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生活保護とは? 最低生活費の決まり方・8つの扶助・申請先をやさしく解説(令和8年4月基準)

生活保護は、収入が国の定める「最低生活費」に満たない世帯に、その差額を支給する制度です。最低生活費は生活扶助・住宅扶助・教育扶助など8つの扶助の合計で決まり、住んでいる地域(級地)と世帯の年齢・人数によって変わります。申請先はお住まいの地域を所管する福祉事務所で、申請から原則14日以内に受けられるかどうかが判断されます。この記事では令和8年(2026年)4月時点の基準で、しくみと金額の決まり方を解説します。

生活保護は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するとともに、自立を助長することを目的とした制度です。

厚生労働省は「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずに自治体までご相談ください」と案内しています。

この記事の金額は、令和8年(2026年)4月の基準によるものです。

いくらもらえるのか:最低生活費と収入の差額

生活保護でもらえるのは「決まった一律の金額」ではありません。

保護費 = 最低生活費 - 世帯の収入

厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費と、世帯の収入(年金・児童扶養手当・就労収入など)を比べて、収入が最低生活費に満たない場合に、その差額が支給されます。収入が最低生活費を上回っていれば、保護の対象になりません。

最低生活費の計算式

最低生活費は、次の6つを合計して計算します。

記号内容
A生活扶助基準(第1類+第2類)+特例加算+生活扶助本体における経過的加算
B加算額(障害者加算・母子加算・児童を養育する場合の加算など)
C住宅扶助基準
D教育扶助基準、高等学校等就学費
E介護扶助基準
F医療扶助基準

A:生活扶助(日常生活の費用)

生活扶助は、第1類(食費など個人ごとの費用・年齢別)と第2類(光熱水費など世帯共通の費用・世帯人員別)に分かれます。

計算の順序は次のとおりです。

  1. 世帯員それぞれの第1類基準額(年齢別・級地別)を合計する
  2. 合計に、世帯人員に応じた逓減率を掛ける
  3. 第2類基準額(世帯人員別)を加える
  4. 特例加算(1人当たり月額1,500円)と経過的加算を加える

第1類基準額(月額・円)

年齢1級地-11級地-22級地-12級地-23級地-13級地-2
0〜244,58043,24041,46039,68039,23037,000
3〜544,58043,24041,46039,68039,23037,000
6〜1146,46045,06043,20041,35040,88038,560
12〜1749,27047,79045,82043,85043,36040,900
18〜1946,93045,52043,64041,76041,29038,950
20〜4046,93045,52043,64041,76041,29038,950
41〜5946,93045,52043,64041,76041,29038,950
60〜6446,93045,52043,64041,76041,29038,950
65〜6946,46045,06043,20041,35040,88038,560
70〜7446,46045,06043,20041,35040,88038,560
75〜39,89038,69037,10035,50035,10033,110

逓減率(世帯人員別)

1人2人3人4人5人6人
1.00000.87000.75000.66000.59000.5800

第2類基準額(月額・円/級地による差はありません)

1人2人3人4人5人
27,79038,06044,73048,90049,180

なお、10月から4月までのうち、地域に応じて5か月から7か月間、冬季加算が別途計上されます(札幌市の例:4人世帯の場合は月額22,270円)。

入院患者・施設入所者は金額が異なる場合があります。

B:加算額

該当する人がいるときだけ加えられます。

障害者加算(月額・円)

対象1級地2級地3級地
身体障害者障害程度等級表1・2級に該当する者等27,46025,54023,620
身体障害者障害程度等級表3級に該当する者等18,30017,02015,750

母子世帯等の加算(月額・円)

対象1級地2級地3級地
児童1人の場合18,80017,40016,100
児童2人の場合23,60021,80020,200
3人以上の児童1人につき加える額2,9002,7002,500

児童を養育する場合:児童1人につき月額10,190円

ここでいう児童とは、18歳になる日以後の最初の3月31日までの者をいいます。障害者加算と母子加算は原則として併給できません。このほか、妊産婦がいる場合は妊産婦加算などがあります。また、一定の要件を満たす「母子世帯等」および「児童を養育する場合」には、別途経過的加算があります。

C:住宅扶助

実際に支払っている家賃・地代が、基準額の範囲内で実費相当として支給されます。

東京都の単身の場合の例は、1級地53,700円、2級地45,000円、3級地40,900円です。上限額は都道府県・級地・世帯人員によって異なるため、お住まいの地域の額は福祉事務所で確認してください。

D:教育扶助・高等学校等就学費

小学生中学生高校生
3,400円5,300円7,300円

このほか、必要に応じて教材費・クラブ活動費・入学金(高校生の場合)などの実費が計上されます。

E・F:介護扶助・医療扶助

  • 介護扶助:居宅介護等にかかった介護費の平均月額。費用は直接介護事業者へ支払われ、本人負担はありません
  • 医療扶助:診療等にかかった医療費の平均月額。費用は直接医療機関へ支払われ、本人負担はありません

このほか、出産・葬祭などがある場合は、それらの経費の一定額がさらに加えられます(出産扶助・葬祭扶助)。

8つの扶助の一覧

生活を営む上で生じる費用扶助の種類支給内容
日常生活に必要な費用(食費・被服費・光熱水費等)生活扶助基準額を算出して支給。特定の世帯には加算あり
アパート等の家賃等住宅扶助定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費等教育扶助定められた基準額(一部、定められた範囲内で実費)を支給
医療サービスの費用医療扶助直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護サービスの費用介護扶助直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用出産扶助定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用(高等学校等に就学するための費用を含む)生業扶助定められた範囲内で実費(高等学校等就学費の一部は定められた基準額)を支給
葬祭費用葬祭扶助定められた範囲内で実費を支給

級地とは

生活扶助・住宅扶助などの基準額は、住んでいる市町村ごとに定められた「級地」によって変わります。級地は1級地-1、1級地-2、2級地-1、2級地-2、3級地-1、3級地-2の6区分です。

自分の住む地域の級地は、厚生労働省の級地一覧(PDF)で確認できます。

受けるための要件

生活保護は世帯単位で行われ、世帯員全員が、その利用し得る資産・能力その他あらゆるものを最低限度の生活の維持のために活用することが前提です。また、扶養義務者の扶養は生活保護法による保護に優先します。

内容
資産の活用預貯金、生活に利用されていない土地・家屋等があれば売却等し生活費に充てる
能力の活用働くことが可能な方は、その能力に応じて働く
あらゆるものの活用年金や手当など他の制度で給付を受けることができる場合は、まずそれらを活用する
扶養義務者の扶養親族等から援助を受けることができる場合は、援助を受ける

厚生労働省の資料では、対象となる状態として次のように説明されています。

  • 不動産、自動車、預貯金等のうち、ただちに活用できる資産がない(※不動産、自動車は例外的に保有が認められる場合があります
  • 就労できない、または就労していても必要な生活費を得られない
  • 年金、手当等の社会保障給付の活用をしても必要な生活費を得られない

扶養照会について

保護の申請が行われた場合、夫婦、中学3年生以下の子の親は重点的な調査の対象として、福祉事務所のケースワーカーが原則として実際に会って(対象者が管外に居住する場合は書面で)扶養できないか照会します。その他の扶養義務者については書面での照会を行います。

ただし、「扶養義務の履行が期待できない者」と判断された場合には、扶養照会を行わない場合があります

手続きの流れ

1. 事前の相談

お住まいの地域を所管する福祉事務所の生活保護担当に相談します。福祉事務所は、市(区)部では市(区)が、町村部では都道府県が設置しています。相談では生活保護制度の説明のほか、生活福祉資金や各種社会保障施策の活用についても検討します。

2. 保護の申請

申請にあたっては、原則として、氏名や住所または居所、保護を受けようとする理由、資産および収入の状況などを記載した申請書を福祉事務所に提出します。ただし、それができない特別な事情があれば、申請書がなくても申請できます

申請後、次のような調査が行われます。

  • 生活状況等を把握するための実地調査(家庭訪問等)
  • 預貯金、保険、不動産等の資産調査
  • 扶養義務者による扶養(仕送り等の援助)の可否の調査
  • 年金等の社会保障給付、就労収入等の調査
  • 就労の可能性の調査

申請から原則14日以内に、生活保護を受けられるかどうかが判断されます。

3. 保護費の支給

最低生活費から収入を引いた額が、保護費として毎月支給されます。

受給中は次のことが求められます。

  • 収入の状況を毎月申告する
  • 世帯の実態に応じて、ケースワーカーが年数回の訪問調査を行う
  • ケースワーカーによる生活に関する指導に従う
  • 就労の可能性のある方については、就労に向けた助言や指導を受ける

家計相談の支援、子どもの学習・生活支援、就労支援などの支援を受けることもできます(一部の自治体を除く)。

基準はどう決まるか

生活保護の基準は、生活保護法第8条第1項に基づき厚生労働大臣が告示で定めます。令和8年度分については、「生活保護法による保護の基準の一部を改正する件」が令和8年(2026年)3月31日に公布され、令和8年4月からの基準となっています。また、「平成二十五年八月から令和八年三月までの間の生活保護法による保護の基準の特例」(令和8年厚生労働省告示第43号)が令和8年(2026年)2月20日に公布され、3月1日から適用されています。

これらの告示は、行政手続法第39条第4項第3号(予算の定めるところにより金銭の給付決定を行うために必要となる金額等を定める命令等)に該当するため、意見公募手続(パブリックコメント)は実施されていません。

後者の特例告示は、平成25年の生活扶助基準の引下げをめぐる令和7年6月27日の最高裁判決を踏まえて、当時保護を受給していた世帯に保護費を追加で支給するためのものです。現在生活保護を受給していない世帯の申出受付は令和8年8月1日から令和9年7月31日までです。詳しくは生活保護費の「追加給付」 申出受付が令和8年8月1日に開始をご覧ください。

あわせて確認したい制度

生活保護に至る前、あるいは並行して確認できる制度があります。

出典

家族に説明するなら

生活保護は、収入が国の決めた『最低限これだけは必要』という金額(最低生活費)に届かないときに、足りない分を出してくれる制度だよ。全額もらえるのではなく、あくまで『最低生活費 - 収入』の差額。最低生活費は、毎日の食費や光熱費(生活扶助)、家賃(住宅扶助)、義務教育の学用品費(教育扶助)、医療費(医療扶助)などを足して計算する。年齢と家族の人数、それに住んでいる地域によって金額が変わるよ。地域は『級地』といって6段階に分かれていて、都会ほど高めになる。医療費と介護費は自己負担なしで、直接お医者さんや事業者に支払われる。相談と申請の窓口は、住んでいる地域の福祉事務所。申請は国民の権利だと厚生労働省もはっきり書いていて、申し込んでから原則14日以内に受けられるかどうかの返事がくる。持ち家や車があると必ずダメというわけではなく、例外的に持ったままでよい場合もあるから、迷ったらまず相談してみるのがいいよ。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。