令和8年(2026年)9月11日の官報(本紙第1788号)に、消費者安全法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和8年内閣府令第76号)が公布されました。施行は令和8年9月14日です。
改正されるのは1か所だけです。事故情報データバンクの管理運営主体が、消費者庁と国民生活センターの共同から、消費者庁の単独に変わります。
何が変わるのか
消費者安全法施行規則(平成21年内閣府令第48号)第9条第8項は、消費者安全法第12条第4項の「内閣府令で定める措置」を定めた規定です。改正の前後を並べると次のようになります。
| 事故情報データバンクの定義部分 | |
|---|---|
| 改正前 | 消費者庁及び国民生活センターが共同して管理運営するもの |
| 改正後 | 消費者庁が管理運営するもの |
条文上の変更はこれだけです。「管理運営」という言葉自体は改正の前後で変わりません。
事故情報データバンクとは
事故情報データバンクは、生命・身体に関する事故の情報を広く集め、事故の防止に役立てるためのシステムです。消費者庁と国民生活センターが連携し、関係機関の協力を得て、2010年4月から運用されています。
登録されているのは次のような情報です。
- 消費者安全法にもとづく生命身体事故等の通知
- PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)の危害情報・危険情報
- 消費生活用製品安全法にもとづき事業者から報告された重大製品事故の情報
- 参画機関から寄せられた生命・身体に関する事故情報
インターネット上で誰でも検索・閲覧できます。
なお、事故情報データバンクシステムのサイトには、2026年9月11日(金)18:00〜2026年9月13日(日)24:00のシステムメンテナンスの案内が出ています。この間はアクセスできません。改正内閣府令の施行日(9月14日)の直前にあたり、消費者庁が回答で述べている「システムの刷新」の切替えと重なる期間です。
指摘された課題 — 60件のうち57件が共同管理の維持を求めた
この改正案には、令和8年6月22日から7月21日まで意見が募集され、60件の意見が寄せられました(このほか今回の意見募集と直接関係しない意見が3件)。e-Govの結果公示では「提出意見を踏まえた案の修正の有無」は「無」です。
寄せられた意見のうち、57件が同じ趣旨でした。消費者庁が公表した意見の要約は次のとおりです。
事故情報データバンクは、消費者事故の未然防止や被害拡大防止のための重要な社会基盤です。これまで共同管理を担ってきた国民生活センターは、PIO-NETを通じて全国の消費生活相談を分析し、「柔軟仕上げ剤のにおいに関する情報提供」(2013年、2020年)など、消費者への注意喚起を行ってきました。こうした現場の知見は、事故情報データバンクの運営にも不可欠であり、共同管理から外すべきではありません。
また、本改正の理由として「効率化」のみが示されていますが、共同管理を廃止する合理的な理由や、消費者保護機能が低下しない根拠は示されていません。
(中略)消費者の安全確保のためには、現場に最も近い国民生活センターが引き続き共同管理主体として関与し、消費者目線による情報分析・注意喚起機能が制度上維持されるべきであり、現行の共同管理体制を維持することを求めます。
(同旨意見ほか56件)
消費者生活相談の現場からは、実務への影響を懸念する意見も出ています。
- 現行実務からの変更の有無の周知:次期事故DBへの移行に伴い、消費生活相談現場におけるPIO-NETへの入力、重大事故等に係る通知事務、PIO-NETに入力された情報の取扱い、問い合わせ窓口等について、現行実務からの変更の有無と、変更がある場合の具体的な手順を、施行前に、相談員、消費生活センター及び自治体担当課へ周知してください。
- 国民生活センターの情報活用体制の維持:管理運営主体が消費者庁単独となった後も、国民生活センターが事故情報を遅滞なく把握し、商品テスト、事故分析、相談現場への情報提供、消費者への注意喚起等に活用できる体制を維持してください。
- 即時性及び実効性の確保:事故情報の収集・分析・活用の即時性及び実効性が低下することのないよう、必要な制度上及び運用上の措置を示してください。
このほか、「消費者庁の単独事務となったのであれば、消費者庁施行令第5条第24号の規定振りにならい『管理』と規定すべき」という条文の書き方に関する意見と、「管理元が消費者庁に一本化することで、事故の早期発見、健康被害の拡大を防ぐことができると思うので良いと思います」という賛成意見が1件ずつありました。
消費者庁の回答
消費者庁は次のように回答しています。
これまで事故情報データバンクシステム(以下「事故DB」といいます。)は国民生活センターがシステムの運用保守を、消費者庁が事故情報データのシステム入力や事故DBを利用する関係機関との連絡調整をそれぞれ担う形で運用してきたところです。
今般、事故情報の検索抽出機能の向上や消費者庁側の職員の入力業務の効率化等に資するべく、消費者庁にて事故DBのシステムの刷新を行い、次期システムの運用保守についても、消費者庁で担うこととしたものです。
このシステムの運用保守主体の変更以外の、データの入力及び公表等の取扱いについては、次期システムにおいても変更はありません。
また、国民生活センターが消費者問題における中核的機関としての位置付けであることや、消費者との苦情相談、情報提供、注意喚起といった、消費者問題に対して果たす役割も変わるものではありません。
条文の書き方についての意見に対しては、施行規則第9条第8項は「当該システムの管理だけでなく、運営についても規定しています」として、「管理運営」のままとしています。
いま確認したいこと
事故情報データバンクを使っている方:特にすることはありません。検索・閲覧のしかたは変わりません。
消費生活相談の現場の方:意見公募でも指摘されているとおり、PIO-NETへの入力、重大事故等の通知事務、問合せ窓口について、施行前に自治体の担当課から周知があるかを確認してください。消費者庁の回答は「データの入力及び公表等の取扱いについては変更なし」です。
重大製品事故を報告する事業者の方:報告先・報告方法は変わりません。
出典
- 事故情報の集約等(消費者庁)
- 事故情報データバンクシステム
- 「消費者安全法施行規則の一部を改正する内閣府令(案)」に関する意見募集の結果について(e-Gov・令和8年9月11日結果公示/案件番号235050014)
- 意見募集結果(消費者庁・令和8年9月11日/PDF)
- 御意見及びそれに対する消費者庁の考え方(別紙/PDF)
- 消費者安全法施行規則の一部を改正する内閣府令(令和8年内閣府令第76号・令和8年9月11日公布/官報本紙第1788号)