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外国人労働者の就労環境整備助成金が縮小 最大80万円→最大25万円、講習受講による離職率要件の免除も廃止 令和8年(2026年)10月1日から(雇用保険法施行規則改正・厚生労働省令第147号)

何が起きたか

厚生労働省は令和8年(2026年)10月1日、雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第147号)を公布し、同じ日に施行しました。対象は、雇用保険の財源で行う人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)です。

このコースは、外国人労働者を雇う事業主が、相談の担当者を置く、就業規則を多言語化するなど外国人特有の事情に配慮した職場環境を整え、外国人労働者が定着した場合に支給されます。細かな支給要件を定める支給要領も、10月1日付で改正されました(令和8年10月1日付け職発1001第4号)。

項目内容
改正した命令雇用保険法施行規則の一部を改正する省令(令和8年厚生労働省令第147号)
根拠雇用保険法第62条第1項第6号・第2項
公布・施行令和8年(2026年)10月1日
意見募集令和8年8月15日〜9月13日、43件。案の修正なし(e-Gov 案件番号495260147)
経過措置令和8年10月1日より前に提出された就労環境整備計画は、なお従前の例による

支給額:最大80万円から最大25万円へ

もっとも大きな変更は支給額です。

改正前(令和8年4月1日版の支給要領)改正後(令和8年10月1日版)
必須の措置雇用労務責任者の選任、就業規則等の多言語化雇用労務責任者の選任、就業規則・社内マニュアル等の多言語化
追加の措置苦情・相談体制の整備、一時帰国のための休暇制度、社内マニュアル・標識類等の多言語化から少なくとも1つ一時帰国のための休暇制度(任意)
支給額措置1つにつき20万円、上限80万円必須2措置で20万円、一時帰国休暇を加えると25万円

改正前は、必須の2措置に加えて少なくとも1つの措置を導入することが支給の条件でした。このため、受給できる額は最低でも60万円(20万円×3)、5つすべてなら上限の80万円でした。改正後は最高でも25万円で、改正前の最低額60万円を下回ります。

厚生労働省は意見募集の結果で、20万円という額は「就業規則等を多言語化するための外注費用等の実勢価格などを踏まえ」設定したと説明しています。

措置の中身:5つから3つに

措置は5つから3つに整理されました。

1. 雇用労務責任者の選任(必須)

改正後は、次のすべてが要件です。

  • 外国人労働者が働く事業所ごとに雇用労務責任者を選び、氏名と、その人が苦情・相談に応じることを掲示やメールで知らせる
  • 計画期間の初日から離職率算定期間の末日まで、全ての外国人労働者と3か月ごとに1回以上面談し(テレビ電話も可)、結果を書面に残す。計画期間が3か月なら、最低3回(計画期間中1回、離職率算定期間中2回)
  • 労働基準監督署など、法令違反を受けたときに相談できる行政機関を知らせる
  • 全ての雇用労務責任者が「外国人労働者雇用労務責任者講習」を受講する

改正前は面談が「計画期間に1回以上」でした。独立した措置だった「苦情・相談体制の整備」は廃止され、苦情・相談への対応は雇用労務責任者の役割になりました。講習の受講は計画期間中であれば時期の指定はなく、面談の後に受けてもよいとされています(Q&A)。

2. 就業規則・社内マニュアル等の多言語化(必須)

次の3区分について、それぞれ1種類以上を多言語化し、外国人労働者に周知します。

  • 就業規則または労働協約
  • 労働条件通知書または雇用契約書
  • 社内マニュアル

改正前に別の措置だった「社内マニュアル・標識類等の多言語化」が、この措置に統合されました。就業規則・労働協約や、労働条件通知書・雇用契約書を、計画書の提出前に全ての外国人労働者について多言語化済みだった場合は、その区分の多言語化は不要です。

3. 一時帰国のための休暇制度の整備(任意・5万円の上乗せ)

就業規則または労働協約を変えて、外国人労働者が一時帰国を希望したときに取れる有給休暇(年次有給休暇とは別)を新たに定めます。1年に1回以上、連続5日以上取れる制度であることと、支給申請の日に運用を続けていることが条件です。

離職率の要件:講習による免除を廃止、数え始めも後ろへ

支給には、外国人労働者の離職率が15%以下であることが必要です(外国人労働者が2〜6人の事業所は、離職者1人までなら可)。この要件の扱いが2点変わりました。

  • 講習受講による免除の廃止:改正前は、雇用労務責任者が講習を受け、措置の実施日の前日から6か月さかのぼって外国人労働者を解雇していなければ、離職率の確認を行わない特例がありました。改正後はこの特例がなく、講習は全員必須、離職率は必ず確認されます
  • 離職率算定期間の起点:改正前は「措置の実施日の翌日」から6か月でした。改正後は「計画期間の末日の翌日」から6か月です

支給申請は、離職率算定期間(6か月)が終わった翌日から2か月以内です。Q&Aの例では、計画期間が2026年12月1日〜2027年11月30日なら、支給申請は2028年6月1日〜7月31日になります。計画期間を1年にすると、計画の初日から1年6か月が過ぎるまで申請できません。

9月30日までに計画を出した事業主は改正前のまま

改正後の支給要領は、経過措置として「令和8年10月1日より前に提出された就労環境整備計画」には従前の例によるとしています。9月30日までに労働局へ計画を提出していれば、措置・支給額(上限80万円)・離職率の扱いとも改正前のルールで審査されます。

計画書の提出は、郵送や電子申請の場合「到達」した日で判断されます(支給要領0403)。改正前の様式で準備していた計画を10月1日以降に出す場合は、改正後の要件と様式(電子申請は「令和8年10月版」)で作り直す必要があります。

指摘された課題

意見募集(43件)では、改正の方向に賛成する意見のほか、次のような指摘が出ています。厚生労働省はいずれも「御意見として承ります」などと答え、案は修正されませんでした。

  • 施行が急すぎる:支給額が最大80万円から最大25万円へ大きく下がり、講習受講の特例も廃止されて受給までの期間も長くなるのに、10月施行は急すぎるので延期や段階的な見直しを求める意見。厚生労働省は、より多くの事業主が就労環境整備に取り組めるよう支給額等を見直すもので、丁寧な周知に努めると回答しました
  • 公布日にそのまま施行:公布日を事前に示さず公布の日から施行するため、制度の利用を検討中の事業主が施行時期を把握できないまま不利益な変更を受けるという意見
  • 相談体制の後退:「苦情・相談体制の整備」を雇用労務責任者による対応に置き換えると、秘密保持や不利益取扱いの禁止、多言語対応、複数の相談経路といった組織的な仕組みが弱まり、権利救済の機能が後退するという意見
  • 中小・零細事業者への影響:減額により中小・零細事業者が実質的な整備をあきらめ、形式的な対応にとどまるおそれがあるとして、申請・支給の実績と支給額の算定根拠の公表を求める意見。厚生労働省は、実績は雇用保険二事業評価等で公表していると回答しました
  • 実費を超える助成:事業主の実費以上に助成することは問題で、翻訳・通訳費が助成を前提に値上がりしないよう複数見積もりを義務付けるべきだという意見。厚生労働省は、申請者の事務負担に配慮して見積書は求めていないと回答しました

このほか、外国人労働者向けの助成そのものに反対する意見も複数寄せられました。厚生労働省は、今回の改正は雇用保険料率に影響しないと説明しています。

出典

家族に説明するなら

外国人を雇っている会社が、相談の担当者を決めたり、就業規則を外国語に訳したりして働きやすい職場をつくると、国から助成金(返さなくていいお金)がもらえる制度があるんだ。2026年10月1日から、この助成金の金額が大きく下がって、これまで最大80万円だったのが最大25万円になったよ。そのかわり、担当者は必ず講習を受けて、3か月に1回は外国人の社員と面談することになった。9月30日までに計画を出していた会社は、前のルールと金額のままだよ。

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