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医学部の「臨時定員増」(地域枠・研究医枠)が令和9年度まで1年延長されました 令和8年(2026年)9月4日公布・施行 全国の定員の上限は前年度より10人減

何が起きたか

令和8年(2026年)9月4日の官報(号外第198号)に、次の3本が公布されました。いずれも公布の日から施行されています。

  • 大学設置基準及び大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則の一部を改正する省令(令和8年文部科学省令第29号)
  • 大学、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を改正する告示(令和8年文部科学省告示第110号)
  • 令和九年度の私立の大学の学部の収容定員を増加する学則の変更の認可の申請に係る文部科学大臣が定める期間の告示(令和8年文部科学省告示第111号)

医学部の定員を地域枠・研究医枠のために一時的に増やす「臨時定員増」のしくみを、令和9年度(2027年度)まで1年延長するための改正です。

医学部の「臨時定員増」とは

医学部医学科の定員は、医師の養成数を抑える観点から、「大学、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準」(平成15年文部科学省告示第45号。以下「認可基準」)で新設と収容定員増が抑制されています。そのうえで、次の2つの枠に限って臨時的な増員が認められてきました。

枠内容
地域枠都道府県の医療に関する計画に、その大学の医学部の定員増として記載される人数。都道府県が貸与する地域の医師確保のための奨学金を活用し、地域への医師の定着を図るもの
研究医枠他の大学と協力して教育研究を行い、基礎医学・社会医学の優れた研究者の養成を重点的に担おうとする場合の、3人以内の増加

臨時定員増は期間を区切って認可されます。入学定員の増員期間は令和8年度末まで、収容定員の増員期間は令和13年度末までとされていました。

何が変わったか

1年の延長

項目改正前改正後
入学定員の増員期間令和8年度末まで令和9年度末まで
収容定員の増員期間令和13年度末まで令和14年度末まで

認可基準第3条第1項の「令和八年度に令和十三年度までの期間を付して」が「令和九年度に令和十四年度までの期間を付して」に改められました。大学設置基準の附則第4項でも、期間の上限が令和13年度から令和14年度に改められています。

全国の定員の上限は10人減

認可基準第3条第2項は、学則変更の認可を審査するときに、その年度の全国の大学の医学部に係る入学定員等の合計数の見込みが一定の人数を超えない範囲で認可するものと定めています。この上限が次のとおり引き下げられました。

項目改正前改正後
全国の医学部の入学定員等の合計数の見込みの上限9,420人9,410人

文部科学省は改正の概要で「令和9年度の医学部入学定員の上限について、令和7年度の医学部入学定員数である9,393人とする」と説明しています。告示の条文の9,410人とは数字が違いますが、これは意見募集の回答で次のように説明されています。

改正概要に記載された「令和7年度の医学部入学定員数 9,393 人」は各大学における募集定員の総数、「全国の医学部に係る入学定員等の合計数 9,410 人」は各大学が学則上に定める定員の総数を示しています。一部の大学においては、学則上の入学定員を変更せずに募集定員を減らしてきた経緯があるため、両者に差が生じているところですが、認可基準においては、学則上の定員総数に基づき上限を定めることとしております。

文部科学省は同じ回答のなかで、令和9年度医学部定員数の上限は前年度よりも10名減じているとしています。

私立大学の申請期間は9月11日まで

同じ9月4日に公布された令和8年文部科学省告示第111号は、令和9年度に私立の大学の医学部の収容定員を増やす学則変更の認可を申請できる期間を、次のとおり定めています。

文部科学大臣が定める期間は、令和八年九月四日から同月十一日までとする。

通常は「学則変更年度の前々年度の3月1日から3月31日まで、または前年度の5月1日から5月31日まで」ですが、医学部の臨時定員増についてはこの特例が置かれ、告示で期間が指定されます。この告示は、認可基準の改正に伴って期間を定めるものであるため、行政手続法第39条第4項第8号に該当するとして意見公募手続を行わずに定められました。

なぜ1年だけ延長されたのか

文部科学省は、次の2つを延長の理由として挙げています。

  • 経済財政運営と改革の基本方針2025(令和7年6月13日閣議決定)で、「地域の医師確保への影響にも配慮し、医師偏在是正の取組を進め、医師需要や人口減少等の中長期的な視点に立ち、2027年度以降の医学部定員の適正化を進める」とされたこと
  • 厚生労働省の「医師養成過程を通じた医師の偏在対策等に関する検討会」における議論を踏まえ、医師の偏在問題への対応強化や、高度な医療提供の質を維持する人材の確保の観点から延長することとされたこと

つまり、恒久的な延長ではなく1年ごとの見直しという位置づけです。令和10年度以降の方針は、上記の検討会で引き続き議論されます。

指摘された課題

意見募集には21件の意見が寄せられました(令和8年7月24日〜8月23日)。提出意見を踏まえた案の修正はありませんでした。寄せられた意見のうち、文部科学省が回答したもののなかから主なものを挙げます。

  • 令和10年度以降の見通しを示してほしい:「今回の改正が1年間の暫定的な延長措置であることに鑑み、令和10年度以降の定員適正化に向けた検討方針やスケジュールの概略を事前に提示してほしい」という意見に対し、文部科学省は厚生労働省の検討会で議論されており「検討会における議論の状況については、適切なタイミングで、各都道府県・大学へ周知しております」と回答しています。
  • 1年ごとの延長は実務上つらい:「医師の働き方改革は急務であるため、臨時定員は1年ごとに改正して延長するのではなく、例えば50年分まとめて改正すべきではないか」という意見に対し、「臨時定員数の設定等に当たっては、地域の実情や医師の配置状況等を慎重に勘案する必要があるため、1年ごとに延長することとしております」と回答しています。
  • 公布と同時に申請受付期間・提出書類を示してほしい:「大学側が教員配置や定員管理の準備を円滑に進められるよう、省令等の公布と同時に、申請受付期間および提出書類を速やかに通知・公表してほしい」という意見が出ています。実際に、公布日の9月4日から申請期間が始まり、締切は9月11日です。
  • 研究医枠の効果検証:「研究医養成のための定員増について、これまでの利用実績や卒業後の基礎医学・社会医学分野への定着状況に関する追跡データを公表することを提案する」という意見に対し、文部科学省は「医学部入学から博士課程修了までは一定の年数を要することも踏まえつつ、どのような対応が可能か検討してまいります」と回答しています。
  • 定員を増やすだけでは偏在は解消しない:「医学部定員や地域枠の人数を増やすだけでは、医師少数区域への配置は実現しない。医師本人だけでなく、受入医療機関及び指導者を一体として支援する制度を併せて実施することを求める」という意見も出ています。

受験する側が注意すること

  • 今回の改正は「臨時定員増を認められる期間」を延ばすものです。各大学の令和9年度の実際の定員は、この後の認可を経て決まります。募集人数は各大学の募集要項で確認してください。
  • 地域枠は、都道府県の奨学金の貸与と、卒業後に一定期間その地域で勤務することがセットの制度です。勤務先の地域・年数、離脱したときの返還の条件は都道府県ごとに違います。応募の前に必ず都道府県と大学の募集要項を確認してください。
  • 全国の定員の上限は前年度より10人減っています。「延長された=定員が増える」ではありません。

この記事の更新について

このページは令和8年9月7日時点で確認できる公式発表に基づいています。令和9年度の各大学の定員は今後の認可で決まり、令和10年度以降の方針は厚生労働省の検討会で議論中です。

公式リンク

根拠

  • 大学設置基準及び大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則の一部を改正する省令(令和8年文部科学省令第29号・令和8年9月4日公布/官報号外第198号)
  • 大学、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準の一部を改正する告示(令和8年文部科学省告示第110号・令和8年9月4日公布/官報号外第198号)
  • 令和九年度の私立の大学の学部の収容定員を増加する学則の変更の認可の申請に係る文部科学大臣が定める期間の告示(令和8年文部科学省告示第111号・令和8年9月4日公布/官報号外第198号)
  • 大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)附則第4項
  • 大学の設置等の認可の申請及び届出に係る手続等に関する規則(平成18年文部科学省令第12号)第7条第1項、附則第3項・第4項
  • 大学、短期大学及び高等専門学校の設置等に係る認可の基準(平成15年文部科学省告示第45号)第1条、第3条、附則第3項
  • 学校教育法(昭和22年法律第26号)第3条、第4条第1項、第142条
  • 経済財政運営と改革の基本方針2025(令和7年6月13日閣議決定)

家族に説明するなら

お医者さんになる人の数は、国が「増やしすぎないように」と決めているんだ。でも、お医者さんが足りない地域があるから、その地域で働くことを約束して奨学金をもらう『地域枠』と、研究者を育てる『研究医枠』については、特別に定員を増やしてよいことになっている。これを『臨時定員増』というよ。この特別扱いは令和8年度(2026年度)でおしまいの予定だったけれど、2026年9月4日のルール改正で、令和9年度(2027年度)まで1年延ばされたんだ。だから、来年度も地域枠の募集は続く見込みだよ。ただし、全国の医学部の定員の上限は前の年より10人減っている。国は『2027年度以降は医学部の定員を適正化していく』という方針なので、この先どうなるかは毎年決め直されることになっているよ。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。