行政・手続き 重要度: 低

海外送金の「支払等報告書」がスマホで出せるようになります 様式3スマート報告は令和9年(2027年)1月から 施行規則の改正命令が9月9日に公布

何が起きたか

令和8年(2026年)9月9日の官報(号外第201号)に、外国為替法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則の一部を改正する命令が公布されました。内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省の9府省の共同命令(令和8年令第5号)です。

根拠は、情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号、いわゆるデジタル手続法)第6条第1項です。附則は次のとおりです。

この命令は、令和九年一月四日から施行する。

財務省は同日、報道発表で改正の趣旨を次のように説明しています。

令和9年1月から、外国為替の取引等の報告に関する省令第3条第1項に基づく別紙様式第三による報告を行う際に利用可能な、スマートフォン等を活用して報告書の作成及び提出ができる「様式3スマート報告」のサービスが提供される予定です。これに伴い、様式3スマート報告の利用に関する手続等を定めた「外国為替法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則」について、今般所要の規定の整備を行うものです(第4条及び第5条第1項関係)。

対象の報告——支払等報告書

対象になるのは、外国為替の取引等の報告に関する省令第3条第1項に基づく別紙様式第三による報告です。日本銀行が「支払又は支払の受領に関する報告書」(支払等報告書)と呼んでいるものにあたります。

日本銀行の説明によれば、報告の枠組みは次のようになっています。

  • 報告義務者:居住者
  • 報告が不要になる基準:3,000万円相当額以下の支払等
  • 提出期限:銀行等を経由する場合、書面は支払等をした日から10日以内、オンラインは20日以内。銀行等を経由しない場合は、支払等をした日の属する月の翌月20日まで
  • 提出先:書面(銀行等経由)は為替取引を行った銀行等または資金移動業者へ。オンラインは日本銀行へ直接

海外への送金、海外からの入金、海外不動産の売買代金のやり取りなどで、金額が3,000万円相当額を超えたときに関係してきます。今回の改正は、この報告義務の範囲や金額の基準、提出期限を変えるものではありません。 変わるのは提出のしかたです。

何が変わるか——事前届出が2つに分かれます

改正されたのは施行規則の第4条(事前届出)と第5条第1項です。

改正前は、電子情報処理組織(オンライン)で申請等を行おうとする者は、次の事項をあらかじめ日本銀行に届け出ることになっていました。

  1. 氏名及び住所又は居所(法人その他の団体にあっては、その名称、主たる事務所の所在地及び代表者の氏名)
  2. 希望する識別符号の数
  3. その他参考となるべき事項

そのうえで、日本銀行が届出を受理したときに識別符号及び暗証符号を通知する、という流れです。

改正後は、利用するソフトウェアの区分に応じて2つに分かれます。

① 別表の四の項の中欄に掲げる法令の同表下欄に掲げる規定に基づく報告のみに利用されるソフトウェア(日本銀行が提供するものに限る)

届け出るのは、電子メールアドレス(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律第2条第3号に規定する電子メールアドレス)と暗証符号です。氏名・住所や識別符号の数は求められません。

② ①以外のソフトウェア

これまでどおり、氏名及び住所又は居所(法人は名称・主たる事務所の所在地・代表者の氏名)、希望する識別符号の数、その他参考となるべき事項を届け出ます。

そして、日本銀行が識別符号及び暗証符号を通知するのは、②の届出(第4条第1項第2号)を受理したときに限られることが明記されました。つまり、①の方式なら識別符号(ID)の発行を受けずに報告できることになります。

第5条第1項も、これに合わせて改められました。申請等の際に入力するのは、「前条第1項第1号の規定により届け出た電子メールアドレス及び暗証符号」または「同条第2項の規定により通知された識別符号及び暗証符号」です。

このほか、第4条第3項から「電子情報処理組織の使用を中止したとき」の届出義務が削られています。届け出た事項に変更があったときに遅滞なく届け出る義務は残ります。

注意点

  • 施行は令和9年(2027年)1月4日です。 それまでは現行の方式が続きます
  • 「様式3スマート報告」のサービス自体は、財務省の発表で「令和9年1月から……提供される予定」とされています。開始日やサービスの詳細は、この命令には書かれていません。日本銀行からの案内を待つ必要があります
  • 報告義務の範囲、3,000万円相当額という基準、提出期限は変わりません
  • 対象は「別紙様式第三による報告」に限られます。ほかの外為法の報告書がスマートフォンで出せるようになるという発表ではありません
  • すでに日本銀行外為法手続きオンラインシステムの識別符号を持っている場合、従来の方式はそのまま使えます
  • 改正命令には新旧対照表の形式で条文が示されており、上記はその内容です

公式リンク

根拠

  • 外国為替法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則の一部を改正する命令(令和8年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第5号・令和8年9月9日公布/官報号外第201号)
  • 外国為替法令に係る情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律施行規則(平成16年内閣府・総務省・財務省・文部科学省・厚生労働省・農林水産省・経済産業省・国土交通省・環境省令第2号)
  • 情報通信技術を活用した行政の推進等に関する法律(平成14年法律第151号)第6条第1項
  • 外国為替の取引等の報告に関する省令第3条第1項・別紙様式第三
  • 外為法の報告制度について(日本銀行)

家族に説明するなら

海外にお金を送ったり、海外からお金を受け取ったりしたとき、金額が3,000万円を超えると、日本銀行に「こういう支払いをしました」という報告書を出す義務があるんだ。家を売った代金を海外で受け取ったとか、海外の不動産を買ったとか、相続で海外の資産を動かしたとか、そういうときに関係してくる。この報告、いまはオンラインで出そうとすると日本銀行にIDを発行してもらう手続きが先に必要で、そこが面倒だった。2027年1月から、この報告書に限ってスマホで作って出せる「様式3スマート報告」という仕組みが始まる予定で、その場合はIDの発行を受けなくても、メールアドレスとパスワードを届け出るだけで使えるようになる。そのためのルールを決める命令が2026年9月9日に出て、2027年1月4日から効力を持つよ。報告が要るかどうかの金額の線(3,000万円)や、いつまでに出すかは変わらない。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。