くらし・税金 重要度: 中

「交通空白」の解消をめざす改正地域公共交通活性化再生法が令和8年(2026年)10月16日に施行されます 施行期日を定める政令が9月4日に公布

何が起きたか

令和8年(2026年)9月4日の官報(号外第198号)に、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和8年政令第269号)が公布されました。

地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律の施行期日は、令和八年十月十六日とする。

国土交通省の報道発表によれば、この政令は令和8年9月1日に閣議決定され、9月4日に公布されました。

対象になるのは、令和8年6月10日に公布された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第35号)です。公布から約4か月後に施行される形になります。

背景——全国で約2,500の「交通空白」

国土交通省は、法律案の閣議決定時に背景を次のように説明しています。

人口減少・少子高齢化と運転者不足により、バス路線等の減便や廃止が相次いでいます。その一方で、高齢者の運転免許返納、学校・病院等の統廃合等により需要は拡大しています。この結果、全国で約2,500の「交通空白」が生じているとされています。

供給が減り、需要が増える。その差が「交通空白」として現れている、という整理です。改正法は、地域の輸送資源をフル活用し、共同化・協業化等を推進することで、これを解消しようとするものです。

改正法で何が創設されるか

国土交通省が示している改正の概要は、次のとおりです。

1. 自動車地域旅客運送サービス再構築事業の創設

バス・タクシー等の自動車による旅客運送サービスについて、地域の関係者が連携して再構築を進めるための事業の枠組みです。

2. 「施設利用者用運送サービス提供者」を地域関係者として追加

病院・福祉施設・商業施設などが運行する送迎サービスを、地域公共交通の担い手として位置づけるものです。地域にすでにある輸送資源を活用するという方向にあたります。

3. 海上運送利便確保事業の創設

離島航路など、船による移動の利便を確保するための事業です。

4. 「連携促進団体」の法定協議会構成員化と提案権の措置

地域の関係者の連携を促す団体を、法律に基づく協議会の構成員に位置づけ、提案する権限を与えるものです。

5. モビリティデータ利活用における交通事業者等の情報提供応諾義務

運行実績などのデータの利活用を進めるため、交通事業者等に情報提供に応じる義務を設けるものです。

同じ日に条項のずれを直す政令も出ています

同じ令和8年9月4日の官報に、租税特別措置法施行令及び物資の流通の効率化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第270号)も公布されました。

中身は引用している条項番号の修正です。

  • 租税特別措置法施行令第12条第2項ただし書中「第二条第十二号」を「第二条第十五号」に改める
  • 物資の流通の効率化に関する法律施行令第43条の4中「第二条第九号」を「第二条第十号」に改める

改正法によって地域公共交通活性化再生法の第2条に号が追加され、後ろの号の番号がずれるため、それを引用している他の政令を直すものです。施行日は改正法と同じ令和8年10月16日です。制度の実体を変えるものではありません。

9月18日、施行に向けた省令・告示が公布

令和8年9月18日の官報(号外第209号)に、10月16日の施行に向けた関係法令が掲載されました。施行はいずれも令和8年10月16日です。

名称番号国土交通省の説明
地域公共交通の活性化及び再生に関する法律施行規則の一部を改正する省令国土交通省令第74号新設の自動車地域旅客運送サービス再構築事業について、事業者の選定方法、実施計画の記載事項、同意を得る者などを定める
道路運送法施行規則及び国土交通省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令国土交通省令第75号自家用有償旅客運送(公共ライドシェア)の実施主体の拡大など(下記)
地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針の一部を変更する告示総務省・国土交通省告示第2号地域の輸送資源のフル活用、地方公共団体の機能・役割の補完・強化、モビリティ・データの利活用などの記載を追加
都道府県公安委員会の意見の聴取に関する命令の一部を改正する命令内閣府・国土交通省令第5号実施計画の認定にあたり公安委員会の意見を聴く手続の整備(題名から。中身は未確認)

あわせて、国土交通省は「モビリティ・データの活用推進に向けたガイドライン」を同じ日に公表しました。地方公共団体などがデータを集めやすくし、保有者が安心して提供できる環境を整えるためのものです。

公共ライドシェアの実施主体が広がる

住民に一番近い変更は、道路運送法施行規則の改正です。バス・タクシーが足りない地域で市町村やNPOなどが自家用車を使って有償で人を運ぶ自家用有償旅客運送について、国土交通省は次の改正を行うとしています。

  • 実施主体の拡大:これまで主な実施主体だった市町村に加えて、都道府県・一部事務組合・広域連合等を追加
  • 地域公共交通会議の任意構成員の拡大:改正法で位置づけられた連携促進団体を追加
  • そのほか、福祉有償運送の旅客の範囲の明確化、運行管理の方法の最適化

国土交通省は理由として、市町村が人員・財源不足を抱える一方で住民の移動は市町村の区域を越えて広域化していることを挙げ、「市町村」を超えた共同化・協業化を促すためと説明しています。根拠として「交通政策審議会 地域公共交通部会 とりまとめ(令和7年12月)」を示しています。

注意点

  • 住民が行う手続きはありません。 改正法は市区町村や交通事業者、協議会の枠組みを整えるものです
  • 施行日にすぐ地域の交通が変わるわけではありません。 創設された事業を実際に使うかどうかは、地域ごとの計画と協議によります
  • 「交通空白」について、国土交通省の報道発表資料に明確な定義の記載はありません。約2,500という数字は同省が示しているものです
  • ライドシェアを含む多様な手段について、国土交通省は「地域の状況や課題に適した形態での運送」により「交通空白」等を解消できる可能性が広がるとしています

公式リンク

根拠

  • 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律の施行期日を定める政令(令和8年政令第269号・令和8年9月4日公布/官報号外第198号)
  • 租税特別措置法施行令及び物資の流通の効率化に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第270号・令和8年9月4日公布/官報号外第198号)
  • 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の一部を改正する法律(令和8年法律第35号・令和8年6月10日公布)
  • 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律(平成19年法律第59号)
  • 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第74号・令和8年9月18日公布/官報号外第209号)
  • 道路運送法施行規則及び国土交通省関係国家戦略特別区域法施行規則の一部を改正する省令(令和8年国土交通省令第75号・令和8年9月18日公布/官報号外第209号)
  • 地域公共交通の活性化及び再生の促進に関する基本方針の一部を変更する告示(令和8年総務省・国土交通省告示第2号・令和8年9月18日/官報号外第209号)

家族に説明するなら

バスや電車がどんどん減って、車がないと買い物にも病院にも行けない地域が全国にたくさんあるんだ。国土交通省はそういう場所を「交通空白」と呼んでいて、全国で約2,500あると言っている。運転手さんが足りないのが大きな原因で、そこに免許を返した高齢者が増えたり、学校や病院がまとめられて遠くなったりして、困る人が増えている。それをなんとかするために法律が変わって、2026年10月16日から動き出すことになったよ。中身は、地域にある使える乗り物をとにかく全部使おう、という方向。バス会社どうしが手を組みやすくしたり、船の便を確保する仕組みを作ったり、送迎バスを持っている施設にも地域の話し合いに入ってもらったりする。自分で何か手続きをする話ではないけれど、住んでいる場所の足がどうなるかに関わってくるよ。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。