医師・歯科医師・薬剤師・看護師などの医療関係者が2年ごとに行う「届出」の様式を見直す「医師法施行規則等の一部を改正する省令」(令和8年厚生労働省令第128号)が、令和8年(2026年)8月14日に公布されました。あわせて、同日に意見募集(パブリックコメント)の結果が公示されています。
背景
医師、歯科医師、保健師・助産師・看護師・准看護師、歯科技工士、薬剤師、歯科衛生士は、保健衛生行政上その分布や業態を正確に把握するため、2年ごとに、その年の12月31日現在の氏名・住所などを、翌年1月15日までに届け出ることが各法律で義務づけられています。その届出の様式は、各職種の施行規則で定められています。
届出先は資格によって異なります。
- 医師・歯科医師・薬剤師:住所地の都道府県知事を経由して厚生労働大臣に届け出ます。
- 保健師・助産師・看護師・准看護師、歯科衛生士、歯科技工士:就業地の都道府県知事に届け出ます。
令和8年(2026年)が、この2年ごとの届出の基準年にあたります。令和8年12月31日現在の状況を、令和9年(2027年)1月15日までに届け出ることになります。各都道府県への届出票の送付に先立ち、届出様式を改正するものです。
何が変わったのか
改正の主なポイントは次のとおりです。
- 氏名欄に「旧姓」を記載する欄が新設されました。届出様式だけでなく、各法令に規定される他の様式にも横断的に旧姓欄が設けられています。旧姓の記載は任意で、必ず記載を求められるものではありません。
- 氏名欄のメールアドレス欄が削除されました。
- 保健師助産師看護師の届出様式で、所在地欄に市町村コードを記載する欄が新設されました。
- 大学名の変更などが反映されました。たとえば「東京医科歯科大学」を「東京科学大学」に、「昭和大学」を「昭和医科大学」に変更し、薬剤師の様式では「岐阜医療科学大学」を追加しています。
- 歯科医師の様式では、該当する診療科名がない場合に最も近い診療科名の番号を選ぶ旨の注意書きを追加するなど、様式ごとに所要の改正が行われています。
いつから
- 公布日:令和8年(2026年)8月14日(官報号外第182号)
- 施行日:公布の日。ただし、一部の様式に係る改正規定は令和9年(2027年)4月1日施行とされています。
意見募集は令和8年7月3日から8月2日まで行われ、9件の意見が寄せられました(うち2件は本件と直接関係のない意見)。案からの内容の修正はありませんでした。
指摘された課題
意見募集で寄せられた意見と、厚生労働省の考え方のうち、主なものは次のとおりです。
市町村コード欄は保健所の負担を増やすのではないか
保健師助産師看護師法施行規則の第3号書式に市町村コードの記載欄を設けると、届出をする人から「市町村コードが分からない」という問合せが増え、保健所業務を圧迫するという指摘がありました。他の業務で市町村コードを記載する様式を使ったケースで、実際に電話・窓口対応に苦慮したという経験も示されています。提出された届出票のコードに誤りがないか、都道府県名・市町村名と照合する必要も生じるという指摘です。
厚生労働省は、紙の届出については記入要領の別紙として市区町村コード一覧を追加し、オンライン届出についてはテキスト入力ではなくプルダウンで選択できるよう医療従事者届出システムの改修を行っていると回答し、極力問合せが発生しないよう調整しているとして理解を求めています。
旧姓を記載させる理由が示されていない
旧姓を記載させる理由が明らかにされていないため制度に反対であるという意見がありました。厚生労働省は、各資格の新規申請書様式等には既に旧姓欄が設けられており、様式の記載事項を統一し制度の一貫性を求める趣旨の改正であると回答しています。
また、旧姓併記を希望しない場合も免許証再交付申請書に旧姓の記入を求めるのかという質問に対しては、旧姓欄は必ず記載を求めるものではなく、任意で記載する項目であると回答しています。
届出そのものを不要にできないか
住民基本台帳など各種台帳やシステムを連携させて届出を不要にしてほしい、2回目以降の届出では大量の大学名の中から出身大学を探す手間をなくしてほしいといった意見が寄せられました。厚生労働省は、今後の施策の検討において参考とさせていただく、と回答しています。
メールアドレス欄は任意項目として残すべき
メールアドレス欄を完全に削除するのではなく、「任意記載」として様式に残し、将来的な医療DXや災害時の緊急連絡網への活用余地を残すべきという提案がありました。これについても、今後の施策の検討において参考とさせていただく、との回答です。
自治体への周知
令和6年度の書式改正時に都道府県知事らへの通知がなく、関係団体や届出対象者への説明に苦慮したという指摘がありました。厚生労働省は、令和6年度の際も都道府県知事宛通知を行っているとし、今後も自治体への適切な周知に努めるとしています。
他の省令改正と施行時期をそろえてほしい
別途意見募集が行われていた「栄養士法施行規則等の一部を改正する省令」は様式の改正が10月施行であるため、同時に施行してほしいという意見がありました。厚生労働省は、それぞれ改正趣旨が異なる内容であるとして理解を求めています(回答文では同省令を「令和8年厚生労働省令第107号」としていますが、実際には令和8年8月20日に令和8年厚生労働省令第132号として公布されました)。
この栄養士法施行規則等の改正省令については、医師・看護師・薬剤師・管理栄養士の免許申請書にマイナンバー欄で扱っています。
案の記載の誤りが訂正された
「改正の趣旨」に「令和9年度は、当該規定に基づき届出を実施する年であり」とあるのは令和8年度ではないかという指摘があり、厚生労働省は指摘のとおり修正したと回答しています。
誰に関係するか
医師・歯科医師・薬剤師・保健師・助産師・看護師・准看護師・歯科技工士・歯科衛生士として2年ごとの届出を行う人に関わります。届出事務を扱う医療機関・保健所・自治体の担当者にも関係します。
住民が行う手続きはありません。
出典
- 医師法施行規則等の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第128号・令和8年8月14日公布/官報号外第182号)
- 意見募集の結果の公示(e-Gov・案件番号495260103)
- 御意見募集の結果について(e-Gov・PDF)
- 令和8年8月14日付 官報 目次(インターネット版官報)