「なりすまし型偽投資広告」と「送金犯罪の依頼・誘引」が違法情報に インターネット・ホットラインセンターの運用ガイドライン改定 令和8年(2026年)8月7日

令和8年(2026年)8月7日、警察庁はインターネット・ホットラインセンター(IHC)の運用指針である「ホットライン運用ガイドライン」を改定しました。

新たに違法情報として追加されたのは、次の2つです。

  • なりすまし型偽投資広告を掲載する行為
  • 送金犯罪の依頼又は誘引行為

インターネット・ホットラインセンターとは

インターネット上の違法情報について、一般の利用者からの通報を受け付け、警察への情報提供や、プラットフォーム事業者・プロバイダへの削除依頼を行う窓口です。警察庁からの委託事業として運営されています。

「ホットライン運用ガイドライン」は、どのような情報を違法情報として取り扱い、削除依頼の対象とするかを定めた運用指針です。ここに類型が追加されると、その情報が削除依頼の対象になります。

追加された違法情報

なりすまし型偽投資広告を掲載する行為

SNS型投資詐欺の入口になっている、他人の名義をかたった投資広告です。

警察庁は意見募集の回答の中で、この類型について著名人を名義人とした投資広告の掲載のみが対象となり得るものではなく、著名人を含む自然人のほか、法人や法人格のない団体を名義人とした投資広告の掲載であっても対象となり得るとしています。つまり、有名人の顔写真を使ったものだけでなく、企業名をかたった偽広告も対象になり得ます。

送金犯罪の依頼又は誘引行為

いわゆる「送金バイト」「闇バイト」のうち、送金を依頼したり誘い込んだりする行為です。

意見募集の経過

項目内容
意見募集の期間令和8年7月3日〜7月16日
提出意見数24件(すべてパブリックコメント意見提出フォーム経由)
意見を踏まえた案の修正無(原案のとおり改定)
改定案の公示の日令和8年8月7日
結果の公示日令和8年8月7日

意見は、ホットライン運用ガイドライン検討協議会で協議されました。

検討の過程で指摘された課題

意見募集では、改定の方向性に賛同する意見が多く寄せられた一方で、次のような指摘がありました(いずれも提出意見と、それに対する警察庁の考え方から)。

表現の自由が萎縮するおそれ 「違法情報」の範囲を広げる運用は、表現の自由や公益的な告発まで萎縮させるおそれがあるとして、詐欺的広告や違法な送金勧誘と、金融機関や行政への正当な批判・問題提起とを実務上で明確に区別する基準を、ガイドライン本文に具体的に書き込むべきという意見が出されました。また、詐欺広告を批判・検証・注意喚起するためにスクリーンショットを載せた投稿や、報道・研究・教育目的の投稿まで削除対象になると、かえって被害防止に逆行するという指摘もありました。

警察庁は、新たに追加する違法情報に限らず、正当な投稿(注意喚起、報道、批判、研究、教育目的)および通常の仕事や正当な業務までも削除依頼することがないよう適切に運用すると回答しています。

意見募集の期間が短い 7月3日から7月16日までという期間について、過去の同様の改定でも短期間でのパブリックコメントが繰り返されており、少なくとも30日程度の意見募集期間を原則とすべきという意見が出されました。警察庁は、今後の運用の参考とさせていただくと回答しています。

対応が遅かったのではないか インターネット広告業界の関係者からは、日本で著名人なりすまし投資詐欺が社会問題化し始めたのは2023年秋頃であり、これまでの2年半、なぜIHCでは対応していなかったのかという指摘がありました。

著名人以外のなりすましも対象にすべき 有名企業のなりすまし広告、アニメ・漫画のキャラクターのなりすまし広告、地方のネットショップのなりすましアカウントによる広告なども盛り込むべきという意見が出されました。これに対する警察庁の回答が、前述の「法人や法人格のない団体を名義人とした投資広告の掲載であっても対象となり得る」というものです。

誤削除時の救済 誤って削除された場合に訂正や異議申立てができる仕組みを整えるべきという意見に対し、警察庁は、インターネット・ホットラインセンターはあくまでもプラットフォーマー等に対して削除依頼を行う機関であり、削除をするかしないかの判断は事業者側が行うという趣旨の回答をしています。

対応状況の公表 削除依頼件数や内容の統計、判断基準、通報から削除依頼までの流れについて定期的な情報公開を求める意見に対し、警察庁は、通報受理件数・分析件数・削除依頼件数等の対応状況について年2回公表を行っていると回答しています。

通報するときのポイント

意見募集では、広告事業者から次のような指摘がありました。インターネット広告には多様な配信形態があり、その技術的・機能的特性によっては、掲載媒体のウェブサイトURL、遷移先URL、広告のスクリーンショットだけでは対象の広告を特定できない場合があります。広告を管理・配信する事業者やそのシステムに応じた広告IDなど、広告を一意に特定するための情報が必要になることがあります。

通報する際は、可能な範囲でこれらの情報も添えると、実効的な削除依頼につながりやすくなります。

同じ時期に行われた対策

このガイドライン改定は、なりすまし詐欺広告への一連の対策の一つです。

日付内容
令和8年8月6日総務省の情プラ法26条ガイドラインを改定し、なりすまし投資広告・送金バイトを違法情報の例に追加(→記事)
令和8年8月7日ホットライン運用ガイドラインの改定(この記事)
令和8年8月7日7府省庁がGoogle・LINEヤフー・Meta・TikTok・Xに対策強化を合同要請(→記事)

出典

家族に説明するなら

SNSでよく見る「有名人が勧めている投資」の偽広告と、「お金を送るだけの簡単なバイト」みたいな誘いが、正式に違法情報として扱われることになったよ。見つけたらインターネット・ホットラインセンターに通報すると、消してもらうよう働きかけてくれるんだ。有名人だけじゃなくて、会社や団体の名前をかたった偽の投資広告も対象だよ。

本記事は公式情報をもとにした要約です。最新かつ正確な情報、申請条件、期限は必ず公式ページでご確認ください。