建築士法の一部を改正する法律が、令和8年(2026年)7月31日に公布されました(令和8年法律第74号)。第221回国会に衆議院国土交通委員長から提出された議員立法(衆第38号)で、衆議院は令和8年7月22日、参議院は7月24日に、いずれも全会一致で可決しました。
改正の柱は、建築士になるまでの道のりを短くすることと、設計・工事監理の契約ルールを整えることの2つです。
免許に必要な実務経験が短くなる
建築士の免許を受けるには、試験に合格したうえで、一定期間の実務経験が必要です。今回の改正で、この期間が次のように短縮されます。
| 対象 | 改正前 | 改正後 |
|---|---|---|
| 二級建築士が一級建築士の免許を受けるために必要な、二級建築士としての実務経験 | 4年 | 2年 |
| 二級建築士・木造建築士の免許を受けるために必要な実務経験 | 7年 | 4年 |
ただし、一級建築士の2年への短縮には要件があります。次のいずれかに当てはまることが必要です。
- 二級建築士になる前の実務経験を含めた実務経験を、通算8年以上有する者
- 高等学校等において建築科目を修めて卒業した者であって、二級建築士になる前の実務経験を含めた実務経験を、卒業後6年以上有する者
在学中でも試験を受けられるようになる
これまで、建築士試験は卒業後でなければ受けられませんでしたが、改正後は在学中の受験が認められます。
一級建築士試験は、大学等に在学する者のうち、次の両方を満たす人が受験できます。
- 一級建築士試験が行われる日の属する年度の末日までに当該大学等を卒業する見込みがあること
- 当該大学等において国土交通大臣の指定する建築科目の単位を修得していること
二級建築士試験・木造建築士試験も同様で、大学等または高等学校等に在学する者のうち、試験が行われる日の属する年度の末日までに卒業見込みがあり、指定建築科目の単位を修得している人が受験できます。
また、二級建築士試験・木造建築士試験の受験に必要とされる実務経験は、7年から2年に短縮されます。
建築設備士の定義が変わる
建築設備士の定義に、国土交通大臣が定める機関に登録されたものであることが追加されます。
設計・工事監理の契約ルールが整えられる
契約に関しては、次の3点が定められます。
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契約書の相互交付義務の対象拡大 建築士が行う設計または工事監理に係る設計受託契約または工事監理受託契約の全てについて、当事者による契約書の相互交付義務の対象とします。
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適正な委託代金での契約締結の努力義務 設計受託契約または工事監理受託契約を締結しようとする者は、見積書の内容その他の契約に係る事情を考慮して、その委託内容に応じた適正な委託代金で契約を締結するよう努めなければならないとされます。
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見積書の作成の努力義務 建築士事務所の開設者は、設計等の業務に係る契約を締結しようとするときは、報酬の算定の根拠を明らかにするための見積書を作成するよう努めなければならないとされます。
いつから始まるのか
- 公布日:令和8年(2026年)7月31日
- 施行日:一部の規定を除き、公布の日から3年以内の政令で定める日
施行日は今後の政令で決まります。受験資格や免許の要件に関わる改正のため、政令の公布を確認してください。
誰に関係するか
建築士を目指している人にとっては、資格取得までの期間が短くなります。特に、在学中に一級建築士試験を受けられるようになる点と、二級建築士から一級建築士へ進む際の実務経験が4年から2年に短くなる点は影響が大きい変更です。
建築士事務所の開設者は、設計受託契約・工事監理受託契約の全てで契約書の相互交付が義務になるため、契約書式の見直しが必要になります。あわせて、報酬の算定根拠を示す見積書の作成が努力義務になります。
設計や工事監理を発注する事業者も、契約書の相互交付と、適正な委託代金での契約締結の努力義務の対象になります。
出典
- 建築士法の一部を改正する法律(令和8年法律第74号・令和8年7月31日公布)
- 建築士法の一部を改正する法律案 議案情報・議案要旨(参議院)
- 議案要旨(参議院・PDF)
- 令和8年1月1日から現在までに公布された法律(内閣法制局)