総務省は2026年(令和8年)9月30日、地方団体から協議のあった宿泊税について、次の5件に総務大臣が同意したと発表しました。
- 新設:和歌山県白浜町、大分県、鹿児島県鹿児島市、鹿児島県指宿市
- 変更:長崎県長崎市
宿泊税は、地方税法が定める税目ではなく、自治体が条例で独自に設ける法定外目的税です。新設や変更には、議会での条例可決のあと総務大臣との協議と同意が要ります(地方税法731条2項)。今回の5件は、いずれも条例が可決済みで、国の同意によって導入の手続がそろったことになります。
税率と開始時期の一覧
税額はすべて宿泊者1人・1泊あたりです。
| 自治体 | 税率(宿泊料金の区分) | 条例施行(予定) |
|---|---|---|
| 和歌山県白浜町 | 1万円未満 200円/1万円以上2万円未満 300円/2万円以上5万円未満 500円/5万円以上 1,000円 | 2027年3月1日 |
| 大分県 | 5千円未満 100円/5千円以上2万円未満 200円/2万円以上10万円未満 500円/10万円以上 2,000円 | 2027年1月以降 |
| 鹿児島市 | 一律 200円 | 2027年4月1日 |
| 指宿市 | 一律 200円 | 2027年4月1日 |
| 長崎市(変更) | 6千円未満 100円/6千円以上2万円未満 300円/2万円以上 500円 | 2027年4月1日 |
施行日は総務省の発表資料でいずれも「(予定)」とされています。大分県は「令和9年1月以降」で、日付はまだ決まっていません。
長崎市はどこが変わるか
長崎市は2023年4月から宿泊税を課しています。長崎市の案内による現在の税率と、変更後の税率は次のとおりです。
| 宿泊料金 | 現在(2023年4月〜) | 2027年4月1日から(予定) |
|---|---|---|
| 6千円未満 | 100円 | 100円 |
| 6千円以上1万円未満 | 100円 | 300円 |
| 1万円以上2万円未満 | 200円 | 300円 |
| 2万円以上 | 500円 | 500円 |
宿泊料金が6千円以上2万円未満の宿泊で税額が上がります。2万円以上の区分と6千円未満の区分は変わりません。総務省の資料では、平年度の収入見込額は約8.4億円です。
課税免除には、修学旅行等の参加者(引率者を含む)に加えて、部活動や地域のクラブチームとして宿泊を伴うスポーツ大会・文化大会に参加する児童・生徒(引率者を含む)が入っています。
共通する仕組み
5件とも、総務省の資料に書かれた仕組みはほぼ共通です。
- 課税されるもの:その自治体の区域内にある、旅館業法の許可を受けた旅館・ホテル・簡易宿所と、住宅宿泊事業法の届出をした住宅宿泊事業(民泊)の住宅への宿泊
- 納める人:宿泊者
- 集め方:特別徴収。宿泊施設が宿泊料金と一緒に宿泊者から預かり、自治体に納めます。旅行者が自分で申告することはありません
- 見直し:条例施行後3年をめどに(その後は5年ごとに)見直す規定があります(長崎市は3年ごと)
課税されない人(課税免除)
| 自治体 | 課税免除等 |
|---|---|
| 白浜町 | 修学旅行等の参加者(引率者を含む)、12歳未満の人、地震等の災害が起きたときの被災者 |
| 大分県 | 修学旅行等の参加者(引率者を含む)、認定こども園・保育所等の行事の参加者(引率者を含む) |
| 鹿児島市 | 修学旅行の参加者(引率者を含む) |
| 指宿市 | 修学旅行等の参加者(引率者を含む)、12歳に達する日以後の最初の3月31日までの人(小学生まで) |
| 長崎市 | 修学旅行等の参加者(引率者を含む)、部活動・地域クラブで大会に参加する児童・生徒(引率者を含む) |
子どもの扱いは自治体ごとに違います。白浜町と指宿市は子どもが課税されませんが、大分県・鹿児島市・長崎市は年齢による免除がありません。
税収の使い道と見込み額
法定外目的税なので、使い道が条例で決まっています。総務省の資料にある使途と平年度の見込み額は次のとおりです。
| 自治体 | 税収の使途(要旨) | 収入見込額(平年度) |
|---|---|---|
| 白浜町 | 旅行者の満足度・利便性・快適性を高め、住民生活と調和した持続可能な観光振興 | 約6.5億円 |
| 大分県 | 地域資源の魅力向上、旅行者の受入れ環境の充実、戦略的な誘客と県民生活の質の確保との両立 | 約18.6億円 |
| 鹿児島市 | 観光資源の魅力向上、国内外からの戦略的な誘客、旅行者の受入環境の充実 | 約8.4億円 |
| 指宿市 | 観光の活性化と観光消費額の拡大につながる観光振興 | 約8,640万円 |
| 長崎市 | 国内外の人々の来訪・交流の促進と観光振興 | 約8.4億円 |
宿泊施設・民泊の事業者がすること
特別徴収では、宿泊施設の経営者が特別徴収義務者になり、宿泊者から預かった税を自治体に申告・納入します。長崎市の例では、毎月末日までに前月分を納入する仕組みです(一定の要件で3か月ごと)。施行までに各自治体から登録・申告の方法の案内が出るので、予約システムの料金計算と、宿泊料金の表示(税込みか別建てか)の準備が必要になります。
宿泊料金の区分を判定するときの「宿泊料金」に、食事代や消費税、サービス料を含めるかどうかは、自治体の条例と手引で決まります。区分ごとに税額が変わる白浜町・大分県・長崎市では、この扱いで税額が変わることがあります。