は1億円未満の資金調達が免除対象でしたが、5億円未満に広がります。
  • プロ投資家向けの資金調達に係る勧誘対象範囲が拡大されます。プロ投資家になるための移行手続を行っていないものの、プロ投資家の要件を満たし高い情報分析能力等を有する者に対して、簡易な情報提供でのプロ向けの勧誘制度を利用できるようになります(ただし、仲介する証券会社には適合性原則等の行為規制が適用されます)。

4. 有価証券に関する不公正取引規制等の見直し

近年、有価証券に関する不公正取引等において、違反行為として捕捉できない事例や、課徴金による違反行為の抑止が不十分な事例、調査協力が得られない事例等が発生していることを踏まえた見直しです。

  • インサイダー取引規制の対象者の範囲が拡大されます。
  • 課徴金制度が見直されます。
  • 調査権限等が拡充されます。

いつから

施行期日は中身によって分かれます。

対象施行期日
原則公布の日から1年以内において政令で定める日
無登録業者に対する罰則の引上げ、犯則事件の定義の拡大(暗号等資産の売買その他の取引に係る事件の追加に係る部分を除く)令和8年(2026年)8月12日(公布の日から起算して20日を経過した日)
特定非財務情報の開示および監査証明に係る制度の整備、成長資金供給の拡大に係る開示制度の見直し令和9年(2027年)4月1日
証券取引等監視委員会の犯則調査手続のデジタル化令和9年(2027年)10月1日

なお、この法律には施行の状況等に関する検討規定が設けられています。

無登録業者に対する罰則の引上げと、証券取引等監視委員会の犯則調査権限の追加に係る規定は、**令和8年(2026年)8月12日(水)**から施行されます。これは、公布の日から起算して20日を経過した日です。

これらの施行に伴う「金融商品取引法及び資金決済に関する法律の一部を改正する法律の一部の施行に伴う関係政令の整備に関する政令」は、令和8年7月24日(金)に閣議決定され、7月29日に公布されました。

この政令は行政手続法第4条第4項第1号・第6号と第39条第4項第8号に該当するため、パブリックコメントは実施されていません。

誰に関係するか

暗号資産を保有・取引している人は、規制の根拠となる法律が変わりますが、いま何か手続きをする必要はありません。取引所(暗号資産交換業者)側の登録や規制の枠組みが移る改正です。

上場企業の開示担当者は、サステナビリティ情報の開示・保証が令和9年4月1日施行である点を踏まえた準備が必要です。

スタートアップの資金調達に関わる人は、有価証券届出書の提出免除基準が5億円未満に引き上げられる点が実務に影響します。

出典

家族に説明するなら

ビットコインなどの暗号資産のルールが、大きく変わる法律が2026年7月23日に決まったよ。これまで暗号資産は『資金決済法』という、お金の払い方を決める法律で扱われていたんだけど、これからは株式などと同じ『金融商品取引法』のほうに移る。株と同じ法律に入るから、たとえば内部情報を知っている人がこっそり売り買いする『インサイダー取引』の規制も及ぶようになるよ。ただし株式と全く同じ扱いではなく、暗号資産の性質に合わせた規制が適用される。ほかにも、大企業(東証プライム市場の一部)に気候変動などの情報を決まった基準で開示させて、その内容を第三者にチェックしてもらう義務ができたり、できたばかりの会社が5億円未満のお金を集めるときの書類が要らなくなったり(今までは1億円未満まで)といった中身が入っている。実際にいつから始まるかは中身によって違って、多くは公布から1年以内に政府が決める日から。

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