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農業近代化資金が2026年10月1日から拡充 個人の貸付上限1,800万円→2億円・法人は7億円、償還20年に延長、農地取得と負債整理にも(令和8年政令第299号・第300号)

令和8年(2026年)9月28日の官報(号外第213号)で、農業近代化資金融通法の一部を改正する法律(令和8年法律第17号)の施行期日を令和8年10月1日と定める政令(令和8年政令第299号)と、農業近代化資金融通法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第300号)が公布されました。資金の使い道などを定める農林水産省告示第1490号も同じ日に出ています。

農業近代化資金は、JA・銀行などの民間金融機関が農業者に貸し付ける長期・低利の制度資金です。法律は第221回国会で成立し、これで10月1日からの具体的な条件が決まりました。

何が変わるか

項目改正前10月1日から根拠
貸付上限(個人=その他の農業者)1,800万円(法律の枠は4,000万円以内)2億円(法律の枠も2億円以内に)法2条3項1号、施行令4条
貸付上限(法人等=政令で定める農業者)2億円7億円法2条3項1号
償還期限15年以内(一部18年以内)20年以内施行令2条の表
貸付対象農業者、農協など農林中央金庫が主たる出資者等の法人、農業者が業務執行社員の過半を占める持分会社を追加法2条1項4号、施行令1条
資金の使い道施行令の表と告示で定める資金農地・採草放牧地の取得、負債の整理を追加告示第1490号

個人の上限は法律の枠いっぱいの2億円

法律の改正で、個人の上限は「4,000万円の範囲内で政令で定める額」から「2億円の範囲内で政令で定める額」になりました。施行令はこれまで1,800万円と定めていましたが、今回の改正で2億円に改めます。法律が認める上限いっぱいです。

これに合わせて、告示で農林水産大臣が定める事業の規模も「事業費1,800万円に相当する規模」から「事業費2億円に相当する規模」に改められました。

償還期限は20年に

施行令の表で「15年以内」とされていた資金、認定就農者の特定資金などで「18年以内」とされていたものが、多くの区分で「20年以内」に揃います。東日本大震災の被災農業者向けに償還期限を延ばしていた特例(15年→18年、18年→21年の読替え)は、今回の改正で削除されました。

新しい使い道:農地の取得と負債の整理

告示第1490号で、次の2つが資金の使い道に加わりました。

  • 農業経営の改善のためにする農地・採草放牧地の取得(防風林・道路・水路・ため池などとして使う土地をあわせて取得する場合を含む)
  • 農業経営によって生じた負債の整理に必要な資金

なぜ今か

農林水産省の法律案の概要によると、農業経営の規模拡大や、物流・加工・輸出などの取組の進展で農業分野の資金需要が拡大しています。1経営体当たりの借入額は1990年を100とすると2023年には1,006になり、経営面積や飼養頭数も1990年に比べて田で2.9倍、畑で4.3倍、肉用牛で6.6倍、養豚で10.3倍になっています。

令和7年4月に閣議決定された「食料・農業・農村基本計画」でも、民間金融機関が扱う制度資金を資金ニーズの拡大に対応できる貸付条件にするよう検討するとしていました。

農林中央金庫が出資する法人を対象に加える点について、農林水産省は、農林中央金庫法の一部を改正する法律(令和8年法律第16号)の施行で、地域の農林水産業の発展に資する国内の会社への農林中金の出資が増える見込みだと説明しています。

指摘された課題

施行令の改正案には7件、告示の改正案には4件の意見が寄せられました。施行令は技術的な修正のみ、告示は案のとおり定められています。

借りすぎ・債務の長期化

「限度額と償還期間を同時に広げると、過剰な投資や債務の長期化につながる」「借換えが単なる債務の先送りにならないよう、継続的な経営確認を」といった意見が複数ありました。農林水産省は、過剰な投資や返済不能な負債が生じないよう、各民間金融機関に改めて適切な審査を実施するよう指導すると回答しています。

上限をいきなり法律の枠いっぱいにすること

「法律が『2億円の範囲内で政令で定める額』としたのは経済状況の変化に柔軟に対応するためなのに、改正早々に上限の2億円を定めるのは妥当でない」という意見には、規模拡大等による資金需要の拡大に対応するため、2億円に設定することが必要と判断したと回答しています。

効果を測る指標は置かない

KPI(成果指標)の設定を求める意見には、民間農業融資は各金融機関の審査と経営判断で行われるもので、融資額等について政策目標を設定することにはなじまないため、KPIは設定しないとしています。

利子補給の財政負担

農業近代化資金の低い金利は、市場金利との差を国や都道府県が利子補給で埋めることで成り立っています。「上限と償還期間を広げれば利子補給の負担が増える。将来負担の試算を示すべき」という意見もありましたが、回答は制度の適切な運用を図るというものにとどまっています。

誰に関係するか

大型の設備投資や農地の取得を考えている農業者は、10月1日以降、これまでより大きな額を長い期間で借りられる可能性があります。既存の借入を整理したい農業者も、負債整理が使い道に加わったことで選択肢が増えます。

ただし、実際に借りられる額と条件は金融機関の審査次第で、金利を下げる利子補給は都道府県などの予算措置です。取引のあるJAや銀行、都道府県の農政担当に確認してください。

出典

家族に説明するなら

農家が機械や建物を買うときに、JAや銀行から低い金利で長く借りられる「農業近代化資金」というお金の仕組みがあるんだ。2026年10月1日から、これが大きく広がったよ。個人の農家が借りられる上限が1,800万円から2億円に、会社などは2億円から7億円になる。返す期間も最長15年くらいだったのが20年になる。それから、田んぼや畑を買うお金や、今ある借金を借り換えるお金にも使えるようになるんだ。農家の規模が大きくなって、必要なお金も増えているのが理由だよ。ただ、借りすぎを心配する声もあって、国は金融機関にちゃんと審査するよう言うそうだ。

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