下水道法・道路法の改正が公布 管路の老朽化診断を義務化・道路陥没を防ぐ 令和8年(2026年)7月23日

下水道管の老朽化による道路陥没を防ぐための法律、「下水道法等の一部を改正する法律」(令和8年法律第65号)が、令和8年(2026年)7月23日に公布されました。

背景にあるのは、令和7年(2025年)1月に埼玉県八潮市で発生した、老朽化した下水道管の破損に起因する大規模な道路陥没事故です。施設の老朽化と職員数の減少により下水道の事業環境が厳しさを増していること、下水道管路をはじめとする道路下の埋設物の適切な維持管理が必要であることが、改正の理由として挙げられています。

1. 安全性確保を最優先する下水道マネジメントの確立

確実な老朽化状況の把握(下水道法)

  • 老朽化に伴う管路の安全性、つまり状態と対策の要否を評価する「診断」の基準が法制化されます。あわせて、政令等で定める点検の頻度・方法の基準も見直しが行われます。
  • 下水道管理者は、診断結果等の維持管理の状況を公表することとされます。

下水道の戦略的な再構築(下水道法)

  • 下水道管理者は、施設の計画的な改築を実施し、収支見通しを公表することとされます。
  • 改築資金を含む下水道使用料の算定の考え方が明確化されます。

道路管理者との連携強化(下水道法・道路法)

  • 下水道の点検に関して道路管理者の協力が必要な事項を、下水道の事業計画に位置づけます。

2. 道路地下空間の安全性確保(道路法)

道路の地下には、下水道管のほかにも水道・ガス・電気・通信などさまざまな管路が埋設されています。これらを設置している事業者を道路占用者(道路管理者の許可を受けて施設等を設置し、道路空間を継続使用する者)と呼びます。

  • 占用許可申請書の記載事項に、占用物件の維持管理に関する事項が追加されます。
  • 道路の地下に埋設する占用物件について、工事完了時の届出(竣工図等の提出)が義務づけられます。
  • 道路占用者と道路管理者との間で「占用物件等維持修繕協定」を締結し、道路や占用物件の点検・修繕等を連携して行うことができる制度が創設されます。

3. 下水道マネジメントを支える基盤の強化

  • 法律の目的に「下水道の基盤の強化」が明示され、国の基本方針が創設されます。
  • 本来は市町村が管理する公共下水道を都道府県が管理できる特例が創設されます(都道府県が加入する一部事務組合等を含む)。
  • 管理者間の協議により、点検・修繕・改築を他の自治体が代行できる制度が創設されます。
  • 災害・事故時に、都道府県が公共下水道の復旧工事を代行する制度が創設されるとともに、災害時の関係者連携の責務が明確化されます。
  • 複数の下水道管理者の連携を推進するため、都道府県が広域連携推進計画を策定する制度が創設されます。
  • 下水道の構造について、点検・修繕・改築や災害・事故時の応急措置の容易性(複線化等)を考慮すべきことが原則化されます。
  • 人口減少を踏まえた下水道区域の見直し(集合処理から個別処理への転換)に必要な規定が整備されます。

いつから

法律全体の施行期日は、公布の日から6月以内において政令で定める日です。

このうち、法律の附則第1条第2号に掲げる規定である、都道府県による公共下水道の復旧工事の代行に関する規定は、令和8年(2026年)8月17日に施行されました。これは法律全体の施行日ではありません。法律のその他の規定の施行日は、引き続き政令で定められることになります。

復旧工事を代行するときの手続

下水道法施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第257号)が令和8年(2026年)8月7日に公布され、施行令に第9条の12が新設されました。

  • 都道府県は復旧工事を行う前に、工事の区域と開始日を公示します。工事の全部または一部を完了・廃止するときも公示します。
  • 工事の承認、土地への立入りや一時使用、処分・措置命令など、都道府県が公共下水道管理者に代わって行える権限の範囲が定められました。
  • 権限は原則として、公示された区域で、開始日から完了または廃止の日まで行使できます。損失補償に関する一部の権限は、その後も行使できます。
  • 一部の権限を行使した場合、都道府県は遅滞なく公共下水道管理者へ通知します。

政令第257号は、法律の附則第1条第2号に掲げる規定の施行日である令和8年(2026年)8月17日から施行されました。

なお、政令案の意見募集では9件の意見が寄せられ、案からの修正はありませんでした。国土交通省は、都道府県による復旧工事の代行は市町村の「機能不全」を要件とするものではなく、市町村からの要請に基づき、被災状況や都道府県・市町村の執行体制等を踏まえて都道府県が実施することが適当と判断した場合に行うものであると説明しています。具体的には、流域下水道とそれに接続する公共下水道を一体的に復旧する必要がある場合や、市町村による復旧体制の確保が困難で都道府県が実施する方が迅速・効率的な場合が想定されており、この考え方は施行通知に明記される予定とされています。

誰に関係するか

住民が行う手続きはありません。下水道と道路の維持管理のしくみを、国・都道府県・市町村・道路占用者の間で組み替える改正です。

住民にとって直接見える変化としては、下水道管理者が診断結果等の維持管理の状況を公表するようになる点があります。自分の住む自治体の下水道がどの程度点検・診断されているかを、公表資料で確認できるようになります。

出典

家族に説明するなら

2025年1月に埼玉県八潮市で、古くなった下水道管が壊れて道路が大きく陥没する事故が起きたよね。あの事故をきっかけに、下水道管の傷みと修理の必要性を判断する診断基準などが法律に加わったんだ。自治体は点検結果を住民に公表することになる。道路の地下に管を埋設している事業者には、工事が終わったときに図面を提出する義務もできるよ。法律全体の施行日は公布から6か月以内に政府が決めるけれど、災害や事故のときに都道府県が市町村などに代わって復旧工事をする規定は、2026年8月17日から始まったよ。

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