国民生活センターは令和8年(2026年)8月4日、自宅の「リースバック」に関するトラブルについて注意喚起を公表しました。相談事例と、契約前に確認したいポイントをまとめます。
リースバックとは
リースバックは、自宅を不動産業者などに売却し、その後は賃借人として家賃を払いながら同じ家に住み続ける契約です。売却と賃貸借契約を同時に結ぶ形になります。
まとまったお金がすぐに手に入り、引っ越しをしなくてよいという点が強調されがちですが、売却後は所有者ではなくなり、住み続ける限り家賃の支払いが続くという性質があります。
実際に寄せられた相談
国民生活センターが公表した相談事例は次のとおりです。
家賃の値上げに応じないなら退去するよう迫られた
6年前、生活が苦しく築40年の分譲マンションのリースバック契約をした。約1000万円で売却し、家賃7万円で賃貸借契約をした。先日、貸主であるリースバック業者から家賃を約10万円に値上げすると言われた。貸主は転売を考えているようで、値上げに不満なら退去するよう言われたが退去するつもりはない。値上げに応じられないと伝えたら若干の減額を提案されたが、現在の家賃より高額で納得できない。値上げに応じるか、応じないなら退去するよう何度も迫られ、精神的に負担である。(2025年8月受付・70歳代・女性)
リフォーム代が払えないならリースバックを、と勧められた
母が一人で暮らしている家に業者Aが訪問し、床のリフォーム工事の契約をしたが、支払えないと母が言うと、不動産業者Bを案内されたという。自宅を売却して住み続けられるとBに言われ、母はよく分からずに1100万円で自宅を売却し賃貸借契約をしたようだ。リースバック契約と同じ日に業者Cが訪問し、450万円のキッチン等のリフォーム工事を契約していた。母が売却金から工事代を支払おうとしたところ、金融機関から警察へ通報があり連絡が入った。Cにはクーリング・オフを了承されたが、Bに契約解除を申し出たら断られた。Aとは連絡が取れない。自宅の売却額では3年程しか住み続けられない。(2026年2月受付・70歳代・女性)
買い戻したいと言ったら売却額の5倍を提示された
1年前に自宅マンションを200万円で売却し2年間の定期借家契約を結び、家賃2万円を払って住み続けている。賃貸借契約終了後に退去しなければならない可能性があるので買い戻したいと不動産業者に申し出たところ、購入額として1000万円を提示され困っている。(2025年8月受付・70歳代・男性)
契約前に確認したいこと
国民生活センターは、次の点を挙げて注意を呼びかけています。
売却後もずっと住み続けられるとは限らない
住み続ける限り家賃を払う必要があるため、住む期間が長くなると家賃の支払総額が家の売却金額を上回ってしまう場合があります。家賃を払い続けられるのか、退去を求められた場合に住む場所を確保できるのかを、家族など信頼できる人と相談しながら慎重に検討するよう求めています。
売却価格・家賃・更新条件を確かめる
リースバック契約では、売却価格が相場に比べて安い場合や、家賃が相場に比べて高額に設定される場合、賃貸借契約の再契約や更新を拒絶される場合があります。契約内容を十分に理解したうえで契約するよう求めています。
「お金が払えないからリースバック」は危険
借金返済や生活費を工面するためにリースバック契約をしてしまうと、その後家賃を払い続けることが困難になるおそれがあります。お金が必要な状況であっても、リースバックが自分にとって本当に適切な手段なのかを契約前に検討するよう促しています。
高額リフォームとセットで勧める業者もいる
自宅を訪問してきた業者が高額なリフォーム工事を契約させ、「支払えない」というとリースバック契約による自宅の売却代金から工事代金を払うよう勧めるケースがみられます。国民生活センターは、リフォームによって売却価格が上がるわけではなく、他人の所有物になる住宅のリフォーム代金を払わされている形になるとして、リースバック契約の利用目的として不適切と考えられるとしています。
クーリング・オフはできない
消費者が不動産業者に自宅を売却する場合には、宅地建物取引業法に定めるクーリング・オフが適用されません。売買契約が成立してしまうと、無条件で契約を解除することはできません。
売主が契約を解除する場合は、手付金の倍額を買主に支払う「手付倍返し」で解除することとなり、手付解除が可能な期間を過ぎると、ほとんどの場合、契約条項に基づく違約金が必要になります。不動産の取引は高額なことが多く、違約金の額も高くなることがあります。
なお、上記2つ目の事例のように、訪問販売で契約したリフォーム工事の方は、クーリング・オフの対象になる場合があります。工事契約と売却契約は別の契約なので、それぞれについて相談してください。
困ったときの相談先
不安や不明な点があれば、すぐに消費生活センター等に相談してください。
- 消費者ホットライン「188(いやや)」番:最寄りの市町村や都道府県の消費生活センター等を案内する全国共通の3桁の電話番号です。
契約を迫られてその場で判断を求められたときほど、いったん持ち帰って家族や消費生活センターに相談することが大切です。