旧優生保護法(昭和23年〜平成8年)のもとで、優生手術(生殖を不能にする手術)や放射線の照射、人工妊娠中絶などを受けた人がいます。国は、これを憲法に違反する立法行為だったと認め、対象となる方に補償金・一時金を支給する制度を設けました。根拠となる法律(旧優生保護法補償金等支給法)は2025年(令和7年)1月17日に施行され、請求の受付が始まっています。
制度ができた経緯
- 令和6年(2024年)7月3日:最高裁判所大法廷が、旧優生保護法の規定は憲法13条・14条1項に違反し、国会議員の立法行為は国家賠償法上違法だとして、国の損害賠償責任を認めました。
- 同年9月:係属中の訴訟の和解のための合意書と、問題の全面解決を目指す基本合意書が、国と原告団・弁護団などの間で結ばれました。
- 同年10月8日:補償金等の支給を定める法律が議員立法で成立し、10月17日に公布されました。
- 令和7年(2025年)1月17日:法律が施行され、請求の受付が始まりました。
法律の前文では、国会と政府がその責任を認め、「心から深く謝罪する」としています。平成31年にできた一時金の法律(320万円)は国の損害賠償責任を前提としないものだったため、今回の法律で補償金が設けられました。
だれが対象?
次のいずれかにあたる方が対象です。
- 旧優生保護法に基づき、優生手術や放射線の照射を受けた本人
- 旧優生保護法に基づき、人工妊娠中絶などを受けた本人
- 優生手術などを受けた本人の配偶者(特定配偶者)
「特定配偶者」とは、本人が手術を受けた日からこの法律の公布日(令和6年10月17日)の前日までの間に、本人と婚姻していた方などをいいます(事実上の婚姻関係にあった方を含みます)。
本人や配偶者がすでに亡くなっている場合は、ご遺族(配偶者・子・父母・孫・祖父母・きょうだいなど)が請求できる場合があります。
いくら支給される?
給付には次の種類があります。
- 補償金:優生手術などを受けた本人に1,500万円、その特定配偶者に500万円
- 優生手術等一時金:優生手術などを受けた本人で存命の方に320万円
- 人工妊娠中絶等一時金:人工妊娠中絶などを受けた本人で存命の方に200万円
どの給付の対象になるか、また複数の給付の関係(重ねて受け取れるか)については個別の事情によります。迷うときは、下記の相談窓口で確認してください。
対象と金額の早見表
| 請求する人 | 給付 | 金額 |
|---|---|---|
| 優生手術などを受けた本人 | 補償金 | 1,500万円 |
| 同上(存命の方) | 優生手術等一時金 | 320万円 |
| 本人の特定配偶者 | 補償金 | 500万円 |
| 人工妊娠中絶などを受けた本人(存命の方) | 人工妊娠中絶等一時金 | 200万円 |
| 本人・特定配偶者が亡くなっている場合 | 遺族が補償金を請求できる場合あり | ― |
請求の期限
請求の期限は令和12年(2030年)1月16日です。期限を過ぎると請求できなくなるため、心当たりのある方は早めに相談することをおすすめします。
請求の流れ
- 都道府県の窓口に相談・請求:請求書を窓口に出します。郵送でも出せます。
- 書類をそろえる:住民票の写しなどの本人確認書類、口座の情報、事実を証明する資料などです。補償金・優生手術等一時金を初めて請求する場合は、手術の痕の有無についての医師の診断書も出します(作成費用の領収書も添えます)。
- 審査:こども家庭庁の「旧優生保護法補償金等認定審査会」が、提出書類にもとづいて審査します。
- 支給:認定されると、指定した口座に、独立行政法人福祉医療機構から振り込まれます。
手術の記録が残っていなくても、相談できます。 医師の診断書は認定の重要な資料とされていますが、診察を受けることの心理的な負担が極めて大きい場合は、提出を省略できることがあります。まず都道府県の窓口に相談してください。
すでに一時金(320万円)を受け取った人が補償金を請求する場合は、一時金を受け取ったことを証明する書類などで請求します。
請求・認定の状況
こども家庭庁によると、令和7年1月17日から令和8年8月末までの累計は次のとおりです。
| 件数 | |
|---|---|
| 請求受付件数 | 2,804件 |
| うち補償金(本人) | 1,150件 |
| うち補償金(特定配偶者) | 318件 |
| うち補償金(本人・特定配偶者の遺族) | 756件 |
| うち優生手術等一時金 | 361件 |
| うち人工妊娠中絶等一時金 | 219件 |
| 相談件数 | 8,659件 |
| 認定件数 | 2,028件 |
どこに請求する? 相談・弁護士のサポート
請求は、お住まいの都道府県の窓口に請求書(所定の様式)を提出して行います。郵送による提出もできます。
具体的な補償金などの請求や相談については、まずお住まいの都道府県の窓口へお問い合わせください。希望すれば、請求の手続きを弁護士が無料でサポートします(利用を希望する場合は、お住まいの都道府県の窓口に申し出てください)。
制度全般についての問い合わせは、こども家庭庁の窓口でも受け付けています。
- 電話:03-3595-2575(受付時間 平日10:00〜17:00。土日祝・年末年始を除く)
対象や必要書類、ご自身のケースの詳しい手続きは、各都道府県の窓口や下記の公式サイトでご確認ください。