防災の司令塔となる新しい役所、防災庁を内閣に設置する法律が、令和8年(2026年)7月17日に公布されました。**「防災庁設置法」(令和8年法律第61号)と、「防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(同第62号)**の2本です。
防災に関する内閣の事務を内閣官房とともに助けるとともに、防災に関する行政事務の円滑かつ迅速な遂行を図ることを任務とする組織として位置づけられます。
防災庁は何をするのか
防災庁の所掌事務は、内閣の重要政策に関する事務(内閣補助事務)と、自ら実施する事務(分担管理事務)に分かれます。具体的には次のような事務です。
- 防災の施策に関する基本的な方針および計画、大規模な災害への対処に関する企画立案・総合調整、関係行政機関が講ずる施策の実施の推進
- 中央防災会議、災害対策本部等の防災に関する組織の設置および運営
- 国・地方公共団体・民間事業者等が防災計画等に基づき実施する事前防災の推進
- 被災者や被災自治体の支援
- 千島海溝地震、日本海溝地震、首都直下地震、南海トラフ地震等への対策
組織のかたち
- 長および主任の大臣は内閣総理大臣とされ、防災庁の事務を統括する防災大臣が置かれます(第6条〜第8条)。
- 内閣補助事務を遂行するため、防災大臣には関係行政機関の長に対する勧告権が与えられます。勧告を受けた関係行政機関の長には尊重義務が課されます。
- 副大臣・大臣政務官一人に加えて、庁務を整理し各部局等の事務を監督する事務次官一人が置かれます(第9条、第10条、第12条)。
- 中央防災会議は内閣府から防災庁に移管されます(第14条)。
- 研修および研究を行う文教研修施設(防災大学校(仮称))を置くことが可能になります(第15条)。
- 地方機関として防災局が置かれます(第16条)。
災害対策基本法などもあわせて改正
整備法(第62号)によって、関係する法律も改正されます。
災害対策基本法
- 災害対策の基本理念に、科学的なリスク評価に基づく事前防災と、被災者の良好な生活環境の確保が追加されます(第2条の2)。
- 災害からの復旧および復興を推進するための本部に関する規定が新設されます(第2章に新第4節)。
日本海溝・千島海溝地震法、南海トラフ地震法
- リスク評価の結果、人口動態の変化、技術の進展等に応じて、基本計画を見直す義務が新設されます。
- 地方防災会議等が策定する推進計画の実効性を一層確保するため、国からの必要な情報の提供、助言等の援助を行う規定が追加されます。
いつ発足するのか
防災庁の発足日は、令和8年(2026年)中において政令で定める日とされています。公布の時点では具体的な日付は決まっておらず、今後の政令で定められます。
ただし、地方機関である防災局に関する規定については、公布の日から2年を超えない範囲内において政令で定める日とされており、こちらは少し遅れて動き出します。
誰に関係するか
住民が行う手続きはありません。防災に関する国の窓口と司令塔が変わる、行政組織の再編です。
自治体の防災担当者にとっては、推進計画の実効性確保について国からの情報提供・助言等の援助の規定が加わる点、災害対策の基本理念に事前防災と被災者の生活環境確保が明記された点が実務に関わってきます。
出典
- 防災庁設置法(令和8年法律第61号・令和8年7月17日公布)/防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(令和8年法律第62号・同日公布)
- 防災庁設置法案及び防災庁設置法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案の概要(内閣官房・PDF)
- 防災庁設置法案(内閣法制局)
- 令和8年に公布された法律(内閣法制局)