危険運転致死傷罪に数値基準を追加 飲酒・高速度・タイヤを滑らせる運転を明確化 令和8年7月21日施行

どの運転が「危険運転致死傷罪」にあたるのかを分かりやすくするため、飲酒(アルコール濃度)と高速度(制限速度の超過幅)について数値の基準を追加し、タイヤを殊更に滑らせる運転などを対象に加える「自動車運転死傷処罰法及び道路交通法の一部を改正する法律」(令和8年法律第52号)が令和8年(2026年)7月1日に公布され、7月21日に施行されます。

飲酒運転や著しい速度超過など、特に危険な運転で人を死傷させた場合に重い刑罰が科される**「危険運転致死傷罪」について、どのような運転が対象になるのかを明確にする法改正が行われました。「自動車の運転により人を死傷させる行為等の処罰に関する法律及び道路交通法の一部を改正する法律」**は、令和8年(2026年)6月25日に国会で成立し、7月1日に公布令和8年法律第52号)、7月21日に施行されます。所管は法務省(刑事法)と警察庁(道路交通法)です。

危険運転致死傷罪は、通常の過失による交通事故(過失運転致死傷罪)よりもはるかに重く処罰する規定です。しかし、これまでは「アルコールの影響により正常な運転が困難な状態」「進行を制御することが困難な高速度」といった言葉で定められており、どこからが対象になるのかの判断が難しいという指摘がありました。今回の改正は、こうした行為に具体的な数値の基準を加えるなどして、対象を明確にし、あわせて対象行為を追加するものです。

何が変わるのか

1. 危険運転致死傷罪(第2条)に数値基準などを追加

次の行為で人を負傷させた場合は15年以下の拘禁刑、人を死亡させた場合は1年以上の有期拘禁刑(有期拘禁刑の上限は20年)という重い刑罰の対象に、以下が明確化・追加されます。

  • 飲酒(アルコール) … 身体に血液1ミリリットルにつき1.0ミリグラム以上、または呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上のアルコールを保有する状態その他アルコールの影響により正常な運転が困難な状態で走行する行為
  • 高速度 … 次の速度以上(およびこれに準ずる、道路や交通の状況に応じて重大な交通の危険を回避することが著しく困難な高速度)で運転する行為
    • 制限速度が60km/h以下の道路:制限速度を50km/h超える速度
    • 制限速度が60km/h超の道路:制限速度を60km/h超える速度
  • タイヤを滑らせる運転殊更にタイヤを滑らせ、または浮かせて、進行を制御することが困難な状態にして走行する行為(いわゆるドリフト走行など)

2. アルコールの影響による運転(第3条)の整備

アルコールの影響により、走行中に正常な運転に支障が生じるおそれがある状態で自動車を運転し、その結果、正常な運転が困難な状態に陥って人を死傷させた場合について、人を負傷させたときは12年以下の拘禁刑、人を死亡させたときは15年以下の拘禁刑とする規定が整備されます。

3. 道路交通法の「酒酔い運転」の明確化

道路交通法でも、悪質な飲酒運転である**「酒酔い運転」(罰則は5年以下の拘禁刑または100万円以下の罰金**)の対象となる「酒に酔った状態」を、血液1ミリリットルにつき1.0ミリグラム以上、または呼気1リットルにつき0.5ミリグラム以上のアルコールを保有する状態その他アルコールの影響により正常な運転ができないおそれがある状態として明確にします。

通常の飲酒運転の取り締まりとの違い

今回追加された飲酒の数値基準(呼気1L中0.5mg以上など)は、特に悪質・危険な運転を重く罰するための基準です。通常の酒気帯び運転の取り締まり基準(呼気1リットルにつき0.15ミリグラム以上)は、これまでどおり変わりません

つまり、「呼気0.15mg以上=酒気帯び運転として取り締まりの対象」という点は従来どおりで、それよりも高い濃度や、正常な運転が困難・できないおそれのある状態での運転が、より重い「危険運転致死傷罪」や「酒酔い運転」の対象として明確化された、という関係です。飲酒運転はいずれにしても禁止されており、少量でも運転してはいけません。

いつから始まるのか

公布は令和8年(2026年)7月1日(官報号外第146号)で、この法律は公布の日から起算して20日を経過した日=令和8年(2026年)7月21日に施行されます。施行に関して必要な経過措置が定められます。

誰に関係するか

自動車を運転するすべての人に関係します。飲酒運転や大幅な速度超過、車を制御できないような危険な運転は、事故を起こせば危険運転致死傷罪という非常に重い罪に問われ得ることが、より明確になりました。

交通事故の被害者・遺族にとっては、加害者にどのような罪が問われるのかを判断するうえで関係します。具体的な適用は個別の事案ごとに捜査機関・裁判所が判断します。

出典

家族に説明するなら

車の運転でとても危険なことをして人にけがをさせたり死なせたりすると、「危険運転致死傷罪」というとても重い罪になるんだ。ただ、どこからが『危険運転』なのかが分かりにくかったので、今回の法律改正で、はっきりした目安が加わったよ。たとえば、お酒をたくさん飲んだ状態(血液や息の中のアルコールが一定以上)で運転すること、制限速度を大きく超えるスピード(60km/h以下の道路なら50km/h以上のオーバーなど)で運転すること、わざとタイヤを滑らせて車を制御できない状態にすること、が対象にはっきり加わった。ふつうの飲酒運転の取り締まり(息のアルコール0.15mg以上)はこれまで通りだけど、それよりずっと悪質な運転が重い罪になる、という話だよ。2026年7月21日から始まるんだ。

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