防衛力の強化に係る財源を確保するための税制措置の一つとして、**「防衛特別所得税」**が創設されました。財務省は令和8年度(2026年度)税制改正の内容を説明する「税制改正の解説」を公表しており、その中に「防衛特別所得税の創設等」が含まれています。
この記事は制度のしくみを中立的に整理するもので、税制措置の是非を論じるものではありません。
何が新しくできたのか
防衛特別所得税は、その年の**「基準所得税額」に1%の税率を乗じて計算した金額を、所得税に上乗せして納めるものです。基準所得税額の考え方は、東日本大震災の復興財源である復興特別所得税と同じ**とされています。
つまり、所得の金額そのものに1%をかけるのではなく、**計算された所得税の額(基準所得税額)に対して1%**を上乗せするしくみです。
いつから始まるのか
- 適用は令和9年(2027年)分の所得税からです。
- 源泉徴収(給与・報酬・利子・配当などからの天引き)についても、令和9年1月以後に源泉徴収する所得税額の1%相当額を、所得税と併せて徴収・納付します。
- 課税期間は「令和9年以後の当分の間」とされています。
復興特別所得税は同時に引き下げ
防衛特別所得税の創設に合わせて、復興特別所得税も見直されます。
- 税率:2.1%から1.1%に引き下げ
- 課税期間:令和19年まで→令和29年まで、10年延長
- 適用:令和9年分以後
この結果、令和9年分からの所得税への上乗せは、復興特別所得税1.1%+防衛特別所得税1.0%=合計2.1%となります。これは改正前の復興特別所得税(2.1%)と同じ率です。当面の合計負担率は変わらず、内訳が「復興」と「防衛」に分かれる形になります。
誰に関係するか
所得税を納めるすべての個人に関係します。会社員や年金受給者など、源泉徴収の対象となる人は、令和9年1月以後の天引きの中で自動的に計算されます。個人事業主など確定申告をする人は、**令和9年分(2028年に行う申告)**から申告書の計算に反映されます。
多くの人にとって、特別な手続きは必要ありません。給与から天引きされる金額の内訳(源泉徴収票の表示など)が変わっていく点を知っておくとよいでしょう。従業員の給与計算を行う会社・事業者は、令和9年1月以後の源泉徴収事務が変わるため、準備が必要です。
出典
- 財務省「令和8年度 税制改正の解説」(防衛特別所得税の創設等)
- 令和8年度 税制改正の解説(財務省)
- 令和8年度税制改正の大綱(財務省・防衛特別所得税等の項)
- 防衛特別所得税及び復興特別所得税の源泉徴収のあらまし(令和9年1月以後の源泉徴収)/国税庁(PDF)