行政・手続き 重要度: 中

「デジタル社会の実現に向けた重点計画」を閣議決定 マイナカードのスマホ搭載・給付インフラ・防災DXなど 令和8年(2026年)7月21日

政府の情報化施策の基本方針となる「デジタル社会の実現に向けた重点計画」が、令和8年(2026年)7月21日に閣議決定されました。国と自治体のシステム基盤、国民の暮らし、経済成長の4つの柱に、サイバーセキュリティ・デジタル人材など横断的な取組を加えた構成です。暮らしに関わるものとして、マイナンバーカードのスマホ搭載やモバイル運転免許証の検討、平時・非常時の給付を支えるインフラ構築(新たな給付施策は公金受取口座の保有を前提とする制度設計)、電子カルテの本格導入、防災DX、なりすまし広告詐欺・偽情報対策などが挙げられています。計画であり、個々の制度変更は今後の法令・予算で具体化されます。

政府が情報化に関する施策を進めるときの基本方針となる**「デジタル社会の実現に向けた重点計画」**が、令和8年(2026年)7月21日に閣議決定されました。デジタル社会形成基本法に基づく計画で、毎年度改定されています。

今回の計画は、**AIの利活用を一体的に推進する取組を「AX」と呼び、DXとあわせた「AX/DX」を前面に据えた構成になっています。目指す社会の姿としては「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会」が掲げられ、「誰一人取り残されない、人に優しいデジタル化」**につなげるとされています。

これは計画であり、これ自体で手続きやルールが変わるわけではありません。個々の制度は、今後の法令改正や予算で具体化されます。

全体の構成

取組は次の4本柱に整理されています。

  1. 国のAX/DX基盤の高度化・強靱化
  2. 自治体のAX/DX基盤の高度化・強靱化
  3. 国民の暮らしのAX/DX推進(安全で便利な地域の暮らし)
  4. AX/DXの徹底的推進による経済成長の加速

これらを支える横断的取組として、サイバーセキュリティの向上/デジタル人材の確保・育成/デジタル・AIへの受容性/デジタル行政推進体制整備の4つが挙げられています。

計画は、第1章「目指す社会の姿、取組の方向性と重点的な取組」、第2章「重点政策一覧」、第3章「公的基礎情報データベース整備改善計画」という構成です。

暮らしに関わる主な項目

マイナンバーカード関係

マイナンバーカードの普及・利用拡大とマイナポータルの利便性向上が挙げられ、スマートフォンへの搭載、次期マイナンバーカード、モバイル運転免許証の検討などが記載されています。マイナンバーカードは人口の約8割が保有し、マイナポータルは2026年3月時点で約8,500万人が利用登録しているとされています。

マイナンバーカードでできることはマイナンバーカードでできること、マイナポータルの使い方はマイナポータルとは?でも解説しています。

給付を支えるインフラと公金受取口座

「公正」「公平」「迅速」な給付が可能なインフラ構築として、平時・非常時の国による直接の給付も可能とするインフラ構築に令和8年度から着手するとされ、情報提供ネットワークシステム、給付支援サービス、公金受取口座システムなどが挙げられています。

あわせて、新たな給付施策については公金受取口座の保有を前提とする制度設計を行う方針が示されています。公金受取口座については年金口座が「公金受取口座」に自動登録される特例制度とは?で解説しています。

医療・子育て・防災

  • 医療DX:電子カルテの本格導入、クラウドネイティブ型システムの普及
  • こども・子育て・教育DX:安全・主体的にAIを活用できる学習環境の構築など
  • 防災DX:新総合防災情報システム(SOBO-WEB)とLアラートの連携など

詐欺・偽情報への対策

「デジタル・AIへの受容性」の項目に、なりすまし広告詐欺対策の強化インターネット上の偽・誤情報対策サイバー犯罪の防止、デジタル推進委員の活動促進、郵便局を活用した地域の持続可能性確保などが挙げられています。

身近な対策は詐欺メール(フィッシング)の見分け方給付金・支援金・還付金をかたる詐欺に注意もあわせてご覧ください。

行政・自治体の基盤に関する項目

国の基盤では、ガバメントクラウドやガバメントソリューションサービスの高度化、政府内のAI・AIエージェント利活用に係るガバナンス強化、ベース・レジストリ(法人・不動産・アドレス)の整備・利活用促進などが挙げられています。

自治体については、基幹業務システムの標準化・ガバメントクラウド移行の推進と、これまでの取組の課題検証、自治体向けソフトウェア(公共SaaS)の効率的な開発を可能とするベンダー向け共通開発基盤の検討、手続のワンストップ化などが示されています。2026年3月末時点で大半の対象システムが標準化移行を完了したとされています。

推進体制としては、デジタル行財政改革会議を「AI・デジタル改革推進会議」に改組し、省庁横断で法制度やガイドライン等を見直す方針が示されました。

なお、国の行政機関等が持つデータを民間が活用するしくみについては、国が持つデータを民間が使える「認定制度」を創設(令和8年法律第57号、7月17日公布)もあわせてご確認ください。

あわせて決定された「公的基礎情報データベース整備改善計画」

計画の第3章として、**第1次公的基礎情報データベース整備改善計画(改訂版)**も決定されました。ベース・レジストリ(社会の基盤となる公的なデータベース)の整備方針を具体化するもので、主な内容は次のとおりです。

  • 法人ベース・レジストリ:実質的支配者情報など、登記情報以外に今後整備すべき情報を検討
  • 不動産ベース・レジストリ令和9年度末に地図情報、令和10年度中頃に登記情報の提供を目指して整備。土地所有等情報に行政機関等や国民が適切にアクセスできる仕組みは令和11年度以降の提供を目指して検討
  • 住所・所在地関係データベース(アドレス・ベース・レジストリ):町字より下位の情報について、住居表示業務のシステム共通化に係る業務検証を実施

誰に関係するか

一般の人にとって、この計画によって直ちに変わる手続きはありません。ただし、今後の給付制度が公金受取口座の保有を前提に設計される方針が示されているため、口座の登録状況を確認しておくとよいでしょう。マイナンバーカードのスマホ搭載や医療DXなど、今後数年で身近になる項目も含まれています。

自治体の担当者にとっては、標準化・ガバメントクラウド移行の運用最適化や、共通開発基盤・公共SaaSに関する記載が実務に関わります。

事業者にとっては、公共SaaSの開発基盤、ベース・レジストリの利活用、政府調達ガイドラインの改定などが関係します。

出典

家族に説明するなら

国が『これからデジタルをどう進めるか』を毎年まとめている計画があって、その2026年版が7月21日に閣議決定されたよ。今回の特徴は、AIを行政のいろいろな場面で使っていく方針を前面に出していること。私たちの暮らしに近い話だと、(1) マイナンバーカードをスマホに入れて使えるようにする、次のマイナンバーカードやスマホの運転免許証も検討する、(2) 給付金を国が直接配れるしくみを整える(これからの新しい給付は『公金受取口座を持っていること』を前提に制度をつくる方針)、(3) 病院の電子カルテを本格的に広げる、(4) 防災の情報システムをつなぐ、(5) 有名人になりすました広告詐欺やネットの偽情報への対策、といったことが書かれているんだ。ただしこれは『計画』で、すぐ何かの手続きが変わるわけじゃないよ。実際のルールは、これから法律や予算で決まっていくんだ。

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