子育て・教育 重要度: 中

幼稚園・保育所・認定こども園の次の要領・指針の方向性に意見募集 令和8年(2026年)11月5日まで 保育所でも評価を規定・ICTとスクリーン利用の留意点・合理的配慮の明記

何が起きたか

こども家庭庁は令和8年(2026年)10月6日、「幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ(案)」について意見募集(パブリック・コメント)を始めました。

幼稚園・保育所・認定こども園での教育・保育の内容は、次の3つの告示で定められています。まとめて「3要領・指針」と呼ばれます。

  • 幼稚園教育要領(文部科学省)
  • 保育所保育指針(厚生労働省告示。現在はこども家庭庁が所管)
  • 幼保連携型認定こども園教育・保育要領

いまの3要領・指針は平成29年(2017年)3月に告示されたものです。今回の取りまとめ案は、その次の改訂に向けた方向性を示しています。要領・指針の本文(告示)はまだ出ていません。

項目内容
意見募集の対象幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ(案)(21ページ)
受付期間令和8年10月6日(火)〜11月5日(木)必着
提出方法e-Govの意見提出フォーム、電子メール、郵送(電話は不可)
手続の種類行政手続法に基づかない任意の意見募集(e-Gov 案件番号 141000241)
担当こども家庭庁 成育局 成育基盤企画課

文科省とこども家庭庁の会議が初めて合同で議論

取りまとめたのは、文部科学省の中央教育審議会 初等中等教育分科会 教育課程部会 幼児教育ワーキンググループと、こども家庭庁のこども家庭審議会 幼児期までのこどもの育ち部会 保育専門委員会です。

令和7年10月22日の第1回の議事録によると、幼児教育ワーキンググループは幼稚園教育と幼保連携型認定こども園の教育を、保育専門委員会は保育所保育と幼保連携型認定こども園の保育を所掌しています。3要領・指針の共通の論点を議論するため、2つの会議が初めて合同で開催されました。保育専門委員会の委員長は同じ回で、合同開催を「初めて」の取組と述べています。

同じ時期に、小・中・高校の次期学習指導要領の「審議まとめ」も意見募集にかかっています(次期学習指導要領の「審議まとめ」に意見募集)。取りまとめ案は、0歳から18歳までの学びの連続性を繰り返し強調しています。

中心にある「遊びの深まり」

取りまとめ案は、乳幼児にとって自発的な活動としての遊びは学習であるという、いまの3要領・指針の考え方を引き継いでいます。そのうえで、遊びの過程が資質・能力の育成に深く結び付いていく「遊びの深まり」の実現を、質の向上に不可欠なものとして掲げています。

いまの要領・指針の課題

取りまとめ案は、いまの3要領・指針について次の課題を挙げています。

  • 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」(いわゆる10の姿)と、育みたい資質・能力や5つの領域の「ねらい及び内容」との関係が十分整理されていない
  • その結果、先生が環境の構成や援助で資質・能力とのつながりを意識しにくい、遊びの中の「学び」を見取って指導を振り返るのが難しい、小学校の先生の理解が断片的になりやすい、と指摘されている
  • 「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の活用に重点が置かれ過ぎる実践も多くなっている

関係を整理し直し、表形式で示す

このため、「育みたい資質・能力の3つの柱」「3つの視点・5つの領域のねらい及び内容」「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の関係を明確にし、整合性を図る構造化を行うとしています。

  • 「ねらい」と「内容」は、小・中・高の学習指導要領と同様に表形式で示す
  • ただし幼児教育では、「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」「学びに向かう力、人間性等」を分けて示さず、一体的に示す
  • 「0歳児」「1〜2歳児」「3歳以上児」のねらい及び内容のつながりを整理する。ただし発達の個人差が大きいため、区分は参照しつつ実態に応じて柔軟に対応する
  • 3つの柱そのものは引き続き使い、幼児教育では「知識及び技能の基礎」「思考力、判断力、表現力等の基礎」とする

「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」は、5歳児後半において遊びが深まり、資質・能力が総合的に育成・発揮されている姿と位置付け直されます。

内容で特に充実させる3つ

内容の改善では、0歳からの学びのつながりに加えて、次の3つを挙げています。

  1. 遊びの中で多様な動きを伴う体験と身体感覚の育成:一定のプログラムや一方向的な指導ではなく、自発的な遊びの中で多様な動きを経験する。戸外で遊ぶ機会が減り、室内遊びに偏る乳幼児も少なくないことが背景にある
  2. 他者と関わり協同する力の育成:仲の良い特定の友達だけでなく、自分とは異なる他者とも関わり、ともに目的をつくって協同する。入園まで家族以外の人と関わる経験が少ない場合が多いことが背景にある
  3. 言葉を用いて考える力の基礎の育成:考えることや言葉で表現することの技能的な伸長ではなく、喜びや満足感を味わうことに重点を置く

保育所でも「評価」を規定

取りまとめ案によると、いまの幼稚園教育要領と幼保連携型認定こども園教育・保育要領は、乳幼児理解に基づく評価を行うこととしています。保育所については、計画を作成・実践し、振り返って評価し、次の計画に反映させる過程が重要とされてきたものの、取組状況は園によって様々だとしています。

そのうえで、施設の種類に関わらず、全ての幼稚園・保育所・認定こども園で、乳幼児理解に基づく評価を行うことを規定するとしています。国は、評価に関する参考資料などを作るべきだとしています。

評価の中身として重視しているのは、次の点です。

  • 園生活で見られる乳幼児の具体的な姿を日頃から記録し、記録を基に自身の指導を振り返る
  • 記録には写真や動画、ICTでの共有も効果的
  • 振り返りでは、乳幼児の姿から遊びの中の「学び」を見取る視点をもつ(3〜5歳児は「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の観点を踏まえる)
  • 園内の同僚、他の園の先生、幼児教育アドバイザーなどと対話しながら捉え直す

ICTとスクリーン利用

取りまとめ案は、園でのICTを使った活動が発達や活動のねらいに応じた活用になっていないという課題と、家庭で低年齢児のインターネット利用率が増え、ICTの長時間使用による心身への影響が懸念されていることを挙げています。

方向性は次のとおりです。

  • ICTは、乳幼児期は直接的・具体的な体験が重要であることを踏まえ、直接的・具体的な体験の充実を図る道具として活用する
  • 直接的・具体的な体験を阻害する活用にならないことはもとより、スクリーン利用が心身の健康や発達に長期的影響を及ぼす可能性が指摘されていることなど、科学的・医学的知見を踏まえて必要な留意点を示す
  • 障害も含め様々な特性のある乳幼児には、ICTは効果的に活用できるツールであり、一人一人の実態に応じて適切な管理の下で活用する

家庭への支援の場面でも、保護者の懸念が大きい子育てにおけるICT使用について、乳幼児の心身への影響や使う際に留意すべきことを踏まえて相談や情報提供を行うことが有効だとしています。

生活の流れと長時間の在園

  • 幼稚園・認定こども園の預かり保育など(教育課程に係る教育時間の終了後等に行う教育活動)は、教育課程に基づく活動との連続性に留意し、国が基本的な考え方や工夫、幼児の心身の負担への配慮を整理・周知する
  • 保育所では、特に3〜5歳児について、主体的な遊びを中心とする活動の時間を設定するなど、5つの領域のねらい及び内容を意識的に計画に位置付ける取組の趣旨や位置付けを明確にする
  • 0〜2歳児は、食事、睡眠、休息、遊びなどが無理なく営まれるよう配慮する
  • 在園時間が長時間にわたる乳幼児には、一人一人の生活のリズムに配慮し、園と家庭での生活の連続性を確保する
  • 入園時や、2歳児から3歳児へのクラス移行時には、保護者の不安や悩みに寄り添った支援も充実させる

保育所保育指針の「養護」の記載は、「乳児保育に関わるねらい及び内容」との重複や、保育士等の援助と乳幼児の姿の混在があるとして、より分かりやすく整理するとしています。

障害のある子・外国にルーツのある子

合理的配慮の提供を規定

取りまとめ案は、令和6年度の改正障害者差別解消法の施行も踏まえ「合理的配慮」の充実を図っているものの、その基盤となる「基礎的環境整備」は園によるばらつきが大きく、園内の体制整備や個別の支援計画・指導計画の作成も十分に対応できていない、と書いています。

方向性は次のとおりです。

  • 「基礎的環境整備」の充実を促すとともに、「合理的配慮」の提供が確実に行われるよう規定する
  • 障害のある乳幼児の個別の支援計画や指導計画の作成・活用を一層推進する
  • 個別の支援計画に「合理的配慮」の内容を記載し、園内での共通理解と小学校への確実な引継ぎを図る

外国人乳幼児等

外国人の乳幼児や海外から帰国した乳幼児については、母語での声掛けや母文化の遊びを取り入れるなど安心して自己を発揮できる環境の下で、一人一人の日本語の習得状況や生活習慣に応じた指導を組織的・計画的に行い、小学校へ引き継ぐとしています。

体系的な語学指導を行わない幼児教育では、日常的な関わりや言葉掛けの中で「日本語の力を育む視点」をもつことを重視すべきだとしています。

小学校との接続と地域の体制

  • 5歳児のカリキュラムと、小学校1年生のカリキュラム(スタートカリキュラム)を合わせて「架け橋期のカリキュラム」と位置付ける
  • 園は、遊びの中の「学び」を見取り、育まれた資質・能力を小学校関係者と共有するための「対話のための資料」を作成・活用する
  • 架け橋期の取組は、地域や園・校の実情に応じたものとし、園と小学校に過度な負担を生じさせないよう留意する。国は手引きを改定し、多様なモデルを示す
  • 教育委員会の指導主事や、児童福祉部局の保育指導職の育成・配置を進める
  • 設置者や施設の種類に関わらず全ての園を支える幼児教育センターの設置を促し、都道府県は全都道府県での設置を目指す

指摘された課題

取りまとめ案自身が、いまの実践について次のような指摘を挙げています。

  • 保育所の「養護及び教育を一体的に行うこと」について、その意味や具体的な実践の在り方の理解の程度に現場でばらつきがあり、実践上の混乱が生じているとの指摘
  • 評価について、育みたい資質・能力の観点から指導を振り返ることが十分に行われていない、指導の改善に生かす評価の参考となる情報が不十分な記録になっている、との指摘
  • 小学校との接続では、園の側から「一部の小学校から幼児教育が企図しない指導を求められる」、小学校の側から「各園の教育の質にばらつきを感じる」「幼児教育でどのような資質・能力が育まれているのか分からない」といった課題
  • 幼児教育の質の向上を担当する自治体職員の育成・配置が不十分

記録と振り返りを重視する方向に対しては、令和7年10月22日の第1回会合で、秋田県教育庁幼保推進課の石山委員が、事前の準備や事後の記録、園内研修の充実が必要な一方で、各種資料や記録の作成等が業務の多忙化につながっているという捉えがあることが令和6年度の県のアンケートで明らかになったと発言しています。取りまとめ案は記録にICTを活用する工夫を挙げていますが、記録の負担そのものにどう対応するかは、この案では具体的に示されていません。

意見の出し方

受付は令和8年(2026年)11月5日(木)必着です。様式は自由で、理由を付けて提出します。件名は「幼児教育WG・保育専門委員会取りまとめ(案)に関する意見」です。電話では受け付けていません。

  1. インターネット:e-Govの意見提出フォーム(こども家庭庁は、ウイルスメール対策のためできるだけe-Govを使うよう求めています)
  2. 電子メール:seiikukiban.hourei2[atmark]cfa.go.jp(送信時は[atmark]を@に直す。こども家庭庁成育局成育基盤企画課企画法令第二係宛て。本文に直接書くか、テキスト・Word・一太郎ファイルを添付。容量は10MBまで)
  3. 郵送:〒100-6003 東京都千代田区霞が関3-2-5 霞が関ビルディング21階 こども家庭庁成育局成育基盤企画課企画法令第二係宛て

個人は氏名・住所・連絡先、法人は法人名・所在地・連絡先を書きます。意見は、氏名・住所などの連絡先を除いて公表されることがあります。

出典

家族に説明するなら

幼稚園、保育園、認定こども園で何を大事にして子どもと過ごすかは、国が「要領」や「指針」というルールで決めているんだ。前回の見直しは2017年で、いま次の見直しに向けた考え方の案ができたところ。こども家庭庁が2026年11月5日まで意見を集めているよ。大きな考え方は、子どもが自分から始めた遊びがどんどん深まっていくことを大事にして、先生がそれを記録して振り返るしくみを、幼稚園でも保育園でも同じようにそろえること。タブレットなどのICTは、実際に触ったり体を動かしたりする体験を助ける道具として使い、画面を見る時間が長いと体や心に影響があるかもしれないことにも気をつけるよう示す予定だよ。障害のある子への配慮の内容を計画に書いて、小学校にきちんと引き継ぐことも求めているんだ。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。