**「高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律」(令和8年法律第63号)**が、令和8年(2026年)7月23日に公布されました。
近年における高等学校の定時制教育および通信教育をめぐる状況に鑑み、その振興ならびに適正な実施および運営の確保を図るための改正です。文部科学委員長提出の委員会発議(衆法第23号)による議員立法です。
1. 法律の題名が変わる
法律の題名が、次のように改められます。
| 現行 | 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法 |
| 改正後 | 高等学校の定時制教育及び通信教育の振興等に関する法律 |
「振興」だけでなく「等」=適正な実施および運営の確保が加わることが、題名にも表れています。
2. 目的規定への明記
目的規定に、次の事項が明記されます。
- 多様な生徒の特性に配慮しつつ行う高等学校の定時制教育および通信教育の重要性
- 振興ならびに適正な実施および運営の確保
- 定時制教育および通信教育を受ける生徒が社会において自立的に生きるために必要な素養を培い、その個性に応じて将来の進路を決定し、もって豊かな人生を送ることに資すること
3. 責務規定の組み替えと、学校設置者の責務の新設
これまで**「国及び地方公共団体の任務」とされていた規定が、「国の責務」および「地方公共団体の責務」**として改められます。
そのうえで、定時制の課程または通信制の課程を置く高等学校の設置者の責務規定が新設されます。設置者は、次の責務を有することとされます。
- 施設および設備ならびに管理運営体制の整備および充実
- 情報通信技術の活用等による教育の内容および方法の改善
- 教員の研修の計画の策定および実施
- 通信教育連携協力施設における適正な教育の確保 等
ここでいう通信教育連携協力施設とは、通信制の課程を置く高等学校の行う通信教育について当該高等学校と連携協力を行うものとして文部科学省令で定める施設をいいます。
4. 文部科学大臣が定める基本的な指針
文部科学大臣は、通信教育の適正な実施および運営の確保のための基本的な指針を定めるものとされます。指針には、次の事項等が定められます。
- 通信制の課程を置く高等学校の適正な管理運営に関する事項
- 通信教育の適正な実施および運営の確保に必要な監督および援助の適切な実施に関する事項
- 広域通信制課程における通信教育の適正な実施および運営の確保のための関係地方公共団体相互間の連携協力に関する事項
5. 関係法律の権限の適切な行使と調査研究
- 国および地方公共団体は、定時制教育および通信教育の適正な実施および運営が確保されるよう、学校教育法、私立学校法その他関係法律の規定による権限を適切に行使するものとされます。
- 国は、定時制教育および通信教育の内容および方法に関する研究その他の調査研究の推進ならびにその成果の普及および活用のために必要な施策を講ずるものとされます。
いつから
施行期日は、一部を除き、公布の日から起算して6月を経過した日とされています。公布日が令和8年7月23日であるため、施行日は令和9年(2027年)1月23日です。
誰に関係するか
生徒・保護者が行う手続きはありません。定時制・通信制の課程を置く高校の設置者の責務が新たに法律に書き込まれ、国が通信教育の基本指針を定めることになる改正です。
進学先として通信制高校を検討している場合、今後は文部科学大臣が定める基本指針に沿った管理運営が学校に求められること、サポート校などの通信教育連携協力施設についても学校設置者が適正な教育の確保に責任を負うことが、確認のポイントになります。
学費の面では、給付型奨学金・授業料減免の所得判定や奨学金(JASSO)の制度もあわせて確認できます。
出典
- 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律(令和8年法律第63号・令和8年7月23日公布)
- 高等学校の定時制教育及び通信教育振興法の一部を改正する法律案 議案審議情報・議案要旨(参議院)
- 令和8年に公布された法律(内閣法制局)