令和8年(2026年)9月15日の官報(号外第205号)に、災害廃棄物の処理に関する政令2本と省令1本が公布されました。
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(令和8年政令第278号)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令(令和8年政令第279号)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(令和8年環境省令第25号)
いちばん大きいのは1本目です。改正廃棄物処理法(令和8年法律第43号、第221回国会で成立)のうち、附則第1条第2号に掲げる規定の施行期日が令和8年(2026年)9月16日と定められました。非常災害廃棄物に関する新しい仕組みが、公布の翌日から動き出します。
何のための改正か
大規模な災害が起きると、こわれた建物のがれきや家財が短期間に大量に出ます。この「災害廃棄物」の処理が滞ると、仮置場があふれ、生活の再建そのものが止まります。
今回の改正法は、そこで詰まりやすい4か所を、あらかじめほどいておくものです。
| 詰まるところ | 改正法の手当て | 根拠 |
|---|---|---|
| 発災後に処理の頼み先を探し始める | 都道府県・市町村が平時から協定を結んでおく(努力義務) | 新法第5条の6の2 |
| 仮置場に破砕機を置くのに設置許可の手続が要る | 届出で設置できる特例。一定の施設は生活環境影響調査の書類も省略できる | 新法第9条の3の3 |
| 受け入れてくれる最終処分場が見つからない | 非常災害廃棄物の処分のための最終処分場の設置者をあらかじめ指定しておく制度 | 新法第9条の3の4 |
| 処理を受託した業者がさらに別の業者に頼めない | 一定の基準に従う場合に限り再委託・再々委託ができる | 新法第6条の2第3項・第5項 |
今回の政令・省令は、この4つを実際に動かすための細目を定めるものです。
協定に何を書くか
都道府県・市町村が結ぶ協定は、相手によって2種類あります。省令はそれぞれの記載事項を定めました。
廃棄物処理業者等と結ぶ協定(施行規則第1条の2の3第1項・第1条の21第1項)
- 協定に参加する者の氏名又は名称
- 非常災害廃棄物適正処理業者による非常災害廃棄物の処理の内容
- 都道府県知事又は市町村長が非常災害廃棄物適正処理業者に対し非常災害廃棄物の処理を求める場合の手続 等
他の自治体と結ぶ協定(施行規則第1条の2の3第2項・第1条の21第2項)
- 協定に参加する者の氏名又は名称
- 都道府県知事が域内の市町村や隣接する都道府県に(市町村長の場合は、その市町村を含む都道府県や域内の他の市町村に)非常災害廃棄物の処理に関する協力を求める場合の手続 等
すでに災害廃棄物処理協定を結んでいる自治体は多く、意見募集でも「既存の協定をどうすればよいか」という質問が複数出ました。環境省の回答は次のとおりです。
既協定が省令で定める記載事項を実質的に包含している場合には、法に定める協定締結の努力義務を満たしているものと解して差し支えなく、法に基づく協定として位置付けるために、改めて協定を締結し、又は変更する等の手続を行う必要はありません。また、既協定に当該事項が記載されていない場合は、協定の実効性を高めるため、速やかな協定の改定が望ましいと考えています。
環境省は、協定のひな型は施行通知で参考として示すとしています。「非常災害廃棄物の処理の内容」については、分別・保管・収集・運搬・再生・処分のうち、その事業者が実際に行う処理内容を記載することを想定している、と説明しています。
仮置場の破砕機:書類を省略できる施設が決まった
新法第9条の3の3は、市町村から非常災害廃棄物の処分の委託を受けた者が、その処分のための一般廃棄物処理施設を届出で設置できる特例です。さらに、その施設が「生活環境の保全上の支障を及ぼすおそれが少ないもの」として政令で定めるものであれば、生活環境影響調査の結果を記載した書類の添付を省略できます。
今回の政令(施行令新第5条の6の2)が、その対象を決めました。非常災害により損壊した建物から生ずる非常災害廃棄物を処理する施設で、次の組合せに当たるものです。
| 非常災害廃棄物の種類 | 処理の方法 |
|---|---|
| 廃プラスチック類 | 切断 |
| 紙くず | 破砕 |
| 繊維くず | 破砕又は切断 |
| ガラスくず、コンクリートくず及び陶磁器くず | 破砕 |
| コンクリートの破片その他これに類する不要物 | 発生から最終処分が終了するまでの一連の処理の行程の中途において行う分別 |
書類の添付が不要になるので、その書類の縦覧も不要になります(環境省の意見募集回答)。
ここで注意点が1つあります。新法第9条の3の3の特例そのものを使うには、市町村があらかじめ条例を定めておく必要があります。意見募集では「小規模自治体では事前の条例整備が難しい」という指摘が出ました。環境省の回答は次のとおりです。
廃棄物処理法第9条の3の3に基づく特例を活用するためには、同条の規定に基づき、市町村において必要な条例をあらかじめ定める必要があります。(中略)なお、今回の法改正により規定する法第9条の3の3に基づく生活環境影響調査の結果を記載した書類の添付が不要となる処理施設にあっては、条例が制定されていない場合でも設置することが可能です。
つまり、上の表に当たる施設だけは、条例がなくても置けるということです。
なお、仮置場そのものの開設には設置届出も変更届出も不要です。仮置場で重機や手作業で行う粗選別・分別が「選別施設」に当たるかどうかは、設備の構造・処理能力・処理方式を踏まえて個別に判断される、とされています。
最終処分場の指定制度:更新期間は5年
新法第9条の3の4は、非常災害廃棄物の処分のための最終処分場の設置者をあらかじめ指定しておく制度です。今回の政令で、指定の更新期間が5年と定まりました(施行令新第5条の6の4)。
省令では、申請の手続と基準が定められています(施行規則新第5条の10の22〜第5条の10の24)。
申請書に書くこと:氏名又は名称・住所(法人は代表者氏名)/最終処分場の設置の場所/最終処分場の種類/処分する非常災害廃棄物の種類/廃掃法第8条第1項又は第15条第1項の許可の年月日・許可番号/埋立容量・残余の埋立容量・非常災害廃棄物の埋立処分に供される容量/申請者の能力に関する事項
添付する書面・図面:平面図・立面図・断面図・構造図/最終処分基準省令の技術上の基準に適合していることを説明する書類/残余容量の算定根拠/非常災害廃棄物の処分に係る体制を明らかにする書類/処分を的確に行うに足りる知識を有することを明らかにする書類/許可を受けていることを証する書類 ほか
基準:技術上の基準に適合していること、非常災害廃棄物の円滑かつ迅速な処理を確保するために必要な残余の埋立容量を有すること、必要な体制と知識を有すること
意見募集では「更新期間を延長または恒久化すべき」という意見が出ました。環境省は、指定を受けた設置者は5年3月ごとの定期検査が免除される(新法第9条の3の4第5項・第6項)ため、更新期間が定期検査の期間を大幅に超えると免除の趣旨が失われる、として5年が適切と回答しています。
再々委託ができるようになる
新法第6条の2第3項により、市町村から非常災害廃棄物の処理の委託を受けた者等は、市町村が一般廃棄物の処理を市町村以外の者に委託する場合の基準等に従う場合に限り、その処理を他人に再委託・再々委託できるようになります。今回の政令は、その再委託・再々委託の基準を整備しました(施行令新第4条・第4条の3)。特別管理一般廃棄物である非常災害廃棄物(新法第6条の2第5項)についても同様の整備が行われています。
実務で問題になる「区域外で処理する場合の受入市町村への通知」について、環境省は意見募集で次のように回答しています。
これまでも、被災市町村の区域外で、再委託により災害廃棄物を処理する場合には、被災市町村から当該災害廃棄物を受け入れる市町村に対して、再受託者の所在地・名称等について、通知を行うこととしており、本改正で措置する再々委託も、同様に、被災市町村から行うこととなります。なお、通知の時期については、処理を開始する前に行う必要があると考えております
また、あわせて産業廃棄物処理施設の設置者に係る一般廃棄物処理施設の設置特例(施行規則第12条の7の16)の対象に、安定型産業廃棄物と同様の性状を有する一般廃棄物(非常災害廃棄物であるものに限る)と、それを処理する安定型最終処分場が追加されました。
意見公募で指摘された課題
施行令改正政令案には25件、施行規則改正省令案には22件の意見が提出されました。いずれも提出意見を踏まえた案の修正はありませんでした。指摘された主な課題は次のとおりです(環境省が要約して公表しているもの)。
ひな型・手引きがない
- 協定締結に係る自治体の事務負担を軽減し費用面の合意形成を円滑にするため、費用の算定基準や負担割合の例を含む標準的な協定書のひな型を示すべき
- 自治体や廃棄物処理事業者の経験・知見の差を踏まえ、モデル協定書や締結手順を示した手引きを整備すべき
- 最終処分場設置者の指定制度について、申請様式を示してほしい
- 申請者の能力や体制について、災害廃棄物関連研修の修了や技術管理者の常駐等を具体的な確認項目とする標準チェックリスト又はガイドラインを公表すべき
これらに対し環境省は、協定のひな型・申請様式のひな型・処分委託を受けないことができる「正当な理由」の例示・設置者の能力の基準の考え方を、いずれも施行通知で示すことを想定していると回答しています。
仮置場の運用が読めない
- 仮置場で重機又は手作業により行う粗選別・分別が一般廃棄物処理施設の「選別」に該当するかについて、判断基準を明確にすべき
- 仮置場に移動式の破砕機・スクリーン・トロンメル等を設置する場合の、設置届出の要否・届出主体・移設撤去時の手続を明確にすべき
- 複数の移動式処理設備を置く場合、1日当たり処理能力を設備ごと・工程ごと・仮置場全体のどの単位で算定するのか
環境省は、移動式であっても一般廃棄物処理施設に該当する場合は設置許可(又は届出)の対象になること、届出主体は受託者であること、処理能力の合算は施設の一体性・廃棄物の同一性・処理工程の連続性を確認して判断することを回答しています。
迅速化と適正処理の両立
- 災害廃棄物処理の迅速化を理由に、環境基準、住民説明、処分場監督、費用負担、事業者選定及び再委託管理を緩く運用せず、特定地域への環境負荷や費用負担の転嫁を防止すべき
- 災害時の犯罪や不適正処理を防止するため、再々委託先に対する身元確認等により不適格事業者を排除すべき
- 委託先・処理量・処理方法及び最終処理先を把握できるトレーサビリティを確保すべき
規制の事前評価への指摘
- 規制の事前評価書では規制緩和により顕在化する負担は生じないとしているが、市町村が一般廃棄物処理計画に再々委託先の候補等を反映する事務負担が生じるため記載を見直すべき
- 事後評価について、再々委託件数だけでなく、区域外の処理能力の活用や処理停滞の回避・短縮等、災害廃棄物処理の円滑化・迅速化への寄与を確認する評価観点を明示すべき
- EBPMの観点から成果目標及びKPIを設定し、基準値・目標値・達成期限並びに毎年の実績を公表すべき
このほか、被災した太陽光発電設備の処理、原発事故由来の放射性廃棄物の扱い、建築基準法第51条ただし書許可など関係法令の手続の迅速化についても意見が出ています。
いま確認したいこと
都道府県・市町村の廃棄物担当の方
- すでに結んでいる協定に、省令で定められた記載事項(締結者、処理を求める手続、事業者との協定では処理の内容)が入っているかを確認してください。実質的に含まれていれば結び直しは不要です
- 含まれていない場合は、環境省は「速やかな協定の改定が望ましい」としています
- 新法第9条の3の3の特例を使うには条例が必要です。ただし、生活環境影響調査の書類の添付が不要になる施設(上の表)は条例がなくても設置できます
- 協定のひな型・申請様式は施行通知で示される予定です。施行通知の発出を確認してください
廃棄物処理業者・最終処分場の設置者の方
- 非常災害廃棄物の受入れを予定する場合は、指定の申請に必要な書類(構造図、残余容量の算定根拠、処分の体制を明らかにする書類など)を確認してください
- 指定を受けると定期検査が免除されます。指定の更新期間は5年です
- 「受入量」「受入料金」などは申請時ではなく、個別の災害ごとに被災自治体との契約時に定めるものとされています
問合せ先:環境省 環境再生・資源循環局 環境再生担当参事官付 災害廃棄物対策室(03-5521-8358)
出典
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令の公布等について(環境省・令和8年9月15日)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令の閣議決定等について(環境省・令和8年9月11日)
- 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令案」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について(環境省・令和8年9月15日)
- 「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令案」に対する意見の募集(パブリックコメント)の結果について(環境省・令和8年9月11日)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令(環境省)
- 廃棄物の処理及び清掃に関する法律等の一部を改正する法律の一部の施行期日を定める政令(案文・理由)(環境省)
- 官報 令和8年9月15日 号外第205号(施行期日を定める政令・施行令の改正政令)
- 官報 令和8年9月15日 号外第205号(廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則の一部を改正する省令)